ナノテクノロジーで創る体内病院
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ナノマシンは難治性のがん治療にも有効に作用する
ナノテクノロジーで創る体内病院(2)難治性のがん治療
片岡一則(ナノ医療イノベーションセンター センター長/東京大学名誉教授)
東京大学政策ビジョン研究センター特任教授でナノ医療イノベーションセンター長の片岡一則氏が最も力を入れているのは、難治性のがん治療だ。ナノマシンは、従来ならば薬剤が効きにくい薬剤耐性がんにも有効に作用する。それはいわば、ナノスケールの「トロイの木馬」であり、効果を検証する実験でも、ナノマシンでがんの増殖が抑制できることが確認されている。(全5話中第2話)
時間:9分57秒
収録日:2016年10月24日
追加日:2017年3月1日
≪全文≫

●ナノマシンで難治性のがんを治療する


 ミセル型のナノマシンを使って、何を治療するのか。今われわれが一番力を入れているのは、「現存の方法では治療が困難な難治がんを治す」ことです。普通、がんというと、大腸がんや胃がんなどの部位で分けますが、ここでいう「非常に治りにくいがん」は4つのカテゴリーに分けられます。1つは転移がんです。がんで命を落とす最大の理由は、転移です。転移しなかったら、がんでは死なないのです。2番目は、薬剤耐性がんといいます。がんも、長く薬を使っていると耐性を持ってしまいます。そうすると、手の施しようがなくなります。また、がんの中には、もともと非常に薬が到達しにくいものがあります。例えば脳腫瘍や膵臓がんです。

 最近注目されているのは、がんの幹細胞です。幹細胞というと、iPS細胞もそうですが、普通はわれわれの体にとって、なくてはならないものというイメージがあります。しかし実は、がんにも幹細胞があることが、最近の研究で分かってきました。これは治療抵抗性が非常に高いため、本質的に薬剤耐性です。そのため、なかなかこれを治すことはできません。この4つを何とかしてあげることで、がんの治癒率を上げることができるだろうということです。


●薬剤耐性がんの治療に挑む


 例えば薬剤耐性がんに対して、高分子ミセル型ナノマシンでどうやって攻撃していくかをお話しします。先ほどからお話ししているように、このマシンは血中をぐるぐるステルスしながら回りますが、ただ回っているだけではがんに到達しません。そこで、どうやってがんに行くのか。これを動画で確認したいと思います。

 まず血管です。普通の血管には、すごく小さい穴があります。小さい抗がん剤はそこを抜けていってしまいます。だから正常な組織にも到達してしまい、さまざまな副作用を引き起こします。それに対して、高分子ミセルはウイルスサイズです。だから正常な血管は通らないため、その穴から抜けません。ここで正常な組織は、素通りしていきますが、がんの血管はいわば隙間が非常に大きい(正常な血管に比べて穴が大きい)ので、この隙間を利用してウイルスサイズのミセルは血管からがんの組織の中に移行します。

 こうやって、がんにマシンが集まります。しかも単に集まるだけではありません。この一個一個のがん細胞へも入り方が違います。がん細胞に行くと、細...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
目の健康と医療・最前線(1)ブルーライトは目に悪いのか
ブルーライトは本当に目に悪い?…どの程度影響するのか
大鹿哲郎
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
腸内細菌の可能性とマイクロバイオームのダイバーシティ
注目は納豆!腸内細菌が生成する若返り物質「ポリアミン」
堀江重郎
睡眠:体、脳、こころの接点(1)睡眠とは?
なぜ睡眠は生きるために必要?脳にある覚醒中枢と睡眠中枢
尾崎紀夫
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇
ナノテクノロジーでがんに挑む(1)「iCONM」がめざす医療
ナノマシンによるがん治療…体内病院というイノベーション
片岡一則

人気の講義ランキングTOP10
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(6)世界の英雄神話とその構造分析
知恵か腕力か?…オデュッセウス、スサノオ、アルジュナなど世界の英雄たちの栄光と悲劇
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
音楽の父バッハ…なぜ「音楽」が西洋でリベラルアーツなのか?
樋口隆一