トランプ政権研究
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アメリカ経済の好況はトランプではなくオバマ時代の成果
トランプ政権研究(7)トランプ相場に湧く株式市場
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が、最高裁判事の任命とトランプ相場について解説する。トランプ大統領は最高裁判事に史上最年少のゴーサッチ氏を任命した。今後半世紀ほど、司法が保守に傾く可能性がある。経済は好況が続くが、大統領の政策のおかげとは言えず、トランプ相場も一過性の見通しが強い。(全11話中第7話)
時間:8分20秒
収録日:2017年5月23日
追加日:2017年6月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●保守派の判事を任命することに成功した


 ドナルド・トランプ大統領は、これまで、やることなすこと失敗続き、挫折続きなのですが、最高裁判事は何とか任命することができました。最高裁は最終的な法的判断を下すところですから、非常に重要です。判事の定員が9人で、これまでは4人がリベラルの民主党系、4人が保守の共和党系、1人が中道でした。ところが昨年(2016年)、保守系のアントニン・スカリア判事が亡くなりました。彼は共和党のロナルド・レーガン元大統領が指名した人です。彼の死後、最高裁における保守とリベラルのバランスが崩れ、リベラルの方が1人多い状況になってしまいました。そこで、何とか保守派の判事を入れたいということで、トランプ大統領はニール・ゴーサッチ判事を任命することに成功したのです。

 ゴーサッチ判事はなんと49歳で、最高裁判事では歴史上最年少です。最高裁判事の任期は死ぬまでですから、トランプ氏は得意になって、ゴーサッチ氏はあと50年は働けると豪語しているようです。少なくとも、これまでで一番息が長い判事になることは確実です。ゴーサッチ氏は共和党のナショナリストですから、半世紀ほどアメリカの法的なバランスが保守系に傾き続けてしまう可能性も出てきます。これはあまり目立たないことですが、非常に重要な決定です。トランプ政権はここで、一つ橋頭堡(きょうとうほ)を確保したといえます。


●好景気はトランプ大統領の政策のおかげではない


 次に、経済や株の状況を見てみましょう。トランプ氏の大統領就任後、経済はずっと好調です。しかも、世界中の経済が好調です。ご存じのように、この1年ほど日本経済もかなり安定してきて、1パーセント以上の成長を続けていますが、ヨーロッパもアメリカも非常に良い状態です。ただアメリカは、直近の1~3月期で年率0. 7パーセントというスローなペースになりました。トランプ氏は、望ましい経済状況をつくるには4パーセントの成長を達成する必要があり、これによって全部問題が解決される、と言っていますが、それには程遠い状況です。

 アメリカ経済も世界経済も好調であるのは、トランプ氏の政策のおかげだと、支持者の方は思っているようですが、これはとんでもありません。トランプ氏はまだ、経済に関して法律を1本も通せていないからです。それどころか、法案を議会の入り口に持っていくことさえできていま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