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「自己破産」するとできなくなることは?
止まらないコロナ感染、上がらない給料。住宅ローンや奨学金返済の困難から逃れる方法として、自己破産の4文字を思い浮かべる方も少なくないでしょう。でも、破産できる人とできない人がいる? メリットとデメリットは? 自己破産のABCについて調べてみました。
そもそも自己破産は、借金を返せない人が財産を処分するなどの方法で少しだけでも借金を返し、残りの借金については返さなくてもよくなるという手続きです。手続きは、「破産手続き」と「免責手続き」の二段階があります。まずは、手続きの流れを追ってみましょう。
手続きは、破産する人(債務者)が裁判所に「破産手続開始の申立て」をすることで始まります。これを受けた裁判所が「破産手続開始」を決定すると、「破産手続」と「免責手続」が始まります。
「破産手続」は、債務者の財産を金銭に換えて債権者に配当する手続です。このとき、債権者に配当できるような財産がなく、破産管財人による免責調査の必要もないと認められた場合、破産手続はそこで終了します(「同時廃止」)。
財産がある場合は引き続き「管財事件」として扱われ、破産管財人の財産調査などを経て、債権者への配当が行われます。この場合、申し立てから破産まで半年から1年程度要することになります。また、通常管財では最低予納金(手続き費用)が50万円、少額管財で進められる場合も最低予納金が20万円かかります。
「免責手続」は、「破産手続」に付随するものですから、破産せずに免責だけしてもらうことはできません。破産が認められた時点で「官報」への掲載がなされ、裁判所が免責を決定します。この時点で、借金はゼロになります。
まず「債務が100万円以下の少額」の場合、返済不可能とは認められません。また、税金や公共料金、損害賠償金や養育費・慰謝料、従業員への給与などは「非免責債権」であり、チャラにはできません。
さらに「破産法」により免責不許可事由が定められており、以下のようなケースでは自己破産が認められません。
・債務を負った理由がギャンブルなどの浪費が原因である場合
・自らが支払い不能状態にあることを認識したうえで債権者と金銭売買などの取引をした場合
・債権者を侵害する目的で自らの財産を減少させたり隠したりした場合
・裁判所に対して虚偽の申告や説明の拒否をした場合
・自己破産の免責を過去7年以内に受けている場合
また、自己破産にかかる予納金が支払えない場合も破産手続は進められませんが、裁判所に依頼して引継予納金を分割払いにしてもらう、法テラスを利用して一時的に予納金を立て替えてもらう(※生活保護受給者に限ります)など、対処の方法があります。
また、自己破産の手続き期間中や自己破産後は、ある特定の職業や資格を一定期間喪失することになります。仕事を離れることで収入が途絶えてしまうなど、これに対応できない場合も、破産は事実上困難になります。
自己破産によるデメリットについても確認しておきましょう。
1. 個人信用情報機関のブラックリストに登録される
ブラックリストから名前が削除されるまでの期間は10年程度。その間、クレジットカードの利用、新たな借金やローンを組むことができなくなります。
2. 価値のある財産は処分される
処分される財産は裁判所によって異なりますが、持ち家などは当然処分されることになります。東京地方裁判所の場合は、以下の財産が処分しなくていい「自由財産」とされます。
・99万円以下の現金
・残高20万円以下の預貯金
・見込み額20万円以下の生命保険解約返戻金
・処分見込み額20万円以下の自動車
・居住用家屋の敷金債権
・電話加入権
・支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金債権
・支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7相当額
・家財道具
3. 一定の職種に就くことが制限される
制限職種として、弁護士、司法書士、税理士、宅地建物取引士、公認会計士、土地家屋調査士などのいわゆる「士業」があります。また、公証人、交通事故相談員、警備員、保険外交員、証券外務員、貸金業者などにも制限がかかります。さらに、会社の取締役も退任しなければなりません。制限期間は、ケースバイケースですが、申立後4~8か月が目安と言われます。
ただし、賃貸住宅の場合、家賃の滞納が3か月以上あった場合、それを理由に契約解除されることがあります。住所地がはっきりしていれば引っ越しは自由ですが、新しく部屋を借りる場合、信販系の会社が保証会社になっていると、ブラックリストに抵触するため、その部屋は借りられない可能性があります。
年間7万人が自己破産を宣告するのに対し、自殺者数は2020年から2021年、2万人超を記録しています(最悪だった2004年では3.4万人超)。自己破産は、自殺に至らないための最後の手段として有効な方法。よくよく考えて、相談するのがよさそうです。
年間7万人超の自己破産は、どんな手続きなのか?
