社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
早期リタイア「FIRE」とは何か?
働き方改革や副業解禁、リモートワークといったさまざまな働き方が一般化してきました。仕事にとらわれない生き方をしたいと考える人も多くなっているのではないでしょうか。こういった考え方を実現するための発想にFIRE(Financial Independence, Retire Early)というものがあります。いま欧米の若者世代を中心にムーブメントとなりつつあるようです。FIREとは一体どのような考え方なのでしょうか。
4%は25分の1、つまり毎年の生活費の25倍の資産を貯めて、あとは生活の質を変えなければ元本は100%のままで減ることはありません。理論上ではその運用益で生活できることになります。たとえば年間400万円で生活するとすれば、必要な投資額(400万円の25倍)は1億円です。この時点でハードルはかなり高いとはいえます。もし年間300万円で生活できると考えれば7500万円と若干下がります。
また、投資には暴落等のリスクが伴いますが、この点についても想定されています。これまでの検証結果によると相場が暴落後、元に戻るまでの時間は平均約2年です。この点については「現金クッション」という考え方があります。もし2年で相場がなかなか戻らなかったとしても、5年間分を準備できていればリスクはだいぶ減らせます。こう考えると年間400万円の生活ではプラス2000万円、つまり運用益だけで安定的に生活するには、1億2000万円の元手があれば大丈夫ということです。
大事なポイントは、こういったマネープランニングの考え方を知って具体的なお金のイメージをつかむことです。もちろん、同じ生活資金でずっと生きていけるとは限りません。しかし、FIREの考え方を知れば、闇雲にお金儲けに走る必要はなくなり、漠然としていた将来の不安は姿を明確にします。先が見えれば、今の生活で何を我慢すればよいか、また今の経済状況の先にどういう未来があるか、違う未来を選ぶには何をすればよいか、といったことを考えることが可能になります。
こういった意味でFIREは、冷静に長い目で自分の生き方や人生で大事にしたいものは何か、ということを見直すための手段とも言えるでしょう。ただし、FIREは投資を前提としています。投資にはある程度の知識が必要です。うまくいかなかったとしても自己責任です。しっかりリスクを意識しておく必要はあります。
FIREとは働くことに縛られない生き方を考える方法
FIREはFinancial Independence, Retire Earlyの略、和訳すれば「経済的独立と早期退職」ということになります。ただし、これまで一般的に考えられてきた「お金をたくさんためて退職する」といった考え方とはやや異なります。FIREの発想では40代から50代前半での早期リタイアを目指すことが多いそうです。つまり、資産を築いてから退職するのではなく、比較的少ない資産でリタイアに踏み切るために、金融リテラシーを用いて生活を設計するものです。いわばマネープランニングの方法と言ってもいいでしょう。この意味では働くことに縛られない生き方を積極的に考える方法でもあります。最近ではノウハウ本もたくさん出ているようです。以下はこういった本の中でも紹介されている基本のルールです。生活費の25倍の資産があれば運用益で生活できる
生活上の支出を資産の4%未満におさえることができれば、高確率で30年以上資産を維持できるという調査結果があります。つまり、投資した元本の4%で生活できれば、元本を減らすことなく、運用益で生活できる可能性が高いということです。また投資の仕方にもよりますが、4%の運用益であれば比較的リスクを低く抑えることも可能と言われています。このことからFIREは「4%ルール」を考え方の基本にします。4%は25分の1、つまり毎年の生活費の25倍の資産を貯めて、あとは生活の質を変えなければ元本は100%のままで減ることはありません。理論上ではその運用益で生活できることになります。たとえば年間400万円で生活するとすれば、必要な投資額(400万円の25倍)は1億円です。この時点でハードルはかなり高いとはいえます。もし年間300万円で生活できると考えれば7500万円と若干下がります。
また、投資には暴落等のリスクが伴いますが、この点についても想定されています。これまでの検証結果によると相場が暴落後、元に戻るまでの時間は平均約2年です。この点については「現金クッション」という考え方があります。もし2年で相場がなかなか戻らなかったとしても、5年間分を準備できていればリスクはだいぶ減らせます。こう考えると年間400万円の生活ではプラス2000万円、つまり運用益だけで安定的に生活するには、1億2000万円の元手があれば大丈夫ということです。
