●トランプ大統領の誕生はショッキングな出来事だった
ドナルド・トランプ政権は、日本にとって、そして世界にとっても、非常に大切な意味を持つ政権です。ただ、トランプ大統領の誕生は、アメリカにとっても、世界中にとっても、大変ショッキングな出来事でした。彼は前代未聞の過激発言をするし、明らかな無知に起因する危険な発言も多いのです。性格的には極端に自己中心的で、情緒不安定です。どんな大統領になるのか、まだよく分かりません。本当に予測不能なのです。したがって、日本をはじめ世界各国は、彼とどのように取り組んでいけばいいのか、そこは非常に大きな問題です。特に日本にとってアメリカは命綱ですから、トランプ政権をどう理解するかということは、日本の舵取りの上で、極めて重大な問題になってきます。
そこで私たちは、この問題をどのように考えていけばいいのか、整理してみようと思いました。どんな大統領でも、就任後にいろいろと学習をします。経験を積むにつれて、過激な政策も次第に修正されてきます。だとすれば、日本がするべきは、日米安保と日米協力を基盤にして、世界と一層協調していくということでしょう。日本自身についていえば、成長力を高めて、財政健全化を目指し、長期の展望を確保することが重要になります。
しかし、トランプ氏が選挙戦中に主張していたような乱暴な主張を、仮に貫徹するということになれば、どうでしょうか。彼は安全保障や国際協力の意味を全く分かっていません。これらを阻害する、あるいは破壊しかねないのです。そうなれば、日本はアメリカに命綱を完全に預けておくわけにもいかず、自力で防衛しなくてはならなくなります。現代の世界で自力で防衛するとなれば、核武装の必要性が高まってくるでしょう。これは重大な問題です。また、そうなると、アメリカ一辺倒ではいかなくなるため、中国など他の主要国との協力関係を開拓することにもなるでしょう。しかし、今まで日本はこうしたことをやってきませんでした。
そこで私たちは、4月の中頃にワシントンD.C.とニューヨークを訪問し、民主党から共和党系まで、さまざまなシンクタンクや専門家に意見を聞くことにしたのです。政権が発足して3カ月もたてば、トランプ政権の政策や特質が、大体見えてくるのではないか、と思ったからです。島田塾の有志でアメリカに訪問してきました。ヒアリングやディ...