テロ対策の理論と実際
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自由と人権を両立するテロ対策のあり方とは?
テロ対策の理論と実際(2)テロ対策の実際
片山善雄(元防衛省防衛研究所 防衛政策研究室 主任研究官)
現行法制では、テロの未然防止のための通信傍受が認められていない。緊急事態時の無令状拘束・捜査、GPSを活用した捜査、ネットによるテロ対策など、さらに検討するべき対策は多い。防衛省防衛研究所防衛政策研究室主任研究官の片山善雄氏が、人権・自由と両立する、効果的なテロ対策のあり方について解説する。(全6話中第2話)
時間:12分50秒
収録日:2017年12月8日
追加日:2018年3月8日
≪全文≫

●テロリストに対してテロリストになってはならない


 では、実際編に移りたいと思います。効果的なテロ対策とは何でしょうか。テロ対策を考える際に、強調しておきたいことがあります。それは、われわれ自由主義的民主主義国、すなわちリベラルデモクラシーの国の基本原則である、自由・人権・法による支配を順守するということです。

 皮肉なことに、テロリストはわれわれの基本的な価値である自由・人権、法による支配を悪用します。思想・表現の自由、あるいは通信の自由は貴重なものですが、これらが悪用されるのです。刑事被告人の権利も当然尊重されなければなりませんが、これをテロリストは悪用します。

 しかしわれわれは、こうした基本的な価値を悪用するテロリストに対して、基本的な価値を見失ってはなりません。テロリストに対してテロリストになってはならない、とよく言われているのはこのことです。したがって、法律にのっとってわれわれの基本的な価値を守りながら対処するということ、これがテロ対策の基本です。


●治安維持行為では、必要最小限の実力行使しか許されない


 テロ対策として必要なことは、未然の防止です。事件が起きてしまうと、多くの国民が犠牲になります。これを防ぐために大事なことは、不審者を発見することです。証拠もきちんと押さえておく必要があります。なぜなら裁判で犯人を有罪にして初めて、テロの事件は解決した、テロ対策は成功したといえるからです。

 さらに、治安維持行為では、必要最小限の実力行使しか許されません。そうでなければ、われわれの基本的価値を無視することになってしまうからです。ここが戦争との大きな違いです。戦争では付随的被害を出し、一般市民を巻き込んでも、事実上は免責されます。しかし、リベラルデモクラシーの国においては、一般住民に被害を出せば責任を追及されます。というのも、一般住民への被害はリベラルデモクラシーの価値と相反するからです。

 例えば、かつてオウム真理教の施設に「サティアン」というものがありました。信徒が生活したり、危険な化学兵器を製造したりしていた施設です。当時のニュースを思い出してください。捜査員が化学兵器探知機を持って行くと、サティアンの近くでは反応しすぎてしまって操作になりませんでした。そこで代わりに、カナリアのかごを持っていったのです。これは炭鉱で使われる...

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