大事なことは自分の生き方を決める視野を保つこと
年間400万円の運用益で生きるには、とりあえず1億2000万円が目標となることがわかりました。しかし、1億円超となると「結局は裕福なひとの話」。完全に働かないで生きるハードルは低くはないようです。しかし、必ずしも完全にリタイアせずとも、ある程度の収入を得ながら無理なく生きようと考えれば、投資に回す資金をもう少し低くすることも可能です。例えばもし5000万円準備できたとすれば、4%の運用で毎年200万円が運用益となります。元手が1000万円(1億円の10分の1)なら、4%で運用できれば年間の運用益は40万円です。この金額を元に、毎月あといくら稼げば良いのかと考えることもできます。大事なポイントは、こういったマネープランニングの考え方を知って具体的なお金のイメージをつかむことです。もちろん、同じ生活資金でずっと生きていけるとは限りません。しかし、FIREの考え方を知れば、闇雲にお金儲けに走る必要はなくなり、漠然としていた将来の不安は姿を明確にします。先が見えれば、今の生活で何を我慢すればよいか、また今の経済状況の先にどういう未来があるか、違う未来を選ぶには何をすればよいか、といったことを考えることが可能になります。
こういった意味でFIREは、冷静に長い目で自分の生き方や人生で大事にしたいものは何か、ということを見直すための手段とも言えるでしょう。ただし、FIREは投資を前提としています。投資にはある程度の知識が必要です。うまくいかなかったとしても自己責任です。しっかりリスクを意識しておく必要はあります。
<参考サイト>
早期リタイアとは?必要な資金とその準備方法を解説|すごい住宅ローン探し(RECRUIT)
https://finance.recruit.co.jp/article/a014/
労働に縛られ続けない人生「FIRE」とは?セミリタイアに必要な資産|未来想像Webマガジン(みずほ銀行)
https://miraisozo.mizuhobank.co.jp/money/80216
早期リタイアとは?必要な資金とその準備方法を解説|すごい住宅ローン探し(RECRUIT)
https://finance.recruit.co.jp/article/a014/
労働に縛られ続けない人生「FIRE」とは?セミリタイアに必要な資産|未来想像Webマガジン(みずほ銀行)
https://miraisozo.mizuhobank.co.jp/money/80216
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
今井むつみ先生が2024年秋に発刊された岩波新書『学力喪失――認知科学による回復への道筋』は、とても話題になった一冊です。今回、テンミニッツ・アカデミーでは、本書の内容について著者の今井先生にわかりやすくお話しいただ...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/10/16
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ピアニスト江崎昌子氏が、ピアノ演奏を交えつつ「ショパンの音楽とポーランド」を紹介する連続シリーズ。第1話では、すべてのピアニストにとって「特別な作曲家」と言われる39年のショパンの生涯を駆け足で紹介する。1810年に生...
収録日:2022/10/13
追加日:2023/03/16
最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性
未来を知るための宇宙開発の歴史(13)発展する宇宙空間利用と進化する技術
技術の発達・発展により、宇宙空間を利用したさまざまなサービスが考え出されている。人間の環境を便利にするものであり、また攻撃技術にもつながるものであるが、さまざまな可能性を秘めている。さらに宇宙空間の利用は、天文...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/10/19
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
近年、アフリカで起こったクーデターは、イスラム過激派の台頭だけではその要因を説明できない。ではクーデターはなぜ起こるのか。また、台湾よりも中国のほうがクーデターが起こる可能性はないのか。クーデターは本当に「ラス...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/18