テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.10.04

世の中の40代の平均貯蓄額は?

 40代といえばかつては「不惑」として社会の中堅を担うイメージでした。でも「人生100年時代」が現実化している現在、40代はまだまだ人生の後半戦に向けて、ライフシフトの真っ最中です。

 たとえば40代前半男女の未婚率は、男性30%、女性19.3%、40代後半では男性25.9%、女性16.1%となっています。男性40代前半を除くと、いずれも過去最高。また、この数字からは、40代からの婚活に乗り出している人も決して少なくないことが読み取れます(数字は人口統計資料集(2021)より)。

 一方で持ち家率は、2018年住宅・土地統計調査によると、40歳代で57.6%に上っています。ただし、この数字は1998年の66.6%と比べると9ポイント低下。ライフスタイルの多様化は本格化しています(数字は2018年住宅・土地統計調査より)。

 昭和の時代とは違って20代は勉強、30代で仕事に本腰を入れ、ようやく一息ついて生活環境の整備に取り組むのが令和における40代という年代。そんな40代はどのぐらい貯蓄をしているのか、調べてみました。

40代貯蓄の平均額1,012万円、中央値520万円って?

 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(2020年)によれば、世帯主が40歳台の家庭では、貯蓄額の平均値1,012万円、中央値520万円となります。

 二つの数字を比べてみて「平均は1千万円ほどでも、現実には500万円ぐらい貯金している人が多いようだ」と思われる方も多いでしょう。しかし、実際にはそうではありません。

 世帯主が40歳台の家庭の貯蓄額分布を見ると、最も多いのは「貯蓄ゼロ」の13.5%、300万円未満の家庭では36.0%と3分の1に達します。一方貯蓄額1,000万円以上の家庭は32.7%、やはり約3分の1を占めます。

 最近話題になっている「貯蓄格差」は、40歳代から始まっていることが分かります。ちなみに、金融資産を保有する世帯に絞った40歳代世帯主の統計は、貯蓄の平均値が1,177万円、中央値が686万円となります。

 2021年、日本全体で二人以上の世帯全体の貯蓄額は、平均値1,436万円、中央値650万円と発表されています。40代より以上に「平均値」と「中央値」が違うのは、一部の貯蓄が多い人の数字によって平均値が押し上げられているからです。貯蓄ゼロの家庭は、全年代で16.1%に上ることも統計で明らかになっています。

40代シングルの強みは借入金の少なさ

 年々増加する単身世帯の貯蓄はどうなっているでしょうか。まず、40歳台で貯蓄ゼロのシングルは35.5%、3分の1以上に上ります。この人たちも含めた貯蓄額の平均値は666万円、中央値40万円となります。ちなみに、金融資産を保有する40歳代にしぼった統計は、貯蓄の平均値が1,066万円、中央値が400万円です。

 単身世帯の場合、貯蓄額300万円未満の割合は60%を超えます。こうなってくると、貯蓄格差・収入格差が生涯未婚率につながっているという説にもうなずかざるを得ません。

 さて、貯蓄と同様に気になるのが同年代の借入額です。40歳台の世帯持ちで借入金があるのは64.5%。その平均額は2,058万円、中央値1,700万円ですす。こちらはほぼ住宅ローンによるものとみられ、借入金2,000万円以上が40%に上っています。

 一方、40歳台シングルで借入金があるのは21.6%。借入金の平均額は909万円、中央値は155万円ということですが、実際には100~200万円が23.2%、2,000万円以上が21.1%の内訳です。

 同世代の家庭持ちと比べて学費などにお金を取られないのがシングルの強み。まだまだ変わる可能性に向けて貯蓄の苦手を克服するチャンスです。

<参考サイト>
人口統計資料集(2021)│国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2021.asp?fname=T06-24.htm
2018年住宅・土地統計調査│総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html
家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)│知るポルト
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/20bunruif001.html
家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)│知るポルト
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2020/20bunruit001.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授