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現在の「初任給」の平均はどれぐらい?
バンダイナムコグループの大卒初任給30%引き上げが、話題になっています。2022年4月入社の大卒新入社員は月額29万円の初任給がもらえるということで、全産業平均(大卒事務系)の21.9万円を7万円以上も上回る高水準です。初任給戦線に、何か起こっているのでしょうか。
一方、厚生労働省の調査によると、2021年3月の新規学卒者初任給の全国平均は高卒男子18.2万円、高卒女子17.6万円、専門学校卒男子20.4万円、専門学校卒女子20.9万円、高専・短大卒男女とも20.0万円、大卒男子22.7万円、大卒女子22.4万円、大学院卒男子25.4万円、大学院卒女子25.1万円となっています。
この数年の流れを見ると、2014~2019年は業績の拡大により増加傾向にあった初任給が、2021年の調査では8年ぶりにすべての学歴で0.5%を下回る水準になりました。具体的には、前年の初任給据え置き企業が69.6%に達しています(経団連発表)。
大卒事務系にしぼって比較してみると、全産業平均21.9万円を100とした場合、製造業平均は99.5、非製造業平均は100.6となっています。やはり経団連発表資料から、ここ5年間の好調な業種を探ってみましょう。カッコ内の数字は各年の全産業平均を100としたときの数字です。
<年:1位/2位/3位/4位/5位>
2017:石油・石炭製品(115.5)/新聞・出版・印刷(110.9)/化学・ゴム(102.3)/土木建設業(101.9)/紙・パルプ(101.4)
2018:土木建設業(103.5)/紙・パルプ(103.1)/化学・ゴム(102.3)/金融・保険(101.4)/卸売・小売業(100.7)
2019:土木建設業(103.0)/化学・ゴム(102.9)/金融・保険(102.6)/運輸・通信(102.6)/サービス(100.6)
2020:土木建設業(103.6)/化学・ゴム(102.8)/金融・保険(102.1)/サービス(101.8)/卸売・小売業(100.1)
2021:石油・石炭製品(109.3)/新聞・出版・印刷(105.0)/土木建設業(103.9)/化学・ゴム(103.8)/卸売・小売業(101.5)/サービス(101.5)
製造業では「石油・石炭製品」や「新聞・出版・印刷」「化学・ゴム」など、非製造業では「土木建設業」の好調が目立ちます。一方で「電気・ガス業」のように例年平均を下回る業種ではせいぜい95~96%程度が続いています。2021年に最高業績の「石油・石炭製品」と比較すると、額面で3万円の差が見られるほどです。
ただし初任給の計算については、諸手当を足すかどうかで相当差が出ます。いわゆるブラック企業では諸手当のほか一律の「みなし残業代」をプラスした額が求人の際に提示されることが多く、「初任給25万円」となっていても、時給換算すると最低賃金を下回る場合がほとんどです。
<年:院卒男子/大卒男子/高専・短大卒男子/高卒男子/院卒女子/大卒女子/高専・短大卒女子/高卒女子>
1981(昭和56): --/120.8/106.5/98.4/--/115.0/102.6/93.1
1986(昭和61): --/144.5/126.5/115.4/--/138.4/120.5/108.5
1991(平成3):--/179.4/155.1/140.8/--/172.3/146.5/133.2
1996(平成8):--/193.2/166.8/154.5/--/183.6/158.7/144.7
2001(平成13): --/198.3/170.3/158.1/--/188.6/163.8/148.7
2006(平成18): 224.6/199.8/171.2/157.6/226.0/190.8/166.8/149.4
2011(平成23): 233.9/205.0/175.5/159.4/237.3/197.9/170.5/151.8
2016(平成28): 231.7/205.9/179.7/163.5/229.7/200.0/175.2/157.2
2021(令和3):254.1/226.7/199.8/181.6/250.9/223.9/199.8/176.3
2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、リーマンショック期に次ぐGDPの減少が見られましたが、それでも初任給が多少とも上昇しているのは、少子高齢社会の影響です。
国立社会保障・人口問題研究所の推計している将来人口推計によると、2040年には18歳人口が88.2万人、22歳人口が97.8万人にまで減少する見込み。つまり新卒マーケットはそれだけ縮小していくわけです。今後、多くの企業で新卒社員の獲得競争が起きるようになると、新卒はまさに「金のタマゴ」。その後の昇給はともかく、初任給を大盤振る舞いする企業が増えていくのは間違いありません。
初任給にも「格差」の時代がやってきた?
