テロ対策の理論と実際
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
軍事組織を利用したテロ対策の注意点
テロ対策の理論と実際(3)軍事組織の活動
片山善雄(元防衛省防衛研究所 防衛政策研究室 主任研究官)
軍事組織がテロ対策として、治安維持活動を行う場合、どんな点に注意しなければならないのか。警察との間で意思の不疎通が起きることはないのか。防衛省防衛研究所防衛政策研究室主任研究官の片山善雄氏が、軍事組織を利用したテロ対策の注意点を、各国の事例を検討しながら解説する。(全6話中第3話)
時間:9分54秒
収録日:2017年12月8日
追加日:2018年3月9日
≪全文≫

●法執行機関が主導し、軍事組織が支援する


 次に、軍事組織によるテロ対策についてお話します。先に述べたように、治安維持と戦闘は異なります。テロ対策は当然のことながら予防、制圧、捜査、裁判においても、法執行の形を取るのが普通です。テロリストを制圧しさえすれば、何でもいいというわけではありません。そこに正当性を確保しなければならないのです。したがって、強力な武器がかえってマイナスとなる恐れも出てきます。

 他方、軍を含めて、他の機関は、主務機関である司法機関や法執行機関を支援するのが基本です。他の機関、例えば軍事組織が警察に取って代わるということは、民主主義国ではあり得ません。よく縄張り争いが起きるのではないかといわれますが、それはあり得ないことです。あくまでも法執行機関が主導して、それを軍事組織が支援するというのが基本です。

 武器の使用についても、人権の面で厳しい制約がかかります。これは治安維持行為である以上、当然のことです。治安維持行為と戦闘は大きく違うのです。戦闘では武器の使用に制限はありません。敵の人権を考える必要はないのです。それどころか、一般市民を巻き込むということもためらいません。しかし、法執行は違います。武器の使用や人権の制限がどこまで可能かということを判断できるのは、やはりプロである法執行機関なのです。


●「警察は内、軍は外」というすみ分けがなされている


 ここで、軍事組織が治安維持活動を行う場合の注意点を見てみましょう。

 第1に、先進民主主義国では、均衡抑制原則、つまりチェックアンドバランスが確立されています。民主主義国では、一つの組織に権力を集中させないということが原則です。例えば、三権分立では、司法・立法・行政がそれぞれにバランスを取り合って、過度の権力が集中しないように設計されています。国家の実力組織である警察と軍についても同様です。警察は国内での権力行使、軍隊は外敵に対しての権力行使、すなわち「警察は内、軍は外」というすみ分けがなされています。

 日本では、過去において、軍隊が国内で暴走した残念な事例がありました。ドイツでも同じです。しかしまた、イギリスやフランス、アメリカも同じような経験をしてきました。つまり、軍隊が国内で強制的な活動をするということに、非常に慎重になっています。

 第2に、軍事組織が治安維持活...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