●2001年に始まった外国人集住都市会議
続いて「外国人集住都市会議」について紹介します。これまで説明したように、1990年に改正入国管理及び難民認定法が施行され、ブラジルをはじめとする南米日系人が急増し、言葉、教育、社会保障、雇用、生活・慣習の違いから起こるトラブルなど、様々な課題、問題が出てきました。こうした課題・問題に対し、外国人が集住する自治体においては、日本語教育、住宅、防災、子どもの教育、福祉など、定住化が進む外国人施策について積極的に取り組んできました。
しかし、外国人の定住化傾向が一層顕著となる中、国の法律や制度の整備が追いついていないという状況があります。国政に関わるこうした問題は、地方自治体単独での解決は困難です。そこで浜松市の提唱により、南米日系人が多数集住し、同じような悩みや課題を抱える都市が集まって、外国人集住都市会議が2001年に設立されました。
●外国人集住都市会議が提唱する「外国人庁」の設置
振り返ってみると、2001年に外国人集住都市会議が設立されてからこれまで、外国人住民に関わる施策や個々の活動状況などの情報交換、多文化共生に関する知見やノウハウの共有、国に対するさまざまな政策提言などを行ってきました。国に対して行ってきた政策提言により、内閣府に「定住外国人施策推進室」が設置されるとともに、「日系定住外国人施策に関する基本方針及び行動計画」が策定されました。また、外国人の住民基本台帳制度への移行なども実現しました。
しかしながら、地域で行われている日本語教室は、いまだ多くのボランティア頼みになっていること、外国人の子どもには就学義務がないこと、社会保険や雇用保険に未加入のまま働いている外国人が多数存在するなど、取り組むべき課題は、まだ数多く残っています。これら様々な課題に対して、今後も国や関係機関と連携し、取り組み続けていくことが重要であると考えています。
2015年の外国人集住都市会議は、浜松市で開催しました。同会議では、外国人受け入れ政策を総合的に推進する(仮称)外国人庁の設置などを国に求める、「はままつ宣言」を発表しました。2016年度は、2017年1月31日に豊橋市において開催される予定です。
こちら(画面にある表示)は、現在の会員都市の一覧です。本会議の設立当初は13都市からのスタートでしたが、2016年現在25都市にまで...