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DATE/ 2023.01.11

AT限定で「MT車運転」は無免許運転なのか?

 自動車の運転免許には「AT限定」と、特に限定なくMT(マニュアルトランスミッション)でもAT(オートマチックトランスミッション)でも運転できるものがあります。基本的には免許を取得する時に選んだはずです。割合を見てみると2021年の段階で「AT限定」免許保持率は66%、全体のおよそ3分の2の人はAT限定免許です。昨今は新車でMTの車はかなり少なくなっていることも影響して、AT限定で免許を取る人が増えていると思われます。では、もしAT限定の免許でMT車を運転した場合、「無免許運転」となってしまうのでしょうか。

「無免許運転」ではなく「免許条件違反」となる

 結論から言ってしまえば、免許自体は所持していることからAT限定の免許でMT車を運転しても「無免許運転」とはなりません。その代わり運転の条件を満たしていないので、「免許条件違反」の罪にはなります。これは「条件に『眼鏡等』と書かれているのに眼鏡やコンタクトをせず裸眼で運転した」、「中型8トン限定免許で8トン以上の中型車を運転した」といった場合と同様です。

 この場合の罰則は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金となっています。また違反点数は2点、普通車の場合で7000円の反則金を科されることになります。また、もしその状態で事故を起こしてしまった場合は、過失が上乗せされる可能性が高くなることにも注意が必要です。

 特に気をつけなければならない点は、免許の種類が違うものを運転した場合は「免許条件違反」ではなく「無免許運転」となる点です。たとえば中型免許を持つドライバーが大型トラックを運転した場合、また二輪でも普通二輪免許で大型二輪を運転した場合が考えられます。「無免許運転」の違反点数25点(免許取消)、1年以下の懲役または30万円以下の罰金。「免許条件違反」と比べるとかなり重い罪なので、ここはしっかり意識しておきましょう。

免許条件は限定解除手続きを通れば解除できる

 このように、免許条件はその免許証が有効な範囲において条件がつくので、条件をクリアしていれば、解除可能です。仕事先の車がMTであるとか、欲しい車がMTだったといったこともあり得ます。そういった時にはAT限定解除の審査を受けましょう。審査を受けて合格すれば条件が解除され、運転できるようになります。このための方法は2つ。自動車教習所で技能審査を受ける方法と直接試験場に行って審査を受ける方法です。

 自動車教習所で行う技能講習では、最低4時間の講習が義務付けられています。教習内容は、「クラッチペダル・チェンジレバーの取扱い」、「発進及び停止」、「変速操作」、「ブレーキ操作」、「坂道の通過」、「狭路(曲線・屈折)の通過」、「坂道発進」、「踏切通過」、「方向変換及び縦列駐車」、「教習効果の確認(みきわめ)」の10項目。これらの教習を受け、審査に合格後、手続きを経て限定解除となります。

 試験場では手数料を払って技能審査をその場でパスすれば手続きすることができます。ちなみに「眼鏡等」といった免許条件に関しても、運転免許センターや所定の警察署で視力検査を受けて合格すれば解除できます。もしレーシック手術などで視力が回復した場合は忘れずに。条件解除をせずに運転すると、視力が回復していたとしても免許条件違反となってしまいます。

<参考サイト>
無免許運転とは|交通違反の定義と該当する状況まとめ|交通事故弁護士ナビ
https://jico-pro.com/magazine/91/#toc_anchor-1-6
AT限定免許しかないのに「MT車を運転」は無免許運転になる? それとも…?|くるまのニュース
https://kuruma-news.jp/post/585143
無免許運転と免許条件違反は何が違うのか「普通二輪免許で大型二輪に乗ってしまった場合は?」|モーサイ
https://mc-web.jp/life/50575/
交通違反の点数一覧表|警視庁
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/torishimari/gyosei/seido/tensu.html
運転免許を取得、ATとMTのどちらが良いのか|GAZOO
https://gazoo.com/column/oth/21/11/17/

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