社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
その年を象徴する「創作四字熟語」とは?
「創作四字熟語」とは?
生命保険大手の住友生命保険は毎年「創作四字熟語」を募集し、受賞作品を発表しています。創作四字熟語とは、新しい四字熟語を考え出したり既存の四字熟語をもじったりして、その1年を漢字四文字で表現したもの。1990年からはじまり、31回目の今回は2万2千377点の応募が集まりました。そしてこのうち50点が入賞作品として、昨年12月22日に発表されています。2020年といえばやはり、世界的な新型コロナウィルスの感染拡大がまっさきに思い浮かびますよね。創作四字熟語もその世相を反映して、最優秀賞と優秀賞あわせて10点のうち、6点がコロナ関連の四字熟語となりました。そのほかには香港の大規模やデモや、アニメ作品・鬼滅の刃の大ヒットなどが取り上げられています。
2020年の創作四字熟語
それでは、最優秀賞と優秀賞の創作四字熟語を見てみましょう。カッコ内は読み方と、もとにしている四字熟語です。<最優秀賞・1点>
医師奮診(いしふんしん・獅子奮迅):新型コロナウィルスの感染拡大で治療が難しい患者さんが急激に増え、医療崩壊の心配も叫ばれるなか、医師をはじめとする医療従事者の皆さんが身を削る思いで診療に奮戦してくれました。まさに2020年を象徴する四字熟語といえるでしょう。
<優秀賞・9点>
収束渇望(しゅうそくかつぼう・就職活動):コロナの脅威が一日も早く収束することへの渇望を表した四字熟語。2021年には有効な治療法の登場が期待されますね。
妖姿願霊(ようしがんれい・容姿端麗):コロナの感染拡大を受けて、疫病退散の力を持つとされる妖怪・アマビエが話題に。願掛けをされた方も多いのではないでしょうか。
全面口覆(ぜんめんこうふく・全面降伏):コロナの感染予防のため、誰でも外出時はマスク着用が日常になりました。飛沫感染を避けるため、口や鼻を覆うことが大切です。
出発振興(しゅっぱつしんこう・出発進行):コロナ禍で落ち込んだ景気の活性化対策として「Go Toトラベル」が実施されました。密状態などを避ければ、旅行を楽しむこともできます。
薬家争鳴(やっかそうめい・百家争鳴):コロナのさらなる感染拡大を防ぐため、世界中の製薬会社や研究所がワクチン開発に乗り出している様子を表現した四字熟語です。
王棋聖聡(おうきせいそう・王位継承):将棋棋士の藤井聡太八段が史上最年少で棋聖と王位の二冠を達成しました。18歳の藤井八段がこれからさらに飛躍する姿が楽しみですね。
自由香望(じゆうほんぼう・自由奔放):香港では、中国からの圧迫に抵抗して2019年から続いている民主化デモが激化しました。「香」を香港の「ほん」と読む点が個性的です。
父継三冠(ふけいさんかん・父兄参観):競馬界ではコントレイル号が史上3頭目の無敗の三冠馬に輝きました。父・ディープインパクト号の偉業の継承を表す四字熟語です。
頻出鬼滅(ひんしゅつきめつ・神出鬼没):アニメ界では和風伝奇作品「鬼滅の刃」が大ヒット。その話題や関連グッズを目にしない日はないほど頻出していましたよね。
コロナ禍に沈んだ一年でしたが、藤井八段の新記録やコントレイル号の三冠達成など明るい話題を思い出させてくれる受賞作品も並びました。
過去の入選作品も時代をよく表している
思わず納得してしまう受賞作品ばかりですよね。これはもちろん2020年だけのことではなく、毎年ユニークな受賞作品がずらりと並びます。過去の作品を見てみると、その当時の世相がよくわかります。創作四字熟語の審査員を長年務める俳人・俵万智さんが選んだ各年の優秀作品から、創作四字熟語30年の時代背景を眺めてみましょう。現在では当たり前になっている光景が登場しはじめた時期がわかる四字熟語に、次のようなものがあります。
2000年・一指送電(いっしそうでん・一子相伝):ケータイを操作したりメールを打ったりする様子を表した四字熟語。若者がケータイに夢中なのは、もう20年以上も前からなのですね。
2015年・仮装狂騒(かそうきょうそう・仮装競争):ハロウィンのお祭り騒ぎをイメージしています。最近では定番化した感のあるハロウィンイベントはこの頃から盛り上がりはじめていました。
災害の恐ろしさを表現した四字熟語がたびたび登場する点は、日本が災害大国であることを思い出させられます。
2011年・天威無法(てんいむほう・天衣無縫):天災の威力の前ではどんな法律も無意味です。2011年といえば東日本大震災が発生し、台風も猛威をふるって帰宅困難者が続出した年でした。
2019年・台量発生(たいりょうはっせい・大量発生):台風がいくつも発生し、川の氾濫や家屋の倒壊などたくさんの被害が発生しました。安全な日常でも心に留めておきたい四字熟語ですね。
近年は疫病のほか災害や不景気などで気分が落ち込みがちな日々が続きますが、スポーツや文化の世界にはいつも明るい話題が見つかります。
2016年・四士奮銀(ししふんぎん・獅子奮迅):リオデジャネイロオリンピックの陸上男子400メートルリレーで、日本チームが日本新記録で銀メダルを獲得しました。
2017年・棋聡天才(きそうてんさい・奇想天外):棋士の藤井聡太プロがデビューから無敗で29連勝し、歴代最多連勝記録を更新。デビュー当時から注目を集めていたことがわかりますね。
漢字四文字で1年を表す知的な遊び、創作四字熟語。まだチャレンジしたことがない方は、今年チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
<参考サイト>
・住友生命保険 創作四字熟語
https://cam.sumitomolife.co.jp/jukugo/
・住友生命保険 創作四字熟語
https://cam.sumitomolife.co.jp/jukugo/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
東洋思想を研究する中で、50年間追求してきた命題の解を得たと田口佳史氏は言う。また、その命題を得るきっかけとなったのは松下幸之助との出会いだった。果たしてその命題とは何か、生涯の研究となる東洋思想とどのように結び...
収録日:2024/09/19
追加日:2024/11/21
次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂
今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点
猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う
ポスト冷戦の終焉と日本政治(1)「偽りの和解」と「対テロ戦争」の時代
これから世界は激動の時代を迎える。その見通しを持ったのは冷戦終焉がしきりに叫ばれていた時だ――中西輝政氏はこう話す。多くの人びとが冷戦終焉後の世界に期待を寄せる中、アメリカやヨーロッパ諸国、またロシアや同じく共産...
収録日:2023/05/24
追加日:2023/06/27
遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
『江戸名所図会』を手がかりに江戸時代の人々の暮らしぶりをひもとく本シリーズ。今回は、遊郭として名高い吉原を取り上げる。遊女の過酷さがクローズアップされがちな吉原だが、江戸時代の吉原には違う一面もあったようだ。政...
収録日:2024/06/05
追加日:2024/11/18
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19