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社会関係資本が貯まらない…キャリア・プラトーの打開策

プロティアン~最先端の自律的なキャリア形成(3)キャリア・プラトーを打開する

田中研之輔
法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事
概要・テキスト
ミドルシニア層が組織内キャリアに依存したり、ポストオフ層のキャリア・モチベーションが低下したりする例は多い。その原因は、経験によりビジネス資本が蓄積されていくのに対し、社会関係資本が増えないことにある。これを「キャリア・プラトー」と呼ぶが、その打開策は「外に出る」ことだというが、その意味と実践法を詳しく解説していく。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:47
収録日:2022/03/11
追加日:2022/06/02
タグ:
≪全文≫

●キャリアは「ビジネス資本」と「社会関係資本」で築く


―― 前回、若手の方に向けては、まずはその会社の中できちんとスキルをつくりなさいというお話がありました。また、逆にいうと、40~50代の人はすでに20歳の頃から10~20年もやってきて、いろいろなキャリア、というよりスキルがついてきています。第1話の中でも「棚卸し」という言葉を使われていましたが、それをどう整理して、どう展開していくのかが大事になると思います。具体的には、どういうイメージなのでしょうか。

田中 そうですね。これは一つサジェスチョンできると思うことがあります。キャリアが何によって形成されるのか、二つの大きな資本を想定してください。一つは、「ビジネス資本(ビジネス・キャピタル)」と私が呼んでいる、皆さんの持つ専門的スキルです。これは何でもよくて、例えば資料をまとめる力、市場を分析する力、未来を洞察する力、競合他社を分析する力など、全てビジネス資本というくくりになります。皆さんが働いて経験を積んできた上でスキル化したものがビジネス資本です。

―― 例えば見識とか、そういうものも含めての話ですか。

田中 含めてです。リテラシーも全てビジネス資本に含まれます。だから、ビジネス資本ゼロの人は誰もいない。何らかのビジネス資本があるということです。このビジネス資本というものは、やはり組織の中で貯まっていくと考えます。

 もう一つ大切なのが、「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」と呼んでいるもので、イメージしやすいのはネットワークです。これについてミドルシニアの皆さんに質問したいのが、「ここ数年で新しいネットワークは築けていかますか」ということです。

 若手の時は大学生の頃の同期や友だちがいて、他社で働いていてもつながっていたり、会社の中でも新しいチャレンジをするたびに新しいメンターや上長、同僚に会えたりする。それによりどんどんネットワークが広がっていきます。

 でも私のように同じ組織の中で10年以上働いていると、ネットワークは硬直化していきます。それで何が起きるかというと、ビジネス資本はすでに一定量貯まってきて、それ以上は増えにくくなっている。その中で社会関係資本がそれほど貯まっていかないことになると、一つ大きな問題が生まれます。「キャリア・プラトー」といって、キャリアが硬直して停滞する状態です。

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