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DATE/ 2024.10.07

意外と知らない「贈り物のタブー」

 冠婚葬祭からお中元、お歳暮、結婚祝い、快気祝いなど、贈り物をする機会は意外と多いものです。相手が喜ぶものなら何でもいいと思いがちですが、実は贈るにはふさわしくないもの、タブーとされているものがあり、気をつけなければなりません。

 今回は、贈り物として選ぶべきではないもの、ふさわしくないものをご紹介します。

 櫛は「く(苦)」「し(死)」と読めることから、冠婚葬祭全般においてタブーな贈り物とされます。
 

包丁やはさみなどの刃物

 刃物は「縁を切る」「関係を断ち切る」という意味につながってしまいますので、結婚祝いなどおめでたい日の贈り物には不向きだといわれます。

ハンカチ

 ハンカチは和名で「手巾(てぎれ、しゅきん)」と読み、絶縁を意味する「手切れ」につながります。中でも白のハンカチは死者の顔にかける白布の印象と結びつくため、プレゼントとして贈るのはふさわしくないといわれています。

お見舞いに鉢植え

 入院した人へのお見舞いに花を持って行く人は多いと思いますが、鉢植えを持っていくのはNGです。根が張っている=「根付く」=「寝付く」につながり、また切り花よりも長持ちすることから「病気が長引く」ことを連想させてしまいます。

 また花の中でも、シクラメンは「死」「苦」の音が入っていること、ツバキは散る際に花がまるごとボトリと落ちてしまう様子から縁起が悪いとされ、キクの花は葬儀で使われる仏花を連想させます。これらの花を含めるのは避けましょう。

 ※なお、最近は花や花瓶の水に存在する緑膿菌への感染症予防の観点から、生花の持ち込みそのものを禁止する病院が増えています。ご注意ください。

火や血を連想させるもの

 ライターや灰皿、キャンドル、花火といった火に関連するアイテムは、そのまま炎や火事に直結するため、結婚祝いや新築祝いなどの贈り物には不適切です。

 同様に赤い花や赤い布といった赤色のアイテムも「火」や「血」を想起させます。アクセントとして使う分には問題ないですが、できる限り祝い事やお見舞いに持っていくのは控えましょう。

目上の人に履物、筆記用具を贈る

 靴やスリッパなどの履物、靴下の類いは「足で踏みつける」行為につながること、また文字通り「下に見る」という意味にも捉えられかねないので、特に年長の人や目上の人のプレゼントとするのは避けたいところです。

 同じく目上の人に贈るものとしてタブー視されているのが筆記用具です。万年筆や羽ペンなどはプレゼントの定番として人気ですが、筆記用具を贈るという行為は本来、先生が生徒に「これを使って今後も励んでくれ」といった餞別のイメージが強く、たとえ高級品であっても目上の人や尊敬する相手に贈るのは失礼と考える人が多いです。

解釈によって意味が変わるものも

 以上、贈り物のタブーとなるものを紹介しました。

 語呂合わせや使用法などからタブーとされるものが多いですが、もちろん相手によっては気にしないという人もいますので、気心知れた相手ならあらかじめ欲しいもののリクエストを聞いておく、というのもよいでしょう。

 またタブー視されていたものだとしても、時代やシチュエーションによって違う解釈をする場合もあり(櫛は「解きほぐすもの」、刃物は「災いを断ち切る」など)ここで紹介したものすべてが、必ずしも絶対ダメというわけではありません。

 贈り物のマナーとしてタブーには十分留意すべきですが、やはり最後の決め手は相手を思う気持ち、真心になるでしょう。自分と相手、双方が気持ち良くなるような贈り物を心がけたいですね。

<参考サイト>
・押さえておこう贈り物の「タブー」 ふさわしいプレゼントの選び方(RING BELL「ギフトコンシェルジュ」)
https://www.ringbell.co.jp/giftconcierge/5475
・もっと喜んでもらいたいから。贈り物の【マナー】と【タブー】を覚えておこう(キナリノ)
https://kinarino.jp/cat6/25316
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授