独裁の世界史~ギリシア編
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なぜペリクレスの時代が「民主政の花」といわれたのか
独裁の世界史~ギリシア編(9)僭主政と民主政
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
良い政治家という意味では、賢明な僭主だったペイシストラトスも、「民主政の花」と呼ばれるペリクレスも、さして違いはなさそうに思える。彼らは何がどう違っているのだろうか。そして、ポピュリズムと古代ギリシア政治の関連とは。(全11話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分26秒
収録日:2019年12月3日
追加日:2020年4月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●ペリクレスの時代が「民主政の花」といわれた理由


―― 少し話を戻すようですが、ペリクレス時代の前後50年ぐらいがアテナイにおける「民主政の花」と言われていたということですね。ペリクレスの時代が「民主政の花」といわれた理由は、どういうところにあるのですか。

本村 国力が充実していたこと、パルテノン神殿を造ったことですね。だけど、今流に考えていくと、それは自国の国力そのものではなく、デロス同盟の金を使っていたではないかということになる。実際、当時からそれは批判されていました。

 ただ、今でもギリシアのアテネに行くとパルテノン神殿があり、その時代のさまざまな建造物があります。そのように形の上でアテネを中心にギリシアを取りまとめる役を果たした功績はあります。いろいろな相互の対立があったのを、なるだけ表立たないようにしたわけです。その意味で、彼は世界史上まれに見るほどの政治家だといわれているのです。

 つまり、とりまとめにあたって、民衆に迎合するような形を用いず、ちゃんと自分たちで議論し、民衆を説得して、行くべき方向を説くことができた。そのような形での議論ができる政治家だったといわれているわけです。


●ポピュリズムと僭主政の近い関係


―― シリーズの前半で出てきたペイシストラトスは、民衆の支持を背景に出てきた僭主ということで、いわば「よい僭主」というイメージがありました。今度のペリクレスの場合は、「民主政のリーダー」という言われ方をします。二人を比べて何が違うというのもおかしいようですが、かつての僭主とペリクレスの間にはどういう違いがありますか。

 ペリクレスの場合、民主政の仕組みをうまく自分で運営しながら、リーダーとして君臨し続けたというところですよね。先生、これはどのように考えるのがよろしいのでしょうか。

本村 ペイシストラトスの場合は、平民の不満を背景にして、平民の不満を吸収する形で、テュラノス(僭主)になり、僭主政を樹立したわけです。ペリクレスの場合は、別に民衆の不満を背景にしていたわけではありません。もちろん不満はあるに決まっていますが、それが大きな原因ではありませんでした。

 彼が言ったのは、今これほどまでに国力を充実させたアテネが、今後ギリシア世界のなかで君臨していくには、どうすればいいかということです。どうやって全体のリーダーシップを...

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