独裁の世界史~ギリシア編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ペロポネソス戦争の勝利がスパルタにもたらしたもの
独裁の世界史~ギリシア編(8)ポリス社会の変質
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ペロポネソス戦争はアテネとスパルタという二大ポリスの対立に始まる。20年以上にもわたるこのギリシア「世界戦争」は、ポリス社会にさまざまな衰退をもたらした。スパルタの凋落、傭兵の出現とともに、ポリスの意味は変質していく。(全11話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分15秒
収録日:2019年12月3日
追加日:2020年4月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●ポピュリズムに走ったシチリア遠征の失敗


本村 ペロポネソス戦争の勃発が紀元前431年で、翌年疫病が流行し、429年にペリクレスが亡くなります。彼のリーダーシップの下にうまく機能していたアテネのポリスの運営でしたが、その死後は彼の下にいた政治家や軍人のような人々が発言することになってきます。

 それが、クレオンなどのアジテーターたち、ニキアスやアルキビアデスのような、ペリクレスとは比べるのもかわいそうなような政治家たちです。彼らは、今でいうポピュリズムに走ります。ポピュリズムというのは、民衆を説得しきれないので、民衆が喜びそうな話をどんどん持っていくようなことです。

 そのなかでも、シチリア遠征の失敗が特に大きくいわれます。シチリアは穀倉地帯ですが、アテネ・スパルタ・シチリアという位置関係であるため、シチリアとスパルタはかなり密接な仲でした。だから、スパルタの勢力をそぐためには、シチリアを叩けば穀物が輸入できなくなるだろう。「彼らのつながりを断つために、シチリアに遠征しよう」とアルキビアデスのようなアジテーターたちが主張し、その意見が通りました。

 アテネは元々海軍主義を採っていたこともあり、大艦隊を組んでシチリアのシラクーサというところに行くのですが、これが思っていたようにうまくはいかない。結局、長い間そこに滞在して、艦隊を留めます。艦隊というのは狭いところで生活しているため、なかの兵士たちから不満が出てきたり、病気も流行したりということが起こってきます。

 結局シチリア遠征は大失敗に終わってしまい、何も成果なしに戻ってこざるを得ないことになってしまいます。


●スパルタはペロポネソス戦争の勝利によって何を失ったのか


本村 この後もいろいろ戦いがありますが、このシチリア遠征の失敗が大きな契機となり、アテネは坂を下っていくようにずるずる負けが続いていくことになります。最終的にはアテネが凋落してスパルタが勝利を収めるというのが、ペロポネソス戦争の経緯です。

 ただ、この間に何度も何度も繰り返しで20数年がたっています。古代の戦争というのは1年中やっているわけではなく、夏のシーズンに戦っては冬は休戦状態といった感じでした。そういう形でアテネが凋落し、スパルタが勝利を収めるということになります。

 それ以後アテネが凋落したのに代わり、勢力を持ったスパルタ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(1)はじめに
新史料の発見で見直される「本能寺の変」
藤田達生
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(5)1人の力で歴史を変えた男たち
大義にもとづく「個人の決断と行動」が歴史を動かす…名将の教訓
門田隆将
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将