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DATE/ 2022.06.08

世界の「英語力」ランキング

 今や小学校から習い始めるようになった英語。「英語力はどれくらいありますか?」と聞かれると、自信がある人もいれば、大人になってからすっかり疎遠になっているので自信がないという人もいるでしょう。そもそも、日本は世界的に見るとどの程度の英語力があるのでしょうか? 今回は世界規模で英語力を定点観測しているEF EPIのランキングをもとに、世界の英語力ランキングと日本の立ち位置をご紹介しましょう。

EF EPIとは?

 EF EPI(Education First English Proficiency Index)とは世界最大級の語学学校であるEF Education Firstが行っている、各国の英語力をランク付けしたものです。EFが実施する英語テストデータがベースとなっていて、2021年度の結果では112の国から220万人もの受験者が参加しています。EFが実施しているテストにはオンライン上で無料で受験できるEF SETというものがあり、誰でも受験することができるという特徴があります。つまり、各国の特定の属性のテスト結果を比較した調査ではなく、EF SETを受験した人の中でのランク付けになるので、各国を代表する結果ではないことは心に留めておいてください。

ランキング上位10位の国

 2021年度の調査では、上位10国は下記の通りとなりました。シンガポール以外の9国はすべてヨーロッパの国がランクイン。ランキング全体を見てもヨーロッパは高得点の傾向にあることが分かっています。

1位 オランダ
2位 オーストリア
3位 デンマーク
4位 シンガポール
5位 ノルウェー
6位 ベルギー
7位 ポルトガル
8位 スウェーデン
9位 フィンランド
10位 クロアチア

 なお、気になる日本のランキングは、なんと112か国中78位という結果に。アジア24か国の中でも13位にとどまっていて、非常に高い・高い・標準・低い・非常に低いの5段階で分けたときには「低い」に該当してしまっているのです。英語を第二言語として使っている国に比べると英語力が高くないのは当然のことですが、韓国や中国といった英語をあまり使わない国よりも低い位置にいることから、日本の英語力はイマイチであることがうかがえます。

なぜ英語力がイマイチなのか?

 いくつか考えられる理由のひとつに、言語体系から見た問題が挙げられます。アメリカ国務省の機関によると、英語話者にとって日本語はもっとも時間がかかる言語のひとつだといわれています。日本語と英語では使用する文字も発音も違いますし、文法の基本的な構造すらも違うためです。ヨーロッパの言語と英語は似てるものの、日本語は全く違うことを考えると、英語が身につきにくいということは頷けるのではないでしょうか。こうした状況が日本の英語力の低さにつながっているといえるでしょう。

 また、英語がなくても生活できる環境にあることも理由のひとつだといえます。日本では日本語さえ話せれば生活に問題はありませんが、異民族が共存する国では共通語として英語を使うのは珍しいことではありません。また、発展途上の国では母国語では勉強できない、本や映画の娯楽も楽しむことができないので、英語を習得する必要に迫られることもありますが、日本ではそのシチュエーションに遭遇することはほぼありません。英語を使う必要がなければ英語力は伸びない、というのは当たり前のことです。

英語力向上は未来への投資

 いかがでしたか? 思ったよりも日本の英語力が低いことや、日本人にとって英語は習得が難しいことが分かって、より英語と距離を置いてしまうかもしれません。しかし、今後ますます進むグローバル化の中で、英語を話せることは自身の助けになることは間違いないでしょう。自分の英語力はどの程度なのだろう?と思った方は、ぜひEF SETを受けて確かめてみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・EF EPI 2021 - EF 英語能力指数
https://www.efjapan.co.jp/epi/
・「世界の英語力」ランキング最新版発表。データから見えた日本の現実は? | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
https://forbesjapan.com/articles/detail/46838
・日本人の英語力|アジア最低の理由と根本的な5つの対策はこれだ│The English Club
https://english-club.jp/blog/japanese-english-ability/
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西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授