独裁の世界史~ギリシア編
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ペリクレスのアテネも市民権を厳格に閉鎖していた
独裁の世界史~ギリシア編(7)ペリクレスの時代
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ペルシア戦争によってアテネはギリシアの覇権を握り、「デロス同盟」の盟主として政治・軍事に加え財力でも突出する。パルテノン神殿はこの頃の建造物として、今もアテネの力を伝えてやまない。そういう段階で、「ペリクレスの市民権法」が制定され、市民身分が閉鎖化していく。(全11話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分53秒
収録日:2019年12月3日
追加日:2020年3月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●アテネの覇権掌握と「デロス同盟」


―― 今までのお話では、アテネ(アテナイ)の場合、僭主政は比較的短い期間だったということでした。民衆の支持を背景にしたペイシストラトスが独裁政を敷いたけれども、息子たちの世代で追放されるような形になってしまった。その後、クレイステネスの改革が(民主政の)形式を整える段階で、ペルシア戦争に突入したために実情が形式に伴う状態になってきたということを解説いただきました。

 この後、いよいよペリクレスの時代に入ってくることになろうかと思いますが、ペルシア戦争からここまでの変遷はどのように考えればよろしいのでしょうか。

本村 ここで重要なのは、アテネが実質的な覇権を持ったことです。アテネの歴史をひもとくと、ペイシストラトスの時代に国力を充実させ、クレイステネスの改革があって、ペルシア戦争でペルシアを退けていく。これはアテネだけが戦ったわけではないけれど、ギリシアの中心になったのがアテネでした。

 ですから、当然アテネ人がギリシア世界の覇権を握ったということになります。しかし、周りのスパルタなどはもともと軍国主義国家で、それなりの力を持っていました。だから、アテネが覇権を握るということ自体が、あまり面白くないわけです。

 また、アテネが覇権を握ることになると、軍事力を充実させることも大事だけれど、財政的なものも充実させなければいけない。そこで、「デロス同盟」というものを結成します。

 デロス同盟は、建前としては一旦引き下がった大国ペルシアが盛り返して攻め込んでくるときに備えるためでした。アテネを中心としたギリシアのポリスが、基金をデロス島に集め、いざペルシアが攻め込んできたときには、その財力で対抗する、という趣旨で始まったものです。

 ところが、ある段階で、デロス同盟の盟主(リーダー)であるアテネの間に、「戦争が始まらない間は、金を適当に他のことに使ってもいいだろう」と考える者たちが現れます。彼らにしてみると、金庫がデロス島にあるよりアテネにあったほうが、資金を動かしやすい。そこで紀元前454年、デロス同盟の金庫がアテネに移転されます。


●「ペリクレスの市民権法」で、市民身分を閉鎖化


本村 政治的・軍事的に実質的な覇権を握っていたアテネは、このようにして財力においてもギリシアの中心になっていくわけです。でも、これは他の...

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