社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「縦読み」の起源は1000年以上前の〇〇にあった!?
4月に起きた熊本地震を受け、宮城県のテレビ局「東北放送」がテレビ欄に「今度は支える番」と縦読みのメッセージを入れ話題となりました。ここ数年注目を集めることが多いテレビ欄の縦読み、ルーツはインターネットかと思いきや、実はずっと昔からある言葉遊びなのです。
東日本大震災で被災し、全国から支援を受けた被災地を代表して、今回は熊本を支えなければ、という思いが込められており、Yahoo!ニュースのトピックスにも掲載されました。余談ですが、この試合は楽天が嶋基宏のサヨナラ打で劇的勝利。結果的にテレビ欄の告知が当たったような内容になりました。
北海道放送がプロ野球中継での縦読みの火付け役と言われており、「北の大地で虎退治」「おそらく試合終了までお届けできるはず」「西武Dの階段はキツい」など、遊び心満載の告知を次々を送り出しています。2014年8月6日には中国放送が「カープ応援できる平和に感謝」とメッセージを盛り込み、感動したという声がツイッターなどを中心に相次ぎました。
プロ野球中継は放送時間が長いためメッセージを仕込みやすいという事情があるのでしょうが、縦読みは野球だけではありません。2014年6月2日には、サッカー日本代表・本田圭佑の特集をしたNHK「プロフェッショナル」が「日本ガンバレW杯」と縦読み。今年1月1日のテレビ朝日「羽鳥慎一のお騒がせ新年会」のように「新たな年が幸せで健やかな年になりますように」と新年のご挨拶を兼ねていた、なんてこともあります。
ではネットの煽り文化がルーツなのでしょうか?いえいえ、実は日本人はそれよりもずっとずっと前から縦読みをしてきたのです。記録に残っている限り、最古の縦読みは、平安時代の歌人・在原業平が詠んだ歌です。「唐衣(からころも)」「きつつなれにし」「つましあれば」「はるばるきぬる」「旅をしぞ思ふ」。一文字目をつなげると「かきつはた(カキツバタ)」となり、業平がカキツバタの花を見た時に読んだ歌とされています。この歌は「伊勢物語」「古今和歌集」に収録されています。
ここ最近生まれたブームのようでいて、実は1000年以上前から伝わる日本文化だと思うと、とてもロマンチックだと思いませんか?今度、縦読みを見かけたときは、そんなことを思い出してみてもいいかもしれませんね。
プロ野球中継は縦読みの宝庫
東北放送は今年4月20日のプロ野球中継「楽天―オリックス」で、「今江、藤田ケガで離脱」「度胸でぶつかれ救世主」「は島内!?吉持!?ゲーム」「支配の梨田采配要は抑」「えの松井裕!底力をは」「るか遠くへ届けよう9」「番嶋の打球に乗せて!」とテレビ欄に告知しましたが、それぞれ一文字目をつなげると「今度は支える番」となります。東日本大震災で被災し、全国から支援を受けた被災地を代表して、今回は熊本を支えなければ、という思いが込められており、Yahoo!ニュースのトピックスにも掲載されました。余談ですが、この試合は楽天が嶋基宏のサヨナラ打で劇的勝利。結果的にテレビ欄の告知が当たったような内容になりました。
北海道放送がプロ野球中継での縦読みの火付け役と言われており、「北の大地で虎退治」「おそらく試合終了までお届けできるはず」「西武Dの階段はキツい」など、遊び心満載の告知を次々を送り出しています。2014年8月6日には中国放送が「カープ応援できる平和に感謝」とメッセージを盛り込み、感動したという声がツイッターなどを中心に相次ぎました。
プロ野球中継は放送時間が長いためメッセージを仕込みやすいという事情があるのでしょうが、縦読みは野球だけではありません。2014年6月2日には、サッカー日本代表・本田圭佑の特集をしたNHK「プロフェッショナル」が「日本ガンバレW杯」と縦読み。今年1月1日のテレビ朝日「羽鳥慎一のお騒がせ新年会」のように「新たな年が幸せで健やかな年になりますように」と新年のご挨拶を兼ねていた、なんてこともあります。
縦読みのルーツは何と1000年以上前
この縦読み、テレビ欄でたびたび見られるようになる前から、インターネット上でも盛んに行われていました。感動メッセージや遊びのテレビ欄とは違い、どちらかと言うとある対象をバカにしたり、茶化したり、「煽り」として使われることがもっぱらでした。芸能人ブログに投稿されたコメントが、一見応援しているかのようでいて実は縦読みすると正反対の内容だった、などです。ではネットの煽り文化がルーツなのでしょうか?いえいえ、実は日本人はそれよりもずっとずっと前から縦読みをしてきたのです。記録に残っている限り、最古の縦読みは、平安時代の歌人・在原業平が詠んだ歌です。「唐衣(からころも)」「きつつなれにし」「つましあれば」「はるばるきぬる」「旅をしぞ思ふ」。一文字目をつなげると「かきつはた(カキツバタ)」となり、業平がカキツバタの花を見た時に読んだ歌とされています。この歌は「伊勢物語」「古今和歌集」に収録されています。
ここ最近生まれたブームのようでいて、実は1000年以上前から伝わる日本文化だと思うと、とてもロマンチックだと思いませんか?今度、縦読みを見かけたときは、そんなことを思い出してみてもいいかもしれませんね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだと...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/10
大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本
デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性
アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?
編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税
会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。
第2次トランプ...
第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
今や化学兵器の主流…「バイナリー」兵器とは?
医療から考える国家安全保障上の脅威(3)NBC兵器をめぐる最新情勢
2006年ロシアのKGB元職員暗殺には「ポロニウム210」というNBC兵器が用いられた。これは、検知しやすいγ線がほとんど出ない放射線核種で、監視の目を容易にすり抜ける。また、2017年金正男氏殺害に使われた「VX」は、2種の薬剤を...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/15
生と死が明確に分かれていた…弥生人が生きていた世界とは
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(9)弥生人の「生の世界」
弥生時代の衣食住には、いったいどんな文化があったのだろうか。土器やスタンプ痕の分析から浮かび上がる弥生人が生きていた世界、その生活をひもとくと、農耕の発展の経路や死生観など当時のさまざまな文化の背景が見えてくる...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/14