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損害賠償1億円規模も?自転車事故の裁判判例
自転車で通勤すれば、快適で経済的さらに環境負荷が低くて健康にもいいなど、良いことずくめかもしれません。ただし自転車に乗るときには事故のリスクを考慮に入れないわけにはいきません。ここでは実際に起きた自転車事故の裁判事例などを取り上げます。ここから何が危ないのか、何に気をつけなければならないのか、考えてみましょう。
裁判所の判断内容をまとめると「スマートフォンを操作しながら前方注視を怠った状態で、時速約15kmで走行させた過失は明らかである」としつつも「このことに気付いていたにもかかわらず、自転車は左側を走行すべきとの考えで車両の進路を左に寄せた上、距離が約11.3mに近づくまで速度を減速させず時速約15 kmで走行した点において過失がある」ということです。
もちろん7割の過失があるのはスマホを見ながら前方不注意で運転した方なのですが、一方で、気づいていながら適切な回避措置をとらなかったことについても3割の過失と判断されています。自転車同士の事故の場合、このように基本を双方50%の責任としてスタートし、過失の重さによってこの比率が変わります。
判断内容をまとめると「被告自転車の進行速度(15 kmから20 km)からすると、原告が被告から見て死角になっている場所から本件歩道に進入してきたことを考慮しても、本件事故の発生について、特段の落ち度があったとはいえない」とのことです。歩道においては自転車は徐行する義務がありますが、徐行していませんでした。また歩行者が特段危険な動きをした様子もなかったことで、過失はすべて自転車にあると判断されています。
そのほか、自転車と歩行者で事故の事例をいくつか見ても、歩行者が携帯電話を操作していた際に10%の過失となった例などもありますが、基本的にはほとんどは自転車の過失となります。またもし車道上だったとしても、自転車の過失が大きいことは変わらないようです。
さらに、たとえ自転車と直接接触していなくとも、発生した損害と自転車の「誘因行為」との間に「相当因果関係」が認められる場合、自転車に過失が認められます。つまり自転車と歩行者の事故の場合、ほぼ自転車の過失となると考えておきましょう。
成人男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と 衝突し、女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。賠償金5,438万円(東京地裁、平成19年4月)
自転車運転中の男子高校生が車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた24歳会社員男性と衝突し、会社員は言語機能の喪失等重大な障害が残った。賠償金9,266万円(東京地裁、平成20年6月)
歩行者も通行できるサイクリングロードで出勤中の男性会社員の自転車が散歩中の77歳男性と衝突し、歩行者の男性が3日後に死亡した。賠償金2,174万円(東京地裁 平成25年3月)
坂道を下ってきた小学5年の少年の自転車が歩行中の62歳女性と衝突し、歩行者の女性が意識不明となった。賠償金9,520万円(神戸地裁 平成25年7月)
信号無視した会社員の男性46歳の自転車が横断歩道を渡っていた75歳の女性と衝突し、歩行者の女性が死亡した。賠償金4,746万円(東京地裁、平成26年1月)
他にも枚挙にいとまはありませんが、自転車で歩行者に大きな怪我を負わせたり死亡させたりしてしまった場合、少なくとも数千万円から状況によっては1億円近くの賠償金を支払うことになることが分かります。
自転車は便利で経済的、また環境にも優しく健康増進にも役立ちます。ただしそれは安全に対する強い意識あってのことです。自転車に乗るときには、どういった場面であっても自動車と同様に緊張感をもって運転することが重要であることは変わりません。
自転車同士の事故の場合
まずは自転車同士が正面衝突した事例(平成30年(2018年)、大阪地裁)を取り上げます。状況としては一方がスマホを使用しながら運転しており、もう一方は左側を通常運転しています。これだけの情報だとスマホを使用していた側だけが悪いように思いますが、過失はスマホを使用していた側の過失が70%、通常運転の方が30%となっています。裁判所の判断内容をまとめると「スマートフォンを操作しながら前方注視を怠った状態で、時速約15kmで走行させた過失は明らかである」としつつも「このことに気付いていたにもかかわらず、自転車は左側を走行すべきとの考えで車両の進路を左に寄せた上、距離が約11.3mに近づくまで速度を減速させず時速約15 kmで走行した点において過失がある」ということです。
もちろん7割の過失があるのはスマホを見ながら前方不注意で運転した方なのですが、一方で、気づいていながら適切な回避措置をとらなかったことについても3割の過失と判断されています。自転車同士の事故の場合、このように基本を双方50%の責任としてスタートし、過失の重さによってこの比率が変わります。
自転車対歩行者の事例
