テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.11.13

日本人はなぜ「iPhone」が好きなのか?

 日本ではiPhoneユーザーがかなり多く、アクセス解析サービスStatCounterの情報(2020年9月から2021年9月)によると、日本でのiOS(iPhone)のシェアは66.17%と高い。一方、Androidは33.68%で、ほぼダブルスコアでiOSが多いことになります。ちなみに、世界全体でのiOSシェアは26.75%。これに対してAndroidは72.44%と、iOSよりもAndroidの方が圧倒的に多いことがわかります。ではなぜ、日本ではこんなにiPhoneのシェアが高いのでしょうか。

日本のiPhoneシェアは特殊

 以下、同サイトにデータのあった世界でのエリア別でのモバイル端末におけるOSシェア率です。左から高い順になっています。

アジア:Android 83.21% iOS 15.9%
アフリカ:Android 82.92% iOS 14.9%
オセアニア:iOS 52.78% Android 45.47%
北アメリカ:iOS 52.98% Android 46.67%
南アメリカ:Android 88.98% iOS:10.72%
ヨーロッパ:Android 67.13% iOS 32.16%

 北アメリカ地域やオセアニア地域では、かろうじてiOSのほうが多いですが、それでもシェアはおよそ53%程度。その他の地域ではAndroidの割合がかなり高いことがわかります。サイトにアップされている国別のシェアをざっと見ても、日本ほどiOSの比率が高い国は他に見当たりません。やはり日本は特殊な状況と考えていいようです。

日本独自の販売方法

 ではなぜ日本ではこれほどまでにiOS(主にiPhone)が多いのでしょうか。もちろんiPhoneのデザイン性や、直感的な使いやすさという点は魅力的です。しかし機種の性能だけで考えれば、iPhoneはハイエンドマシンであり、アップル直営店などで販売される値段も高いです。世界全体ではiPhoneユーザーがそこまで多くない点は理解しやすいと言えます。こう考えると、日本はそれなりに豊かであるということが、iPhoneユーザーが多い理由なのでしょうか。しかしこの理由であれば、ヨーロッパなどの経済的に豊かな国も同様にiPhoneユーザーの比率が高くなるはずです。しかし、そうはなっていません。

 ここにはやはり日本特有の事情があります。日本は他の多くの国と異なり、キャリアが販売するスマホがシェアの多くを占めています。はじめに日本でiPhoneが発売された2008年には、キャリアとしてはソフトバンクのみが取り扱いました。この時の人気ぶりからiPhoneの話題性がかなり高まり、みなが憧れる製品になったとも言えます。こののち2009年にソフトバンクは実質0円でiPhoneを購入できるプランを準備しました。

 ここでソフトバンクが一気に契約を増やしたたことで危機感を抱いたauは、2011年に「iPhone4S」の取り扱いを始めます。このときiPhoneを扱わなかったNTTドコモは、契約者が大量に流出する不振に陥ります。こうして2013年「iPhone5S」「iPhone5C」がドコモからも発売されます。各社、iPhoneを中心として熾烈な顧客争いをした結果、iPhoneユーザーは瞬く間に増加したと言えそうです。また、一度iPhoneユーザーになった人は、操作性が異なるAndroidには流出しにくいと言うこともいえるかもしれません。

古い端末でも新しいOSが使える

 このようにiPhoneの人気は日本では揺るぎない状態にあることもあり、リセールバリューも高い状態を保っています。このように人気を保ち続けるにはもう一つ、アップルの古い端末に対するサポート体制があります。ここ数年、iOSは毎年9月にメジャーアップデートされています。iOS15は2021年9月21日にリリースされましたが、このバージョンがサポートしている最も古い端末はiPhone6s。この機種の発売年は2015年です。つまり6年前のiPhoneが今でも現役で使えます。リセールバリューが高いということの理由、人気が衰えない理由はこういったOSサポート体制の手厚さにより、長く使えるという点にもあるようです。

<参考サイト>
Mobile Operating System Market Share Worldwide-September2021|statcounter Globalstats
https://gs.statcounter.com/os-market-share/mobile/worldwide
いまだ人気の「iPhone 6s」 いつまで“現役”でいられる?|ITmedia Mobile
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1902/16/news015.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授