テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.10.25

意外と知らない「贈り物のタブー」

 冠婚葬祭からお中元、お歳暮、結婚祝い、快気祝いなど、贈り物をする機会は意外と多いものです。相手が喜ぶものなら何でもいいと思いがちですが、実は贈るにはふさわしくないもの、タブーとされているものがあり、気をつけなければなりません。

 今回は、贈り物として選ぶべきではないもの、ふさわしくないものをご紹介します。

 櫛は「く(苦)」「し(死)」と読めることから、冠婚葬祭全般においてタブーな贈り物とされます。
 

包丁やはさみなどの刃物

 刃物は「縁を切る」「関係を断ち切る」という意味につながってしまいますので、結婚祝いなどおめでたい日の贈り物には不向きだといわれます。

ハンカチ

 ハンカチは和名で「手巾(てぎれ、しゅきん)」と読み、絶縁を意味する「手切れ」につながります。中でも白のハンカチは死者の顔にかける白布の印象と結びつくため、プレゼントとして贈るのはふさわしくないといわれています。

お見舞いに鉢植え

 入院した人へのお見舞いに花を持って行く人は多いと思いますが、鉢植えを持っていくのはNGです。根が張っている=「根付く」=「寝付く」につながり、また切り花よりも長持ちすることから「病気が長引く」ことを連想させてしまいます。

 また花の中でも、シクラメンは「死」「苦」の音が入っていること、ツバキは散る際に花がまるごとボトリと落ちてしまう様子から縁起が悪いとされ、キクの花は葬儀で使われる仏花を連想させます。これらの花を含めるのは避けましょう。

 ※なお、最近は花や花瓶の水に存在する緑膿菌への感染症予防の観点から、生花の持ち込みそのものを禁止する病院が増えています。ご注意ください。

火や血を連想させるもの

 ライターや灰皿、キャンドル、花火といった火に関連するアイテムは、そのまま炎や火事に直結するため、結婚祝いや新築祝いなどの贈り物には不適切です。

 同様に赤い花や赤い布といった赤色のアイテムも「火」や「血」を想起させます。アクセントとして使う分には問題ないですが、できる限り祝い事やお見舞いに持っていくのは控えましょう。

目上の人に履物、筆記用具を贈る

 靴やスリッパなどの履物、靴下の類いは「足で踏みつける」行為につながること、また文字通り「下に見る」という意味にも捉えられかねないので、特に年長の人や目上の人のプレゼントとするのは避けたいところです。

 同じく目上の人に贈るものとしてタブー視されているのが筆記用具です。万年筆や羽ペンなどはプレゼントの定番として人気ですが、筆記用具を贈るという行為は本来、先生が生徒に「これを使って今後も励んでくれ」といった餞別のイメージが強く、たとえ高級品であっても目上の人や尊敬する相手に贈るのは失礼と考える人が多いです。

解釈によって意味が変わるものも

 以上、贈り物のタブーとなるものを紹介しました。

 語呂合わせや使用法などからタブーとされるものが多いですが、もちろん相手によっては気にしないという人もいますので、気心知れた相手ならあらかじめ欲しいもののリクエストを聞いておく、というのもよいでしょう。

 またタブー視されていたものだとしても、時代やシチュエーションによって違う解釈をする場合もあり(櫛は「解きほぐすもの」、刃物は「災いを断ち切る」など)ここで紹介したものすべてが、必ずしも絶対ダメというわけではありません。

 贈り物のマナーとしてタブーには十分留意すべきですが、やはり最後の決め手は相手を思う気持ち、真心になるでしょう。自分と相手、双方が気持ち良くなるような贈り物を心がけたいですね。

<参考サイト>
・押さえておこう贈り物の「タブー」 ふさわしいプレゼントの選び方(RING BELL「ギフトコンシェルジュ」)
https://www.ringbell.co.jp/giftconcierge/5475
・もっと喜んでもらいたいから。贈り物の【マナー】と【タブー】を覚えておこう(キナリノ)
https://kinarino.jp/cat6/25316
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,200本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

原型は全て雌型…雄化が大変な哺乳類の性決定プロセス

原型は全て雌型…雄化が大変な哺乳類の性決定プロセス

ヒトの性差とジェンダー論(4)哺乳類の性決定と脳の性分化

哺乳類は全ての個体がまず雌になることがデフォルトとしてつくられている。そこから雄になる(雄化)ためには、性決定遺伝子XYのうちY染色体さえあればいいというわけではないという。受精卵の初期からさまざまな遺伝子やホルモ...
収録日:2024/05/18
追加日:2024/09/09
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長
2

どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?

どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?

「最高の睡眠」へ~知っておくべき睡眠常識(1)健康な睡眠のための方法

人生の約3分の1を、人は寝て過ごす。人間にとって不可欠な「睡眠」について、まだ分かっていないことが多く、睡眠ストレスや寝不足に悩む人は多い。現代人はどのように生活すれば最高の睡眠を得られるのだろうか。その前に、そ...
収録日:2021/06/23
追加日:2021/09/14
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
3

新築におススメの断熱等級は?家中くまなく快適にするため

新築におススメの断熱等級は?家中くまなく快適にするため

断熱から考える一年中快適で健康な住環境(5)断熱はどこまでやればいいのか

私たちが快適に生活するために重要な断熱だが、いったいどれくらいまで行えばいいのか。ヒントになるのが、2024年4月から始まった省エネ性能ラベルである。分譲・建売住宅や賃貸住宅についてその表示が推奨されているのだが、そ...
収録日:2024/06/20
追加日:2024/09/08
前真之
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 准教授
4

なぜ平成は失敗したのか…究極の競争社会と日本の特殊性

なぜ平成は失敗したのか…究極の競争社会と日本の特殊性

『タテ社会の人間関係』と文明論(5)建前で動く日本社会と平成の失敗

「海外よりも、より究極の競争をしてきたところがあるのではないか」と、『タテ社会の人間関係』で示唆した中根氏。「タテ社会」の日本では、法制度は建前としての役割が大きく、契約が情緒的な駆け引きの道具になっているとい...
収録日:2024/05/27
追加日:2024/09/05
5

都知事、非核三原則…1970年・30代の慎太郎が書いていたこと

都知事、非核三原則…1970年・30代の慎太郎が書いていたこと

石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題

石原慎太郎と、三島由紀夫・近衛文麿を対比させると、日本の芸術のあり方から、政治問題の核心までが、見事なまでに浮かび上がる。第1話で紹介するのは、1970年に発刊された石原慎太郎の『慎太郎の政治調書』という著書である。...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/06/08
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授