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DATE/ 2023.11.04

ゴリラの血液型はB型だけって本当?

 人間の血液型はABO式やRh式などで表されますが、実は人間に近い霊長類もABO式で表されるそうです。ただし霊長類の場合は人間以上に偏りが激しいとのこと。また特にゴリラはB型しかいないという話は時折聞かれます。果たしてこれは本当なのでしょうか。

ニシローランドゴリラはすべてがB型

 結論から言えば「ゴリラはすべてB型」と言い切ってしまうのは間違いです。詳しく見てみると、現在世界に生息するゴリラは4種類ですが、この中の「ニシローランドゴリラ」というゴリラが全体の90%を占めています。たしかにこの「ニシローランドゴリラ」の血液型はすべてB型です。ただし、残り10%のゴリラである「ヒガシローランドゴリラ」や「マウンテンゴリラ」という種類では話が異なります。

 「ヒガシローランドゴリラ」にはB型以外にO型もいることがわかっています。また「マウンテンゴリラ」にはA型とO型だけがいて、B型はいないとのことです。ということで、ゴリラ全体の90%を占めている「ニシローランドゴリラ」がすべてB型である、ということは事実です。ただし日本の動物園にいるゴリラはすべてこの「ニシローランドゴリラ」です。ということで、日本国内で直に見ることのできるゴリラはすべてB型である、という言い方はできるかもしれません。

ニシローランドゴリラは「ゴリラ=ゴリラ=ゴリラ」

 ゴリラは最大の類人猿であり、進化系統上でチンパンジーやボノボに次いで人間に近い動物です。アフリカ中西部の熱帯雨林に生息し、種類は大きく分けると「ニシゴリラ」と「ヒガシゴリラ」の2種類のみ。さらにこの「ニシゴリラ」の亜種として現在最大数の「ニシローランドゴリラ」と希少種である「クロスリバーゴリラ」の2種類がいます。一方、「ヒガシゴリラ」の亜種には「ヒガシローランドゴリラ(グラウアーゴリラ)」と「マウンテンゴリラ」がいることが知られています。つまり細かく見ても現在のゴリラは全部で4種類のみです。

 「ニシローランドゴリラ」の学名は「ゴリラ=ゴリラ=ゴリラ」です。これは「ゴリラ科ゴリラ属ゴリラ種」を意味しています。ゴリラの中のゴリラといった感じでしょうか。この学名の背景には、もっとも生息数が多いことや、古くから研究されていること、ゴリラの基亜種(複数の亜種のうち、最初に発見された基準となるもの)であることなどが関係していると思われます。一方同じ「ニシゴリラ」でもやや小型の「クロスリバーゴリラ(学名:ゴリラ=ゴリラ=ディエリ)」は生息数250から300頭ほどとなっており、絶滅が危惧されています。

<参考>
9月24日は世界ゴリラの日!ゴリラとその現状を知ろう|anicom you
https://mag.anicom-sompo.co.jp/25571
ニシゴリラ|千葉市動物公園
https://www.city.chiba.jp/zoo/zone/data-western_gorilla.html
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