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世界の10大リスク…今年は何?去年は当たった?
米国の調査会社ユーラシア・グループが毎年世界の10大リスクというレポートを発表しているのですが、2022年のリスクはどんなものがあるのでしょうか?2020、2021年とコロナ禍に見舞われた世界ですが、2022年はそのリスクをどう考えれば良いでしょうか。
2位のリスクは巨大テクノロジー企業の影響が強まる世界、です。人々が何を見て、何を聞くのか、すべてを決定するような、そして経済的・社会的な機会の与奪権を握るようなアルゴリズムを作っていると主張しており、そこに政府が介入できる余地はほんの少ししかないでしょう。どこまで規制をかけるか、裏を返せば巨大テクノロジー企業がどれだけ世間を支配するかは国によってレベル感が異なってくるわけですが、AIの倫理的な利用やサイバーセキュリティなど各国が容易に団結できないこともたくさんあります。そうした問題により米中の緊張がさらに高まってくる可能性もあるでしょう。
3位は米国の中間選挙、です。今年の中間選挙は共和党の勝利が固いという前評判で、どんな結果になるにせよ中間選挙が不正に行われたものだと主張する米国人は後を絶たないことでしょう。広がり続ける分断のスピードに拍車をかけ、今回の中間選挙の結果次第では2024年の大統領選でドナルド・トランプ氏が返り咲くというシナリオも現実味を帯びてきます。国内の分断が進むことで、他国に隙を与える機会が増えてくると見ることもできそうです。
4位以下は「中国の国内回帰」、「ロシア」、「イラン」、「環境対策は二歩前進、一歩後退」、「力の空白地帯」、「文化戦争に敗れる企業」、「トルコ」です。また、『リスクもどき』として「第二の冷戦」などのキーワードも挙げられていますが、米中両国の経済は全体としては統合化に向かっており、ソ連のような崩壊に向かっているわけではないと米中それぞれが認識している、と指摘しています。
「46* (注釈付き第46代アメリカ大統領)」、「コロナ後遺症」、「気候問題:ネットゼロとGゼロの交差」、「米中の緊張は拡大する」、「グローバルデータの因果応報」、「サイバースペースの転換点」、「孤立無援のトルコ」、「中東:原油価格の低迷が打撃をもたらす」、「メルケル後の欧州」、「混迷が続く中南米」
「46* (注釈付き第46代アメリカ大統領)」とはバイデン大統領のこと。選挙が不正と考える米国民が多くいる中での、あくまで「注釈付きの」大統領に過ぎない、という意味です。それにより米国の迷走も続く、という見立てですが、2022年の中間選挙で共和党の勝利が予想されていることを鑑みても、2021年のこの見立ては少なくとも外れてはいないと言えそうですね。
2位の「コロナ後遺症」はどのタイミングで振り返るかによって成否が異なるのですが、2022年になった今でもまだ収まっていないところから考えると、コロナの影響は残り続けた年だったという意味でこれも当たっていると言えそうです。その他3位以下も明確に外れていると言えるものはなく、そう見ると2022年の10大リスクもそれなりに信じるに値すると言えるのではないでしょうか。
「中国によるゼロコロナ政策の失敗」が最大のリスク
早速答えのような形になってしまいますが、1位に挙げているのは中国によるゼロコロナ政策の失敗、です。変異株が現れるたびに感染の波が世界中で上下している中、比較的感染者数を抑えられているように見える中国。ただしこのレポートでは、オミクロン株の感染が広がった際に、中国がこれまで成果を上げてきたロックダウンでは抑えることができず、国産のワクチンの効果も限定的になるだろうと予想しています。また、中国に限らずワクチンの接種状況も国家間格差があり、低所得国では接種率が非常に低く、先進国のブースター接種需要により低所得国へのワクチン供給が遅れるというリスクについても触れています。残念ながらまだまだコロナのリスクを抱える年になってしまいそうです。2位のリスクは巨大テクノロジー企業の影響が強まる世界、です。人々が何を見て、何を聞くのか、すべてを決定するような、そして経済的・社会的な機会の与奪権を握るようなアルゴリズムを作っていると主張しており、そこに政府が介入できる余地はほんの少ししかないでしょう。どこまで規制をかけるか、裏を返せば巨大テクノロジー企業がどれだけ世間を支配するかは国によってレベル感が異なってくるわけですが、AIの倫理的な利用やサイバーセキュリティなど各国が容易に団結できないこともたくさんあります。そうした問題により米中の緊張がさらに高まってくる可能性もあるでしょう。
3位は米国の中間選挙、です。今年の中間選挙は共和党の勝利が固いという前評判で、どんな結果になるにせよ中間選挙が不正に行われたものだと主張する米国人は後を絶たないことでしょう。広がり続ける分断のスピードに拍車をかけ、今回の中間選挙の結果次第では2024年の大統領選でドナルド・トランプ氏が返り咲くというシナリオも現実味を帯びてきます。国内の分断が進むことで、他国に隙を与える機会が増えてくると見ることもできそうです。
4位以下は「中国の国内回帰」、「ロシア」、「イラン」、「環境対策は二歩前進、一歩後退」、「力の空白地帯」、「文化戦争に敗れる企業」、「トルコ」です。また、『リスクもどき』として「第二の冷戦」などのキーワードも挙げられていますが、米中両国の経済は全体としては統合化に向かっており、ソ連のような崩壊に向かっているわけではないと米中それぞれが認識している、と指摘しています。
2021年の10大リスクを振り返ると
さて、この予想は当たるのか、当たらないのか。予言者でもなければ未来はわからないわけですが、昨年の予想がどうだったのか、答え合わせをしてみましょう。ユーラシア・グループが2021年初に予想していた10大リスクを1位から一気に見ていきましょう。「46* (注釈付き第46代アメリカ大統領)」、「コロナ後遺症」、「気候問題:ネットゼロとGゼロの交差」、「米中の緊張は拡大する」、「グローバルデータの因果応報」、「サイバースペースの転換点」、「孤立無援のトルコ」、「中東:原油価格の低迷が打撃をもたらす」、「メルケル後の欧州」、「混迷が続く中南米」
「46* (注釈付き第46代アメリカ大統領)」とはバイデン大統領のこと。選挙が不正と考える米国民が多くいる中での、あくまで「注釈付きの」大統領に過ぎない、という意味です。それにより米国の迷走も続く、という見立てですが、2022年の中間選挙で共和党の勝利が予想されていることを鑑みても、2021年のこの見立ては少なくとも外れてはいないと言えそうですね。
2位の「コロナ後遺症」はどのタイミングで振り返るかによって成否が異なるのですが、2022年になった今でもまだ収まっていないところから考えると、コロナの影響は残り続けた年だったという意味でこれも当たっていると言えそうです。その他3位以下も明確に外れていると言えるものはなく、そう見ると2022年の10大リスクもそれなりに信じるに値すると言えるのではないでしょうか。
<参考サイト>
・「2022年10大リスク:最も重要な地政学リスク・トップテン」
https://www.eurasiagroup.net/siteFiles/Media/files/EurasiaGroup_TopRisks2022_Japanese.pdf
・「2021年10大リスク:最も重要な地政学リスク・トップテン」
https://www.eurasiagroup.net/siteFiles/Services/Top_Risks_2021.pdf
・「2022年10大リスク:最も重要な地政学リスク・トップテン」
https://www.eurasiagroup.net/siteFiles/Media/files/EurasiaGroup_TopRisks2022_Japanese.pdf
・「2021年10大リスク:最も重要な地政学リスク・トップテン」
https://www.eurasiagroup.net/siteFiles/Services/Top_Risks_2021.pdf
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