独裁の世界史~ギリシア編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ペイシストラトスの僭主政治はプラトンの理想だった?
独裁の世界史~ギリシア編(4)ソロンとペイシストラトス
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
紀元前6世紀、「ソロンの改革」に続いてアテネ竿遺書の僭主であるペイシストラトスが登場する。平民の不満を解消しようと武力行使によって権力を握った彼は、プラトンが言う「哲人皇帝」に匹敵するような賢明な独裁者だったのだろうか。(全11話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分34秒
収録日:2019年12月3日
追加日:2020年3月14日
カテゴリー:
≪全文≫

●アテネの基礎を築いた最初の僭主ペイシストラトス


―― 前回はローマとギリシアの対比をお伺いしましたが、なぜローマは共和政で、ギリシアがそうではなく民主政の道になったのかということを、これからお伺いしていきたいと思います。それに向かうためにも、歴史のほうをぜひ見ていきたいのですが、まずは僭主政の時代がやってくるところですね。このあたりは先生、アテナイでいうと、どうなりますでしょうか。

本村 「僭主政」というか、最初はゆるい王政である貴族政がありました。そういう集団のなかでの争いが起こり、いわゆるスタシスの中から「テュラノス」(僭主)が登場してくるわけです。こういう僭主政が、アテネにおいてはまさに典型的な形で出てきます。

 アテネにおける最初の独裁政を樹立したのはペイシストラトスです。この時、彼は最初の段階ではかなり武力的な方法、すなわち武断政治を敷いて、自分の政敵である反対勢力を全て排除していきます。ただ、この時にペイシストラトスの考えていたことは、平民層の不満に基づいていました。彼は、自分の覇権ないし権力を確立していく段階において、彼らの不満をなんとか解消していこうとしたのです。

 ペイシストラトスという人は、アテネの国力を充実させるため、非常に熱心に努めます。このため、ペイシストラトス時代の最初の僭主政は非常にうまくいきます。この段階のアテネは、ギリシアの中で最大のポリスと言われましたが、その基礎をつくったのはペイシストラトスです。彼によって、アテネというポリスの国力の基礎がつくられました。


●ペイシストラトスの独裁政はプラトンの理想だった


本村 一方で、彼は反ポリス的な行動も取っています。民衆の武器を没収して国家の管理下に置くという、日本の刀狩りのようなことをしています。また、10分の1税を課したりもしているし、自分の親族など、息のかかった者たちをポリスの要職に配属したりもしている。このように反ポリス的、反民主的な行動も見られました。

 しかし、彼は平民の不満を基盤としてのし上がってきましたから、農民の保護育成については非常に配慮しました。また自分が僭主になるということ自体が、旧来のスタシスの状態、貴族が乱立して相争う状態を排除することでもありました。つまり、旧来の貴族支配を打倒し、彼らを黙らせたりすることを行ったわけで、そういう点で、彼は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
20世紀前半の日中関係~この歴史から何を学ぶか(1)
極東の小国が旧超大国・清に挑戦した日清戦争
島田晴雄
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠
技術と民生から見た明治維新(1)遠藤謹助
遠藤謹助―造幣局をつくった「造幣の父」
山内昌之
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎

人気の講義ランキングTOP10
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(8)AI時代の人間の価値
労働市場改革を妨げる労組や、不登校を救えぬ文科省こそが邪魔だ
宮本弘曉
ウェルビーイングを高めるDE&I(7)エクイティ実現と特権性の理解:後編
パワハラもコンプラも…企業内エクイティで大事な「境界線」
青島未佳
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博
編集部ラジオ2026(17)「過剰な良かれ」の落とし穴
【10minで考える】巨人・阿部監督の辞任と「過剰な良かれ」
テンミニッツ・アカデミー編集部
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
睡眠不足が生活習慣病や精神疾患を招く…睡眠の5つのミッション
西野精治
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