バンダイナムコ以上の高報酬を打ち出しているのが、岩国市の旭酒造。何と大卒新入社員の初任給を一気に9万円も高い30万円にまで引き上げることにしたといいます。バンダイナムコはガンダムやドラゴンボールの、旭酒造は日本酒「獺祭」の海外での好成績を反映したかたち。両社とも既存社員の基本給についても大幅にアップする方針を打ち出しています。一方、厚生労働省の調査によると、2021年3月の新規学卒者初任給の全国平均は高卒男子18.2万円、高卒女子17.6万円、専門学校卒男子20.4万円、専門学校卒女子20.9万円、高専・短大卒男女とも20.0万円、大卒男子22.7万円、大卒女子22.4万円、大学院卒男子25.4万円、大学院卒女子25.1万円となっています。
この数年の流れを見ると、2014~2019年は業績の拡大により増加傾向にあった初任給が、2021年の調査では8年ぶりにすべての学歴で0.5%を下回る水準になりました。具体的には、前年の初任給据え置き企業が69.6%に達しています(経団連発表)。
初任給の高い業種はある?
絶好調の企業はさておき、一般的に初任給には業種による差があるものなのでしょうか。大卒事務系にしぼって比較してみると、全産業平均21.9万円を100とした場合、製造業平均は99.5、非製造業平均は100.6となっています。やはり経団連発表資料から、ここ5年間の好調な業種を探ってみましょう。カッコ内の数字は各年の全産業平均を100としたときの数字です。
<年:1位/2位/3位/4位/5位>
2017:石油・石炭製品(115.5)/新聞・出版・印刷(110.9)/化学・ゴム(102.3)/土木建設業(101.9)/紙・パルプ(101.4)
2018:土木建設業(103.5)/紙・パルプ(103.1)/化学・ゴム(102.3)/金融・保険(101.4)/卸売・小売業(100.7)
2019:土木建設業(103.0)/化学・ゴム(102.9)/金融・保険(102.6)/運輸・通信(102.6)/サービス(100.6)
2020:土木建設業(103.6)/化学・ゴム(102.8)/金融・保険(102.1)/サービス(101.8)/卸売・小売業(100.1)
2021:石油・石炭製品(109.3)/新聞・出版・印刷(105.0)/土木建設業(103.9)/化学・ゴム(103.8)/卸売・小売業(101.5)/サービス(101.5)
製造業では「石油・石炭製品」や「新聞・出版・印刷」「化学・ゴム」など、非製造業では「土木建設業」の好調が目立ちます。一方で「電気・ガス業」のように例年平均を下回る業種ではせいぜい95~96%程度が続いています。2021年に最高業績の「石油・石炭製品」と比較すると、額面で3万円の差が見られるほどです。
ただし初任給の計算については、諸手当を足すかどうかで相当差が出ます。いわゆるブラック企業では諸手当のほか一律の「みなし残業代」をプラスした額が求人の際に提示されることが多く、「初任給25万円」となっていても、時給換算すると最低賃金を下回る場合がほとんどです。
40年前の初任給は…、10年後はどうなる?
新規学卒者初任給の推移については、労働政策研究・研修機構が統計を発表しています。現在の貨幣価値とは若干異なりますが、5年ごとに表示してみます。(単位は千円。2021年のみ厚労省令和3年賃金構造基本統計調査による)<年:院卒男子/大卒男子/高専・短大卒男子/高卒男子/院卒女子/大卒女子/高専・短大卒女子/高卒女子>
1981(昭和56): --/120.8/106.5/98.4/--/115.0/102.6/93.1
1986(昭和61): --/144.5/126.5/115.4/--/138.4/120.5/108.5
1991(平成3):--/179.4/155.1/140.8/--/172.3/146.5/133.2
1996(平成8):--/193.2/166.8/154.5/--/183.6/158.7/144.7
2001(平成13): --/198.3/170.3/158.1/--/188.6/163.8/148.7
2006(平成18): 224.6/199.8/171.2/157.6/226.0/190.8/166.8/149.4
2011(平成23): 233.9/205.0/175.5/159.4/237.3/197.9/170.5/151.8
2016(平成28): 231.7/205.9/179.7/163.5/229.7/200.0/175.2/157.2
2021(令和3):254.1/226.7/199.8/181.6/250.9/223.9/199.8/176.3
2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、リーマンショック期に次ぐGDPの減少が見られましたが、それでも初任給が多少とも上昇しているのは、少子高齢社会の影響です。
国立社会保障・人口問題研究所の推計している将来人口推計によると、2040年には18歳人口が88.2万人、22歳人口が97.8万人にまで減少する見込み。つまり新卒マーケットはそれだけ縮小していくわけです。今後、多くの企業で新卒社員の獲得競争が起きるようになると、新卒はまさに「金のタマゴ」。その後の昇給はともかく、初任給を大盤振る舞いする企業が増えていくのは間違いありません。
<参考サイト>
・賃金構造基本統計調査の概況│厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou_a.html
・新卒の初任給の平均は?基本給や額面、手取り給与の違いを含めて解説│「フレマガ」三井住友カード
https://www.smbc-card.com/nyukai/magazine/fremaga/money/salary.jsp
・Policy│日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/
・賃金構造基本統計調査の概況│厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou_a.html
・新卒の初任給の平均は?基本給や額面、手取り給与の違いを含めて解説│「フレマガ」三井住友カード
https://www.smbc-card.com/nyukai/magazine/fremaga/money/salary.jsp
・Policy│日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/
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追加日:2025/11/06


