トランプ政権研究
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トランプ政権の極端な身内主義と政治任命の遅れ
トランプ政権研究(3)政権スタッフと政治任命の遅れ
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が、トランプ政権の編成について解説する。トランプ氏はホワイトハウスのスタッフを極端な身内主義で構成している。内閣人事は、大臣級は早々に決まったが、下位の課長クラスまでの政治任命スタッフは、まだ大半が埋まっていない。その結果、政権の実務に遅れが生じている。(全11話中第3話)
時間:9分39秒
収録日:2017年5月23日
追加日:2017年6月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●トランプ政権は極端な身内主義である


 さて、次にトランプ政権の編成について見ていきましょう。ドナルド・トランプ政権の政権移行チームは、極端な身内主義です。選挙戦中の側近だった人たち、例えばトランプ氏の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏、デマゴーグのスティーブ・バノン氏、そして、軍人で極端な主張をするマイケル・フリン氏です。彼らを一番身近に置いています。そして、副大統領はマイク・ペンス氏です。彼はインディアナ州知事だった人です。大統領首席補佐官には、共和党の全国委員長であるラインス・プリーバス氏が就きました。彼は若手ですが、妥当な人選でしょう。

 ホワイトハウスのスタッフは非常に重要です。ホワイトハウスの中では、大統領執務室の隣に、一番大統領と近い補佐官に割り当てられる部屋があります。トランプ氏はそこに娘婿のクシュナー氏を置いています。さらにその隣にはバノン氏の部屋があります。バノン氏は、トランプ大統領は新しい大統領であり、既存の勢力を全部壊さねばならない、と主張し、アメリカという国の統治体制を破壊するのが私の主義だ、というような無茶苦茶ことを言っているのです。トランプ氏はバノン氏の主張にすっかりとらわれています。


●ナバロ氏は経済学のいろはを分かっていない


 さらに、ピーター・ナバロ氏というカリフォルニア大学の経済学教授が通商政策のトップに就きました。彼は一応、ハーバード大学出身の経済学者らしいのですが、それが私には信じられません。ナバロ氏によれば、貿易の不均衡は二国間で決まる以上、アメリカが赤字になっているのは通商相手のせいだ、と言うのです。ナバロ氏はそのように決め付けていますが、経済学のいろはが分かっていません。

 貿易というのは、マクロ経済のバランスで決まります。投資と貯蓄のバランスです。アメリカ人はあまり貯蓄しないといわれており、そうであれば投資はできません。そうすると生産性が下がり、競争力が弱まります。そのため、中国や他の国に貿易で負けるのです。これは、相手国が不公正かどうか、ということとは関係ありません。ところが、ナバロ氏はそういうことを平気で言い募り、「もしアメリカと中国が戦争したらどうなるか」といった内容の本(『米中もし戦わば』)を書いています。

 国家経済会議は、ゴールドマン・サックスの社長である、ゲーリー・コーン氏が委員...

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