社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.10.01

世界で最も「友達が作りやすい」国はどこ?

 世界中の主要都市をつなぐコミュニティサイト「InterNations(インターネーションズ)」では、2014年から毎年、“Expat(エクスパット;海外駐在員)”を対象とした駐在国のアンケート結果を「Expat Insider(エクスパット・インサイダー)」を発表しています。

 6年目の2019年版となる「Expat Insider 2019」では、2万人を超える海外駐在員が世界64カ国・地域を評価。総合評価ならびに評価軸となる5つの大インデックス「Quality of Life(生活の質)」「Ease of Settling In(落ち着きやすさ)」「Personal Finance(個人融資)」「Working Abroad(海外勤務)」「Family Life(家庭生活)」ごとの結果が発表されました。

友達が作りやすい国・トップ10

 今回注目する「友達が作りやすい国」は、5つの大インデックス中の「Ease of Settling In(落ち着きやすさ)」の4つの下位インデックス「Finding Friends(友達の作りやすさ)」「Friendliness(親しみやすさ)」「Feeling at Home(自宅でのくつろぎやすさ)」「Language(言語)」のうち、「Finding Friends(友達の作りやすさ)」からうかがうことができます。早速トップ10をみてみましょう。

「友達が作りやすい国・トップ10」「Expat Insider 2019」より)
1位:メキシコ
2位:フィリピン
3位:エクアドル
4位:ベトナム
5位:バーレーン
6位:ブルガリア
7位:コスタリカ
8位:ケニア
9位:コロンビア
10位:ポルトガル

「友達が作りやすい」国はメキシコ!?

 首位に輝いたメキシコは、トップ10常連国でした(2018年・1位、2017年・2位など)。ちなみに、大インデックスの「Ease of Settling In(落ち着きやすさ)」のトップ5は、1位:メキシコ、2位:バーレーン、3位:マレーシア、4位:ポルトガル、5位:フィリピン――となっています。

 また、4つの下位インデックス中の「Friendliness(親しみやすさ)」のトップ5は、1位:オマーン、2位:メキシコ、3位:ポルトガル、4位:台湾、5位:ベトナム――。同様に「Feeling at Home(自宅でのくつろぎやすさ)」のトップ5は、1位:ポルトガル、2位:メキシコ、3位:スペイン、4位:バーレーン、5位:エクアドル――とメキシコはどちらも2位となっており、全体としてもメキシコが高く評価されていることがわかります。

 メキシコでは日常的にスペイン語が多用されており、世界的な標準言語ともいえる英語圏と比較しても不利であるにもかかわらず(そのためか「Language(言語)」は9位とトップ10内ではあるものの、他と比べると相対的に評価が低い)、そのような言語的なハンデをも超えた地元の方々の友好的で親切な態度が垣間見えます。アンケートに回答した海外駐在員も「メキシコ人のあたたかい態度が大好きです」といった内容の回答をよせているようです。

「友達の作りやすさ」と「フレンドリー」の違い

 ところで、「Expat Insider 2019」の興味深い点に、「Finding Friends(友達の作りやすさ)」と「Friendliness(親しみやすさ)」を別の指標としている点があります。

 友達として人間関係を築き合っていくことと、親しみやすさやフレンドリーさといったより広範囲な人間関係や社会生活に作用する心持ちの違いがあり、どちらも時や場所に応じて、同じように大切な指標であるといえます。

 なお、ボトム3カ国は64位デンマーク、63位:スウェーデン、62位:クウェート。日本は54位となっており、ぎりぎりワースト10ではないものの、ワースト10の次点となっています。メキシコやトップ10国に留まらず、他国との違いを透過させつつ一考してみると、多様な価値観の一端が、より実感できるかもしれません。

<参考文献・参考サイト>
・Expat Insider 2019: Ease of Settling In Index | InterNations
https://www.internations.org/expat-insider/2019/ease-of-settling-in-index-39832
・「メキシコ」『日本大百科全書』(丸谷吉男著、小学館)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景

チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
2

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
3

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害

高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
4

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か

お酒やコーヒーなど世の中には睡眠に良くないのではないかといわれるものがある。また、現代においては特に、スマホの「ブルーライト」が睡眠には大敵だといわれているが、それらは本当に悪者なのか。一般に良い睡眠を妨げると...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/30
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
5

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授