次に、自転車と歩行者の事故の事例(平成30年(2018年)、東京地裁)を取り上げて考えてみましょう。自転車が歩道を走行中、死角から歩道に進入してきた歩行者と衝突しました。このときの過失割合は自転車100%、歩行者0%となっています。判断内容をまとめると「被告自転車の進行速度(15 kmから20 km)からすると、原告が被告から見て死角になっている場所から本件歩道に進入してきたことを考慮しても、本件事故の発生について、特段の落ち度があったとはいえない」とのことです。歩道においては自転車は徐行する義務がありますが、徐行していませんでした。また歩行者が特段危険な動きをした様子もなかったことで、過失はすべて自転車にあると判断されています。
そのほか、自転車と歩行者で事故の事例をいくつか見ても、歩行者が携帯電話を操作していた際に10%の過失となった例などもありますが、基本的にはほとんどは自転車の過失となります。またもし車道上だったとしても、自転車の過失が大きいことは変わらないようです。
さらに、たとえ自転車と直接接触していなくとも、発生した損害と自転車の「誘因行為」との間に「相当因果関係」が認められる場合、自転車に過失が認められます。つまり自転車と歩行者の事故の場合、ほぼ自転車の過失となると考えておきましょう。
高額の賠償金が課された事例
事故が起きて相手が大きな怪我や障害を負った場合、ここまで示したような過失の割合に応じた賠償を行うことになります。ここではウェブサイトに掲載されていた高額賠償事例から、いくつかピックアップして紹介ます。成人男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と 衝突し、女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。賠償金5,438万円(東京地裁、平成19年4月)
自転車運転中の男子高校生が車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた24歳会社員男性と衝突し、会社員は言語機能の喪失等重大な障害が残った。賠償金9,266万円(東京地裁、平成20年6月)
歩行者も通行できるサイクリングロードで出勤中の男性会社員の自転車が散歩中の77歳男性と衝突し、歩行者の男性が3日後に死亡した。賠償金2,174万円(東京地裁 平成25年3月)
坂道を下ってきた小学5年の少年の自転車が歩行中の62歳女性と衝突し、歩行者の女性が意識不明となった。賠償金9,520万円(神戸地裁 平成25年7月)
信号無視した会社員の男性46歳の自転車が横断歩道を渡っていた75歳の女性と衝突し、歩行者の女性が死亡した。賠償金4,746万円(東京地裁、平成26年1月)
他にも枚挙にいとまはありませんが、自転車で歩行者に大きな怪我を負わせたり死亡させたりしてしまった場合、少なくとも数千万円から状況によっては1億円近くの賠償金を支払うことになることが分かります。
自転車は便利で経済的、また環境にも優しく健康増進にも役立ちます。ただしそれは安全に対する強い意識あってのことです。自転車に乗るときには、どういった場面であっても自動車と同様に緊張感をもって運転することが重要であることは変わりません。
<参考サイト>
自転車同士の正面衝突事故でスマホを操作していた事故の事例|西宮原法律事務所
https://jitenshajiko-sodan.com/court-cases/210628/
自転車の非接触事故、過失割合と判例の全知識|交通事故コラム 弁護士への相談の前に
https://xn--3kq2bx77bbkgeviqoar08d0vk8n7bfpb7wz.net/自転車の非接触事故、過失割合と判例の全知識
自転車事故による高額賠償事例(PDF)|兵庫県
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk15/documents/kougakubaisyo.pdf
自転車事故高額賠償事例 (抜粋) (PDF)|長野県
https://www.pref.nagano.lg.jp/kurashi-shohi/anzen/documents/20190531jirei.pdf
自転車同士の正面衝突事故でスマホを操作していた事故の事例|西宮原法律事務所
https://jitenshajiko-sodan.com/court-cases/210628/
自転車の非接触事故、過失割合と判例の全知識|交通事故コラム 弁護士への相談の前に
https://xn--3kq2bx77bbkgeviqoar08d0vk8n7bfpb7wz.net/自転車の非接触事故、過失割合と判例の全知識
自転車事故による高額賠償事例(PDF)|兵庫県
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk15/documents/kougakubaisyo.pdf
自転車事故高額賠償事例 (抜粋) (PDF)|長野県
https://www.pref.nagano.lg.jp/kurashi-shohi/anzen/documents/20190531jirei.pdf
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