●安倍首相の大統領就任前の訪問は異例だった
日本に関して言えば、安倍晋三首相がドナルド・トランプ大統領を訪問し、極めて良好な関係を築いています。官邸と外務省の戦略スタッフは、大統領選の終盤、トランプ候補が勝つ可能性を何となく察知しました。彼らを要所に派遣し、安倍首相は情報収集と分析に当たらせました。
当選直後の(2016年)11月、安倍首相がニューヨークのトランプタワーを訪問します。各国首脳の中で、大統領になる前にトランプ氏を訪問した人はいません。安倍首相が初めてです。就任前の訪問は本当に異例でした。トランプ氏の他、マイケル・フリン氏、ジャレッド・クシュナー氏、娘のイヴァンカ氏がいました。実はこれは、安倍首相と非常に親しい、アメリカの有名な弁護士の助言があってのことでした。この弁護士は日米関係に非常に尽力してきた方のご子息で、たまたま日本の成蹊大学に留学している時に、安倍首相と親しくなったようです。彼はトランプ氏周囲の人とも交流があり、トランプ氏は「とにかくあなたに会いに来た。いの一番で来た」というようなことを言われるのが、大好きな人だという情報を手に入れていました。
この時、安倍首相がトランプ氏と何を話したのか、発表は全くありませんでした。安倍首相がトランプタワーの前で、「彼は大変信頼できる人だ」と記者団に伝えただけです。大変高いゴルフドライバーをトランプ氏に提供しました。さらに2月11日から13日、今度は正式に安倍首相がホワイトハウスを訪ねました。そこでトランプ氏は安倍首相を大変気に入って、一緒にフロリダへ行くことになったのです。ゴルフ場で、まずは18ホール回ったのですが、トランプ氏は体力がありますから、さらに9ホール回ることになりました。さすがに安倍首相は疲れたようですが、(その間を含め)昼食会を2回、夕食会を2回、さらにもう1度昼食会が行われました。
トランプ氏は人と握手をするのが嫌いで、潔癖症だそうです。ドイツのアンゲラ・メルケル氏が握手しようと手を伸ばしているのに、それを拒否したくらいです。ところが、なぜか安倍首相のことは大好きになって、汗ばんでいるのに19秒間も握手の手を離しませんでした。首相の方は少し困っていましたね。メディアはこれを「ブロマンス(Bromance)」と表現しました。私は初めて知ったのですが、ロマンスが男と女の愛であるのに対し、ブロマ...