●ビジョンに共感する仲間を集めたい
柳川 ここまで資金調達の話をお伺いしてきましたが、今度は、人をどう集めたかについて、お聞きしたいと思います。夢のある話ではありますが、まだプロダクトが見えていないベンチャーの場合、人材を集めるのにも苦労されたのかなと思うのですが、いかがでしょうか?
岡島 実は、メディアで取り上げていただけることもあり、直接応募してきてくださる方もいらっしゃって、そのなかから弊社のメンバーになってくれた人も何人かいます。エージェントを介して来てくれたメンバーも多いですね。
採用の際、私たちが一番気にしているのが、自分たちのビジョンにどれだけ共感してくれるかというところです。今はいいメンバーが揃っていて、よかったなと思っていますが、本当の意味でビジョンに共感してくれる人を探すというのは、やはり難易度が高いと感じています。
●熱量を維持するための仕組みづくり
柳川 エールだけでなく、ベンチャー、スタートアップの1つの特徴は、ビジョンがあって、そのビジョンに共感する人が集まってきて、それがエネルギーになって会社を発展させていくことだと思います。
おっしゃるように、だんだん会社が大きくなってくると、ビジョンの共有、その熱量の維持というものがなかなか難しくなってくると思うのですが、そのあたりについては、流れ星という具体的なプロダクトがあるから大丈夫なのか、それとも社長、トップとして何かを語ることで、メンバーとミッションを共有するフェーズをつくったりされているのですか?
岡島 ちょうど人数が30人になろうとしているところなので、スタートアップでよくいわれる「30人の壁」というフェーズに直面しているのかなと思っています。
ちょうど手狭になったという理由もありますが、みんなで一緒の場にいて、ビジョンやミッションを共有するのがとても大事だという思いがあるため、現在引っ越しを検討しています(2019年10月に移転)。
あとは、これまでビジョン、ミッションがしっかりと伝わっていないなと思うようなことが、いくつかあったのですが、私が積極的にというよりは、弊社のメンバーが、月1でビジョン、ミッションをリマインドするような場をつくったりしています。
これはメルカリの小泉文明社長のお話ですが、ミッションを評価システムに入れる取り組みをされているとお聞きして、私たちもミッションに沿った人物像を描いたり、ミッションに沿った行動をよしとするような基準をつくっていこうと、今検討しているところです。
柳川 そのあたりはご自分で考えて、進めているのですか?
岡島 いえ。「評価基準にミッションを入れられるといいよね」とは思っていたのですが、実際にやっているのは、担当しているメンバーです。
柳川 スタッフの人たちなのですね。初期に集まったコアメンバーはいるのですか?
岡島 初期からいるメンバーというのはいないかもしれません。1番長いのは、3年前からいるメンバーです。
柳川 そのくらいなのですね。
岡島 オフィスができてからのメンバーですね。
柳川 大企業に長く勤めている方もこの対談映像をご覧になっていると思いますが、大企業のイメージと比べると、わりと最近集まったという感じなのですね。
岡島 大企業と比べるとそうですね。
●ミッションに人が集まる
柳川 そうすると、大学の研究室とのコラボレーションでスタートしたけれど、岡島さんのやりたいミッションがあって、そのミッションにひきつけられて、いろいろな人が応募してきて、だんだんと会社が大きくなっていったのでしょうか。
岡島 そうですね。あとは、面白そうとか、新しいことをやりたいという好奇心旺盛なメンバーがたくさん集まっています。
柳川 そうですよね。お話を聞いたときに、とても面白いビジネスだなと思いました。そういう意味では、基礎研究を地道に積み上げていくようなタイプの研究やビジネスはあまり考えなかったのですか? 他の選択肢があったわけではなく、とにかく人工流れ星を実現させたいという思いが、早い段階で頭の中に浮かんでいたのでしょうか?
岡島 そうですね。私がやらなかったら、誰かに先を越されると思って、急いだというところはありますね。
柳川 なるほど。そうすると、他の選択肢はあまりなかったということですね。
岡島 そうですね。
柳川 自分の技術、研究などを活かせるのはこれだったということなのでしょうか。
岡島 はい。
柳川 他のことでも一度決めたらそれに向かって突き進むタイプですか? それとも、技術やイメージに強くインスピレーションを受けて、ひきつけられたのですか?
岡島 どっちなのでしょう。ただ、実験を繰り返しても光らなかったり、流れ星がつくれない...