テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.08.02

「還暦以降の人生で不安なこと」5選

 40~50代になると、自分の老後について考える機会が増えてくるものです。肉体的、精神的な老いを感じることもポツポツと出てくるタイミングで、親の高齢化や介護の問題に直面する人もおり、そう遠くない未来に自分も年を取るのだと不安な気持ちになることもあるでしょう。その老後の一つの目安となるのがサラリーマンなら役職定年となる「還暦」。今年還暦を迎える1963年生まれの男女は約157万人いるそうです。

還暦後の人生で不安に思う5つのこと

 まずはプルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険が行なった「2023年の還暦人に関する調査」を見てみましょう。この調査では今年還暦を迎える1963年生まれの男女「還暦人(かんれきびと)」を対象にインターネットリサーチで実施し、有効サンプル2,000名の集計結果を公開しています。還暦を迎えることへの意識、仕事やマネー、不安や備え、「これまで」と「これから」等の様々な角度からリサーチされています。

 その中で「還暦以降の人生で不安に思うこと」の調査では、以下のような項目が上位に並びました。

1位「身体能力の低下」52.5%
2位「収入の減少」40.35%
3位「判断能力の低下」38.4%
4位「自分の介護」38.1%
5位「物価上昇」32.7%

 1位の「身体能力の低下」は体の病気や寝たきりなどへの不安であり、昨年の2位から1位へ順位がアップ。半数以上の人が危惧しているという結果に。コロナ禍で長期化した運動不足問題が背景にあるのでは、とコメントされています。がんなどの疾病も還暦を過ぎたあたりから急激に罹患しやすくなりますし、体力の低下や足腰の衰えは、長い老後を考えると大きな不安要素です。

 続いてランクインしたのは2位「収入の減少」。60歳以降の雇用形態の変更などへの不安と共に、この調査内の別トピックでも示されていた貯金の格差も影響。今年の還暦人の貯蓄額は平均3,454万円。昨年から比べると332万円の大幅増加となりましたが、一方で約4割が「300万円未満」。還暦以降の収入の減少をカバーするには心許ない経済状況の人が多く、さらに5位の「物価上昇」も追い討ちをかけるとなると不安は募るばかりです。

 そのほか、認知機能の低下や、自分自身の介護問題など、誰もが避けては通れない還暦後の心身への不安がランクインしています。

早めに意識したい定年後の3大リスク

 よく定年後の3大リスクとして挙げられるのが、「健康」「お金」「生きがいや、社会との繋がり」です。ほぼ「還暦以降の人生で不安なこと」と被っており、「なんとかなるだろう」では済まないリスクだということが分かっていますが、働き盛りの40代や、晩婚化により50代でもまだ子どもの教育費やローン等もかかる今は、還暦後をイメージして計画的に備えることができていない人も多いと思います。

 しかし「そろそろ老後の備えを始めないと、と思っていた頃に大病を患い、医療費が高額で老後のための貯蓄が全くできない」と嘆く50代前半の人もいるように、思うように人生はいかないものですから、早めに老後への意識を行動に移すことは大切なことです。また還暦を迎えて当初は定年退職を考えていたものの実際には働かないと経済的に厳しいため仕事を続けている人も多く、「のんびり老後を過ごしたかったけれど、働いたらお金だけでなく体力や仲間もできて、体の動くうちは仕事も悪くない」という60代の声もあります。

 還暦以降の人生への備えはもちろん必要ですが、60歳を迎えても「老後」という意識をし過ぎずに日常の中で出来ることをコツコツと続けていくことも、不安を減らす手立てに繋がるのではないでしょうか。

<参考サイト>
2023年の還暦人(かんれきびと)に関する調査│PGF生命
https://www.pgf-life.co.jp/company/research/2023/001.html#m12
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

グローバル主義が全ての元凶…トランプ政権がめざすのは?

グローバル主義が全ての元凶…トランプ政権がめざすのは?

米国システムの逆襲~解放の日と新世界秩序(1)米国システム「解放の日」

第二次トランプ政権は、その関税政策を発動させた日、4月2日を「解放の日」と称した。そこには、アメリカが各国の面倒を見るという第二次世界大戦以降の構図が、アメリカに損害をもたらしているという問題意識がある。「解放の...
収録日:2025/04/25
追加日:2025/05/20
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
2

「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ

「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ

デモクラシーの基盤とは何か(3)政治と経済を架橋するもの

「政治経済」と一口にいっても、両者を結びつけて思考することは簡単ではない。政治と経済を架橋するためには、その土台にある歴史や哲学、また実証的なデータを同時に検討する必要がある。これからの公共性を考えるための多角...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/23
3

トランプ政治と民主主義の危機…カント哲学から考える

トランプ政治と民主主義の危機…カント哲学から考える

編集部ラジオ2025(9)デモクラシーの危機と「哲学」

いま、世界各国で「デモクラシーの危機」が高まっています。これまでの常識を超えたドラスティックな政策を次々と打ち出す第2次トランプ政権はもちろん、欧州各国の政治状況もポピュリズム的な面を強くしています。また、ロシア...
収録日:2025/04/03
追加日:2025/05/22
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

日本のインテリジェンスは大丈夫か…行政機関の対応に愕然

日本のインテリジェンスは大丈夫か…行政機関の対応に愕然

医療から考える国家安全保障上の脅威(4)国家インテリジェンスの課題

「日本のインテリジェンスは大丈夫なのか」という声が海外から聞かれるという。例えば北朝鮮のミサイルに搭載されている化学剤について、「エイジング」と呼ばれる拮抗薬投与までの制限時間の観点からはまったく見当違いの神経...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/22
山口芳裕
杏林大学医学部教授
5

ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視

ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視

第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?

「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだと...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/10
柿埜真吾
経済学者