テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
DATE/ 2023.04.06

なぜ都会は「花粉症」の人が多いのか

 春の訪れは楽しい季節でもありながら、花粉症の季節でもあります。スギ花粉の飛散量の予想がニュースで流れ始めると、鼻水やくしゃみが止まらない…そんな花粉症に悩まされている方は少なくないのではないでしょうか。特に都市部に住んでいる人は花粉症を発症する割合が多いため、花粉症シーズンになると、頭を抱えて日々を過ごす人も少なくないでしょう。

 しかし、考えてみればスギの木そのものは都会の方が少ないはず。なぜ、都市部の人の方が花粉症になってしまいやすいのでしょうか? その不思議について調べてみました。

花粉症発症のメカニズム

 そもそも花粉症とは、体内に侵入したスギ花粉などのアレルゲンに対する免疫反応として起こるものです。私たちの体は、アレルゲンが体内に入る度にIgE抗体というアレルゲンを排除する抗体を作ります。しかし、体内のIgE抗体の量が一定の基準を超えると、次にアレルゲンが体内に入ってきたときにIgE抗体ではなく、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンなどの化学物質を分泌するようになってしまうのです。この化学物質が分泌されると花粉症を発症してしまう、というのが花粉症のメカニズムになっています。

 よく、体内には花粉を許容できるバケツがあって、それがいっぱいになったら花粉症を発症してしまうという例えがされますが、まさしくその通り。ある年から突然花粉症を発症した人は、IgE抗体の量が一定を超えてしまうことが原因だと言い換えることができるのです。どの程度で発症してしまうのかは親からの遺伝によるものや個人が持つアレルギー耐性によっても大きく異なるため、幼少期から花粉症になる人もいれば、生涯花粉症と無縁の人もいる、ということになるのです。

都市部での花粉症の発症率が高いのはなぜ?

 花粉症のメカニズムを知ると、スギの木が多くスギ花粉を吸い込みやすい郊外の方が、都市部よりも発症しやすいのでは?と思いますよね。しかし、ダイキンの調査によるとスギ人工林の少ない東京近郊の首都圏や大阪、愛知などの方が花粉症を発症している人の割合が多いという結果が出ています。

 その理由としては「再飛散がしやすい」ということが考えられます。スギが多いエリアだとしても地面に土が多ければ、花粉の一部は土に吸収されるため、飛散する量は少なくなります。一方、都市部の場合には土の面積が少なく地面がコンクリートやアスファルトに覆われているため、花粉が地面に落ちても吸収されることなく風に巻き上げられて再飛散してしまうのです。そのため、結果として人体に入る花粉の量が多くなってしまっている、ということです。

 別の理由として「花粉症を悪化させる物質が多い」ことも考えられています。都市部の空気中には排ガスやPM2.5など、アジュバントと呼ばれる大気汚染物質が多く含まれています。このアジュバント物質もアレルゲンと同じ役割を果たすために、体内でアレルゲンを受け入れられるバケツがいっぱいになるスピードを速めてしまうのです。

花粉症の対策としてできること

 発症のメカニズムから考えると、花粉症の対策としては「なるべく花粉を体内に入れないこと」がもっとも効果的だということが分かるでしょう。花粉の多い時期は花粉がつきにくい、つるつるした生地の服を選ぶ、洗濯物を外に干さない、外から帰ってきたときには服についた花粉を払う、花粉を吸い込まないようにマスクをするようにするなど、ひとつひとつの細かい対策が大切になってきます。

 ただし、花粉というとスギ花粉を連想しますが、ヒノキやイネ、ブタクサなど年間を通してさまざまな花粉がとんでいます。スギ花粉を発症したからといって他の植物にも反応してしまうわけではありませんが、通年を通して花粉に対する必要があることをぜひ覚えておいてください。

・「花粉症について」:みんなの医療ガイド | 公益社団法人全日本病院協会
https://www.ajha.or.jp/guide/22.html
・都会の空気は花粉症を悪化させる? おぼえておきたい手軽にできる花粉対策 | 空気のマメ知識 | DAIKINストリーマ研究所 | ダイキン工業株式会社
https://www.daikin-streamer.com/article/004.html
・なぜ、都市部で花粉症にかかっている人の割合が高いのか? - ウェザーニュース
https://weathernews.jp/s/topics/202103/150185/
・都会で花粉症が増え続ける理由とは? | くらしにプラス | エステー株式会社
https://products.st-c.co.jp/plus/channel/10435/

あわせて読みたい