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宇宙の果てには何があるのか?
「宇宙の果てには何があるのか?」と問われたとき、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。具体的に「形あるもの」や「形のないイメージ」を思い浮かべるでしょうか。それとも、「何も思い浮かばない」でしょうか。
今回は、宇宙の果てをめぐる諸説から、宇宙の果てを思考するためにも重要な「宇宙の形」のイメージ方法について、紹介していきたいと思います。
宇宙物理学的に考えると、宇宙の地平線より遠い所の情報を得ることができません。そして、様々な観測結果によって地平線内の宇宙は一様等方に非常に近いことがわかっていることから、地平線内の領域に宇宙の果てがあることはなく、また仮に地平線の外側に宇宙の果てがあったとしても、それを観測する手段がないといわれています。
(2)宇宙の果ては……構造上ない説
そもそも論として、構造上宇宙には果てがないという説があります(ただし、宇宙は無限ではない)。例えば、宇宙が球面(三次元球面)やトーラス型(ドーナツ型)であり、「宇宙の端と端は繋がっている」説などがあります。
(3)宇宙の果ては……別の宇宙に繋がっている説
太陽系のように我々が存在する宇宙だけでなく、宇宙は別の宇宙が無数に存在するかもしれないという「マルチバース」説や、銀河が巨大な泡(バブル)状に分布しているとする「宇宙のバブル構造」説などがあります。
※マルチバース:ユニバース(宇宙)のユニ(単一)をマルチ(多重、多数)に置き換えた造語)。
ただし、近年の専門家の見解は、“宇宙には「果てはない」が「限りはある」”が主流のようです。すると新たな問い、「“「果てはない」が「限りはある」宇宙”とは?」という問いが浮かんできます。そこで、「位相幾何学(トポロジー)」の観点から、「宇宙の形」をめぐってみましょう。
まず、「三次元球面」という形をイメージしてみましょう。
【「三次元球面」のイメージ】
(1)2つの粘土の球を用意する
(2)(1)で用意した2つの粘土の球のお互いの“表面を全て”くっつける
(3)残らずくっついた状態が「三次元球面(※)」
※三次元の“球体”ではなく“球面”であることに注意。
上記の(3)でできた「三次元球面」は、別の表現をすると“四次元空間に浮かんだ球面”といえます。
次に、「三次元球面」=“四次元空間に浮かんだ球面”のイメージをもったまま、「三次元球面」を宇宙と仮定し、その中をロケットで進むことによって、“「果てはない」が「限りはある」宇宙”をイメージしてみましょう。
【「三次元球面」から“「果てはない」が「限りはある」宇宙”をイメージする】
1.“四次元空間に浮かんだ球面”である「三次元球面」を宇宙だと仮定する
2.(「三次元球面」と仮定した)宇宙の中をロケットで進むと同じ場所に戻る(※)
※地球を直進すると1周して同じ場所に戻るように、「三次元球面」を二次元的に直進すると、実際は三次元の方向に曲がっているため、同じ場所に戻る。→つまり“果てしなく”進める。
3.けれどそもそも「三次元球面」は球を2つくっつけただけなので、体積は“限りがある”→つまり“宇宙には「果てはない」が「限りはある」”といえる。
いかがでしたでしょうか。科学の進歩や時代の流れとともに宇宙の果てをめぐる諸説も変化し、それによって「宇宙の形」のイメージも変容しています。宇宙の果てを考えることは文字通り果てしない思考ではありますがそれゆえに、多様かつ大いなるロマンを秘めています。
今回は、宇宙の果てをめぐる諸説から、宇宙の果てを思考するためにも重要な「宇宙の形」のイメージ方法について、紹介していきたいと思います。
宇宙の果てをめぐる3節
(1)宇宙の果ては……観測できない説宇宙物理学的に考えると、宇宙の地平線より遠い所の情報を得ることができません。そして、様々な観測結果によって地平線内の宇宙は一様等方に非常に近いことがわかっていることから、地平線内の領域に宇宙の果てがあることはなく、また仮に地平線の外側に宇宙の果てがあったとしても、それを観測する手段がないといわれています。
(2)宇宙の果ては……構造上ない説
そもそも論として、構造上宇宙には果てがないという説があります(ただし、宇宙は無限ではない)。例えば、宇宙が球面(三次元球面)やトーラス型(ドーナツ型)であり、「宇宙の端と端は繋がっている」説などがあります。
(3)宇宙の果ては……別の宇宙に繋がっている説
太陽系のように我々が存在する宇宙だけでなく、宇宙は別の宇宙が無数に存在するかもしれないという「マルチバース」説や、銀河が巨大な泡(バブル)状に分布しているとする「宇宙のバブル構造」説などがあります。
※マルチバース:ユニバース(宇宙)のユニ(単一)をマルチ(多重、多数)に置き換えた造語)。
宇宙には「果てはない」が「限りはある」?