コロナ禍の企業破産は一定限度に抑えられていますが、2018年以来自己破産件数は7万人を超えるレベルを保っています。身近になった自己破産について、間違ったイメージを持っていませんか。ローンが払えなかった時点で差し押さえを受けたり、強制的に給料が取り立てられてしまったりするわけではありません。そもそも自己破産は、借金を返せない人が財産を処分するなどの方法で少しだけでも借金を返し、残りの借金については返さなくてもよくなるという手続きです。手続きは、「破産手続き」と「免責手続き」の二段階があります。まずは、手続きの流れを追ってみましょう。
手続きは、破産する人(債務者)が裁判所に「破産手続開始の申立て」をすることで始まります。これを受けた裁判所が「破産手続開始」を決定すると、「破産手続」と「免責手続」が始まります。
「破産手続」は、債務者の財産を金銭に換えて債権者に配当する手続です。このとき、債権者に配当できるような財産がなく、破産管財人による免責調査の必要もないと認められた場合、破産手続はそこで終了します(「同時廃止」)。
財産がある場合は引き続き「管財事件」として扱われ、破産管財人の財産調査などを経て、債権者への配当が行われます。この場合、申し立てから破産まで半年から1年程度要することになります。また、通常管財では最低予納金(手続き費用)が50万円、少額管財で進められる場合も最低予納金が20万円かかります。
「免責手続」は、「破産手続」に付随するものですから、破産せずに免責だけしてもらうことはできません。破産が認められた時点で「官報」への掲載がなされ、裁判所が免責を決定します。この時点で、借金はゼロになります。
自己破産できないのは、どんなケース?
自己破産ができないケースも、いろいろ考えられます。まず「債務が100万円以下の少額」の場合、返済不可能とは認められません。また、税金や公共料金、損害賠償金や養育費・慰謝料、従業員への給与などは「非免責債権」であり、チャラにはできません。
さらに「破産法」により免責不許可事由が定められており、以下のようなケースでは自己破産が認められません。
・債務を負った理由がギャンブルなどの浪費が原因である場合
・自らが支払い不能状態にあることを認識したうえで債権者と金銭売買などの取引をした場合
・債権者を侵害する目的で自らの財産を減少させたり隠したりした場合
・裁判所に対して虚偽の申告や説明の拒否をした場合
・自己破産の免責を過去7年以内に受けている場合
また、自己破産にかかる予納金が支払えない場合も破産手続は進められませんが、裁判所に依頼して引継予納金を分割払いにしてもらう、法テラスを利用して一時的に予納金を立て替えてもらう(※生活保護受給者に限ります)など、対処の方法があります。
また、自己破産の手続き期間中や自己破産後は、ある特定の職業や資格を一定期間喪失することになります。仕事を離れることで収入が途絶えてしまうなど、これに対応できない場合も、破産は事実上困難になります。
自己破産のデメリットとは?
自己破産には借金を返済しなくてもよくなり、取り立てというストレスから解放されるという大きなメリットがあります。また、生活費まで奪われることはなく、自己破産後も自分の財産を築いていくことが可能になります。自己破産によるデメリットについても確認しておきましょう。
1. 個人信用情報機関のブラックリストに登録される
ブラックリストから名前が削除されるまでの期間は10年程度。その間、クレジットカードの利用、新たな借金やローンを組むことができなくなります。
2. 価値のある財産は処分される
処分される財産は裁判所によって異なりますが、持ち家などは当然処分されることになります。東京地方裁判所の場合は、以下の財産が処分しなくていい「自由財産」とされます。
・99万円以下の現金
・残高20万円以下の預貯金
・見込み額20万円以下の生命保険解約返戻金
・処分見込み額20万円以下の自動車
・居住用家屋の敷金債権
・電話加入権
・支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金債権
・支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7相当額
・家財道具
3. 一定の職種に就くことが制限される
制限職種として、弁護士、司法書士、税理士、宅地建物取引士、公認会計士、土地家屋調査士などのいわゆる「士業」があります。また、公証人、交通事故相談員、警備員、保険外交員、証券外務員、貸金業者などにも制限がかかります。さらに、会社の取締役も退任しなければなりません。制限期間は、ケースバイケースですが、申立後4~8か月が目安と言われます。
自己破産=人生の終わりではない
よくある誤解として、破産しても債務者の取り立てが続く、破産すると会社をクビになる、戸籍や住民票に「破産」歴が記載される、給料や年金、生活保護、失業保険等が差し押さえられる、賃貸住宅を追い出される、選挙権がなくなる、海外旅行に行けなくなるなどがあります。こうしたことはありません。ただし、賃貸住宅の場合、家賃の滞納が3か月以上あった場合、それを理由に契約解除されることがあります。住所地がはっきりしていれば引っ越しは自由ですが、新しく部屋を借りる場合、信販系の会社が保証会社になっていると、ブラックリストに抵触するため、その部屋は借りられない可能性があります。
年間7万人が自己破産を宣告するのに対し、自殺者数は2020年から2021年、2万人超を記録しています(最悪だった2004年では3.4万人超)。自己破産は、自殺に至らないための最後の手段として有効な方法。よくよく考えて、相談するのがよさそうです。
<参考サイト>
・法テラス:自己破産とは何ですか?
https://www.houterasu.or.jp/app/faq/detail/00793
・法テラス:自己破産とは何ですか?
https://www.houterasu.or.jp/app/faq/detail/00793
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