プロジェクトマネジメントの基本
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プロジェクトマネジメントの基本(6)ビジネスアナリシスの仕事
大塚有希子(法政大学専門職大学院イノベーションマネジメント研究科准教授)
ビジネスアナリシスは業務側と実装側をつなぐ仕事だと大塚氏は言う。プロジェクトにおいて発注側の要求を収集し、取捨選択を行って、スコープ定義をつくることが主な業務である。つまりプロジェクトの要求事項を分析するビジネスアナリシスは、組織の意思決定・業務改善にとって欠かせない職務なのだ。(全10話中第6話)
時間:8分58秒
収録日:2025年9月10日
追加日:2026年2月2日
≪全文≫

●業務側と実装側をつなぐ仕事がビジネスアナリシス


 今回は、ビジネスアナリシスのお話をしましょう。

 「ビジネスアナリシス」という言葉を聞いたことはおありでしょうか。プロジェクトマネジメントのグローバル標準であるPMBOKには、「要求事項の収集にはビジネスアナリシスの専門的知識を有するエキスパートの判断を参考にする」とあります。プロジェクトでいうと、要求事項の分析をする専門家のことです。

 それに関して、「BABOK(Business Analysis Body Of Knowledge)ガイド」というグローバル標準のガイドがあります。そこではビジネスアナリシスのことを、「ニーズを定義し、ステークホルダーに価値を提供するソリューションを推奨することにより、エンタープライズにチェンジを引き起こすことを可能にする専門的活動」と定義しています。

 ものづくりの分野では「システムズエンジニアリング・ハンドブック」という、アメリカのINCOSEというシステムエンジニアリングの団体が使っているハンドブックに、「ビジネスまたはミッション分析の中で、BABOKガイドによりビジネス要求を規定する」とあります。

 どちらかというとシステムエンジニアリングのものづくりより上流の、ステークホルダーやビジネスとしてソリューションがなぜ必要かという分析を、ビジネスアナリシスといっています。

 ここで少し日本におけるプロジェクトの問題点をご紹介したいと思います。

 日本は長期雇用の構造で、雇用の流動性が少ない。ということは、入社してから定年までずっと同じ会社にいる。あるいは転職するとしても、同じ分野で転職することが多い。そうすると、どうなるかというと、自分の会社や自分の業界のことにはエキスパートで、すごく詳しい。けれど、業界標準や他の会社、他の業界のことはあまり詳しくないという文化になりがちです。

 そのためにプロジェクトでどういう問題が起こるかというと、プロジェクトで実装する、発注するほうは、自分の会社のやり方にこだわる。「自分の会社のやり方に合ったソリューションをください」と言うわけです。システムに業務を合わせるのではなく、自社の業務に合わせたカスタマイズ(を求める)。

 例えば、経理部門では「会社創業以来60年、連綿とOJTで仕事をやってきました。それをシステムにしてください」...

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