以上のように宇宙に関する諸説をみていくと、「宇宙の果てには何があるのか?」の大いなる問いについては、少なくとも現時点では、そもそも「回答不可能」であり「わからない」と言わざるを得ない状況にあるといえます。ただし、近年の専門家の見解は、“宇宙には「果てはない」が「限りはある」”が主流のようです。すると新たな問い、「“「果てはない」が「限りはある」宇宙”とは?」という問いが浮かんできます。そこで、「位相幾何学(トポロジー)」の観点から、「宇宙の形」をめぐってみましょう。
まず、「三次元球面」という形をイメージしてみましょう。
【「三次元球面」のイメージ】
(1)2つの粘土の球を用意する
(2)(1)で用意した2つの粘土の球のお互いの“表面を全て”くっつける
(3)残らずくっついた状態が「三次元球面(※)」
※三次元の“球体”ではなく“球面”であることに注意。
上記の(3)でできた「三次元球面」は、別の表現をすると“四次元空間に浮かんだ球面”といえます。
次に、「三次元球面」=“四次元空間に浮かんだ球面”のイメージをもったまま、「三次元球面」を宇宙と仮定し、その中をロケットで進むことによって、“「果てはない」が「限りはある」宇宙”をイメージしてみましょう。
【「三次元球面」から“「果てはない」が「限りはある」宇宙”をイメージする】
1.“四次元空間に浮かんだ球面”である「三次元球面」を宇宙だと仮定する
2.(「三次元球面」と仮定した)宇宙の中をロケットで進むと同じ場所に戻る(※)
※地球を直進すると1周して同じ場所に戻るように、「三次元球面」を二次元的に直進すると、実際は三次元の方向に曲がっているため、同じ場所に戻る。→つまり“果てしなく”進める。
3.けれどそもそも「三次元球面」は球を2つくっつけただけなので、体積は“限りがある”→つまり“宇宙には「果てはない」が「限りはある」”といえる。
いかがでしたでしょうか。科学の進歩や時代の流れとともに宇宙の果てをめぐる諸説も変化し、それによって「宇宙の形」のイメージも変容しています。宇宙の果てを考えることは文字通り果てしない思考ではありますがそれゆえに、多様かつ大いなるロマンを秘めています。
<参考文献・参考サイト>
・『宇宙まるごとQ&A』(北本俊二・原田知広・亀田真吾著、理工図書)
・「エレファント」『Q.E.D.-証明終了- 29』(加藤元浩著、月刊マガジンコミックス)
・『ここまで解けた!宇宙の謎と不思議を楽しむ本』(藤井旭著、PHP研究所)
・「宇宙[天文/宇宙]」『情報・知識 imidas』(加藤賢一・縣秀彦著、集英社)
・「宇宙の形[数学]」『情報・知識 imidas』(岡部恒治著、集英社)
・「マルチバース」『デジタル大辞泉』(小学館)
・「宇宙のバブル構造」『日本大百科全書』(広瀬立成著、小学館)
・宇宙の果てには何があるのか?│雑学ミステリー
https://zatsugaku-mystery.com/end-of-the-universe/
・宇宙の果てには何があるの? 専門家に聞いてみた│GIZMODO
https://www.gizmodo.jp/2019/02/whats-at-the-edge-of-the-universe.html
・『宇宙まるごとQ&A』(北本俊二・原田知広・亀田真吾著、理工図書)
・「エレファント」『Q.E.D.-証明終了- 29』(加藤元浩著、月刊マガジンコミックス)
・『ここまで解けた!宇宙の謎と不思議を楽しむ本』(藤井旭著、PHP研究所)
・「宇宙[天文/宇宙]」『情報・知識 imidas』(加藤賢一・縣秀彦著、集英社)
・「宇宙の形[数学]」『情報・知識 imidas』(岡部恒治著、集英社)
・「マルチバース」『デジタル大辞泉』(小学館)
・「宇宙のバブル構造」『日本大百科全書』(広瀬立成著、小学館)
・宇宙の果てには何があるのか?│雑学ミステリー
https://zatsugaku-mystery.com/end-of-the-universe/
・宇宙の果てには何があるの? 専門家に聞いてみた│GIZMODO
https://www.gizmodo.jp/2019/02/whats-at-the-edge-of-the-universe.html
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