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DATE/ 2023.04.03

駐車場からの「はみ出し駐車」は違反なのか?

 家に車を停める際には、基本的には車のサイズに合った駐車場に停めているはずです。これは主に車の購入時に行う「自動車保管場所証明書(車庫証明書)」などの取得手続きの際に確認されています。ではもしはみ出した場合は違反として取り締まられるのでしょうか。またこの辺りにはどういった線引きがあるのでしょうか。少し詳しくみてみましょう。

自宅から2km以内の場所に車が収まる車庫が必要

 一般車の場合全国どこでも、必ず「自動車保管場所証明書(車庫証明書)」が必要ですが、これは自動車が収まるかどうかという点もチェックされています。また軽自動車については地域によって若干状況が変わることもあるようです。一般的には購入後に「保管場所届出」を行う場所が多いようです。また「車庫証明」は道路に車がはみ出すような状況が発生する可能性がある場合、発行されません。車庫証明が発行される条件は「自宅から2km以内の場所、かつ車がしっかりと収まる場所」と決められています。

 つまり、その車庫で証明が取得できている車であれば、基本的には車庫にすっぽり収まるはずです。もし公道にはみ出していた場合、道路交通法での駐車禁止場所に駐車している扱いになることが考えられます。また「当該車両の右側に3.5メートル以上の余地がない場所」だった場合、程度によっては「放置駐車違反」、とくに「無余地駐車」とされる可能性もでてきます。

 また「車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)」違反になる可能性もあります。この法律では「同一の道路上に12時間以上駐車しないこと、また夜間に同一の場所に8時間以上駐車しないこと」が定められており、違反すると3ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金となります。ではどのくらいはみ出すとアウトなのでしょうか。この点には基本的にはみ出しているかどうかという観点のみしかないようです。ただ通行に大きな影響がないはみ出しの場合、警察官の判断によると考えていいようです。

はみ出し駐車で困ったら警察か自治体へ

 ではこういったはみ出した車両によって通行に問題が生じていた場合、どういった対処を行えばよいのでしょうか。まずは警察に連絡することが考えられます。これにより駐車違反として取り締まられる可能性はあります。一方、車庫法に違反する条件は「12時間以上、もしくは夜間8時間以上」の駐車なので、この状況が証明されなければなりません。ややハードルが高いですが、監視カメラなどの映像から判明することもあるようです。

 直接警察に通報するのがためらわれる場合や問題がやや複雑な場合、自治体の相談窓口で相談してみるのも一手です。そもそも駐車場に入りきれない車である場合、車庫証明は取得できていないはずなので、問題は大きいと言えるでしょう。一方で、車庫に別のもの(自転車や植木など)を置いていて入りきれていない、いい加減に駐車しているということであれば、警察から注意がいくということになるようです。

駐車場飛ばしは重い罪

 もし車庫証明で虚偽の申請をした場合、いわゆる「車庫飛ばし」として刑法にも抵触する(つまり犯罪となる)可能性が出てきます。車庫飛ばしの罰則の一例としては、「保管場所の不届け、虚偽提出」10万円以下の罰金、「虚偽の保管場所証明申請」20万円以下の罰金、「公正証書に不実な記録を届け出た場合(車庫法)」5年以下の懲役または50万円以下の罰金といったものがあります。重い罪であることがわかります。

 気をつけたいのはうっかり車庫飛ばしになってしまう場合です。たとえば引っ越しや単身赴任などで登録場所の変更を怠ってしまうこともあるでしょう。車の保管場所の変更は住所を変更した日から15日以内に行う必要があります。これを怠ると「保管場所の不届け」となり、罰金が課される可能性があります。もちろん届け忘れたことですぐに問題が起きるわけではありません。しかし怠っていると、問題が起きたときに事態が悪化することは想像に難くありません。忘れないうちに管轄の警察署で申請手続きを済ませておきましょう。

<参考サイト>
保管場所証明申請手続│警視庁
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/hokan/syako_tetsuzuki/jidousha_syomei.html
車庫法違反に気をつけよう!知らずに違反している場合も?│MOBY
https://car-moby.jp/article/car-life/road-traffic-law-accident/garage-law-violation/
車庫飛ばしとは|車庫証明と違う場所で車を使用する違法行為! 車庫飛ばしがバレる例もご紹介|MOTA
https://autoc-one.jp/knowhow/5002074/
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