テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.06.21

長期投資が基本「インデックス投資」とは?

 投資信託とは運用の専門家(ファンドマネージャー)にお金を預け、運用してもらう投資の方法です。iDeCoで老後資金づくりをする際にも活用されています。投資信託にもさまざまな種類がありますが、よく比較されるのが「インデックス投資」と「アクティブ投資」の2種類です。ここでは特に「インデックス投資」に焦点をあてて、どういうものか見てみましょう。

日経、TOPIXなどの指数に連動する

 「インデックス」とは、市場の動向を表す指数のことです。これに合わせて値動きする商品に対する投資手法が「インデックス投資」です。インデックスとなる指数は、国内であれば日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といったところが有名です。アメリカだとS&P500やダウ平均(NYダウ工業株30種)といったものもよく聞きます。日経平均とは、東証一部上場企業の中から日経新聞社が選ぶ225銘柄の株式価格の平均を表す指数。これに対してTOPIX(東証株価指数)とは東証一部に上場する全銘柄を対象としています。アメリカでのS&P500やダウ平均(NYダウ工業株30種)もこれと似た関係です。

 こういったインデックス投資は、他の投資商品に比べて大変シンプルでわかりやすいと言えます。また、情報も容易に手に入るので、投資初心者にとってハードルの低い商品と言えるでしょう。また、インデックス投資の場合自動的に指標と連動するので、調査費用や管理費用といった人件費が比較的かかりません。こうしたことから、投資信託を所有している時にかかる費用「信託報酬」を低くすることが可能です。

 一方「アクティブ投資」は、プロがその時に応じて、より利益が出せそうな商品を調査したり選んだりするため、売買手数料や人件費といったコストがかかります。こういったコスト(信託報酬)は当初は少額であったとしても、長く投資を続けると積み重なります。また、インデックス投資は購入時に販売手数料がかからない「ノーロード」と呼ばれる商品も多いです。

「分散・長期・積立」に向いている

 安定的に投資を行う際のポイントは「分散・長期・積立」です。この3つのポイントをクリアした仕組みにお金を入れておくと投資のリスクを低くすることができます。分散という点に関して言えば、「インデックス投資」は購入するだけで分散投資になります。また、株式だけでなく債権やREIT(不動産投資信託証券)といった異なる指標に連動する商品に投資したり、日本と海外それぞれの異なる指標に連動する商品に投資したりといったこともできます。こうすることでより広範囲での分散投資ができます。

 また、指標は一般的にたいへん緩やかに変動するので、一定の利益を産むには長期で運用する必要があります。また、投資市場の値動きは波のようにアップダウンを繰り返しながら、全体的に少しずつ上昇します。このとき、一定額を定期的に積み立て購入するようにすると、長期間で購入額が均されていきます。このように、市場の動きに一喜一憂することなく、安定的に長く資産運用できる方法が「インデックス投資」です。ただ、「インデックス投資」であっても「信託報酬」は一定額かかります。また長い期間投資するにはファンドの純資産総額が順調に増えているかどうかといった見極めも重要です。購入後はあまり手間がかからない分、購入時にしっかりと見極める必要はあるようです。

<参考サイト>
「日経平均株価」、「東証株価指数」とは?|楽天証券
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/special/indices/01.html
シンプルでわかりやすい!インデックスファンド特集|SMBC日興証券
https://www.smbcnikko.co.jp/products/inv/recommend/sp_12/index.html
4つのメリット|一般社団法人投資信託協会
https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/meritrisk/index.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す

ヒトは、そもそもの生き方であった狩猟採集生活でも子育てを分担してきた。それは農業社会においても大きくは変わらなかったが、しかし産業革命以降、都市化が進み、貨幣経済と核家族化と個人主義が浸透した。ヒトが従来行って...
収録日:2025/03/17
追加日:2025/09/14
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長 元総合研究大学院大学長
2

トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ

トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ

トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン

アメリカのトランプ大統領は、2025年5月に訪れたサウジアラビアでの演説で「トランプ・ドクトリン」を表明した。それは外交政策の指針を民主主義の牽引からビジネスファーストへと転換することを意味していた。中東歴訪において...
収録日:2025/08/04
追加日:2025/09/13
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
3

外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?

外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?

外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス

国際関係においては外交と軍事(内政)のバランスが重要となる。著書では、近代日本において、それらのバランスが崩れていった過程を3つのステージに分けて解説しているが、今回はその中の、国のトップが外政家・原敬から職業外...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/12
小原雅博
東京大学名誉教授
4

フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる

フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる

数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数

音が波であることは分かっても、それが三角関数で支えられていると言われてもピンとこないという方は少なくないだろう。そこで、その話を補足するのが倍音や周波数という概念であり、そのことを目で確認できるとっておきのイメ...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/11
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
5

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率

日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家