自由とは奴隷の思想ではないか…福田恆存の人間論とは
福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福(6)福田恆存の人間論――演戯と自然
ロレンスの『黙示録論』を通じて、日本人の依拠すべき自然観を模索した福田恆存。その思考は、演戯と自然が日本人の宿命感をもたらすという独自の人間論に結実する。「醒めつつ踊り、踊りつつ醒める」という演戯とは何か、また...
収録日:2024/05/10
追加日:2024/07/21
トインビーが述べた、民族が滅びる「3つの条件」とは?
脱人間論(11)理想、歴史、数量化
20世紀以降、「ヒューマニズム」の名のもと、世界中でエリート教育をしなくなった。だが昆虫ですら、エリートがいなくなれば、その種は滅びる。人類が築き上げてきた諸文明にも、エリート製造システムが機能していた。歴史家の...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/07/02
エリートを養成できない国は、免疫機構を失ったのと同じ
脱人間論(10)エリートをつくれなくなったら滅びるのみ
1968年のパリでの学生運動の時代から、世の中が変わりだした。魂より肉体を大事と思うようになり、この流れはもう止まらない。今回のコロナ禍でさらに加速し、ホモサピエンスはいよいよ滅びるときに近づいている。過去の文明を...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/06/25
人間の命を「数量」で考えて経済や国の活力を論じるバカ
脱人間論(9)ちょっとした幸福が欲しくて破滅を招く
自分の人生を体当たりで生きていれば、死ぬときもジタバタしない。死を宣告されて慌てるのは、何も考えない人生を送った人である。人口についての考え方も、日本ではおかしくなっている。子どもの数が減って「国の活力がなくな...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/06/18
「人に認められたがる」「幸福になりたがる」が問題の根本
脱人間論(8)「犬死にでいい」の覚悟
人から嫌われてもいいと思って生きてきたが、20代で恋愛をし、好きな女性ができたときは苦しかった。相手に好かれたくて仕方なかったが、それでも自分を曲げることはしなかった。そのため、ふられてしまい、「忍ばされる恋」に...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/06/11
おいしい餌をまく悪魔は、必ず美男美女の姿でやってくる
脱人間論(7)なぜ成功や幸福を捨てねばならないのか
三崎船舶時代に出会った悪漢政との出会いは、人生最大の幸運だった。日本一の船頭で、強烈な魂を持っていた。学歴はないが頭が抜群に切れ、膨大な取引データもすべて記憶していたほど。こういう人が50年前までの日本にはいて、...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/06/04
貧乏国に命懸けの仕事をさせて「感謝もしない」日本人
脱人間論(6)相手の「魂」がわからなければダメ
危機の状況下で物事を解決するには、必ず痛みが伴う。どこを我慢するかが大事なのに、それが決められないから適切な対応ができない。戦争も、西側諸国では、1人でも死ぬ可能性があれば、できなくなっている。そんなことでは、今...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/05/28
キリストは神の言葉の厳しさを前提に「赦し」を説いた
脱人間論(5)愛のために、自分の体をなげうつのが人類
肉体よりも魂を重んじる人は、現代では落ちこぼれになってしまう。だが、魂のために肉体をいかに犠牲にするかを考えてきたのが、人間である。その代表が武士道や騎士道だといえよう。武士道や騎士道のみならず、魂のために肉体...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/05/21
ニーチェの「神は死んだ」という言葉は、400年間の総決算
脱人間論(4)人類は「戻る」ためのホックさえ失った
宇宙には神の摂理があるが、それを捨てた始まりがルネサンスの人間中心主義で、その行き着く先が20世紀の物質文明である。信仰心を失いながらも「信仰心は大事だ」と思い、葛藤(かっとう)していたのがヴィクトリア朝のイギリ...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/05/14
「愛」こそが宇宙の根源、それを認識するのが人類の役目
脱人間論(3)なぜ大宗教家たちは「愛」を語るのか
「愛」を認識する力を持っていることが、人間が他の動物と違うところであり、世界中の宗教家が語っているのも「愛を認識せよ」ということである。宇宙のシステムは、寿命がきた星が爆発して星雲となり、やがてそこからまた新し...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/05/07
愛情をかけられなければ成長できない動物は、人間だけ
脱人間論(2)「水平社会」の間違い
「働かざる者食うべからず」は人類の鉄則なのに、今はヒューマニズムによって、それが通じなくなっている。「肉体が大事」というなら、動物と変わらない。人間が動物と違うのは、愛のために肉体を犠牲にできるところ。親孝行も...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/04/30
「原発」や「紙幣乱発」に共通する「希望」という名の驕慢
脱人間論(1)絶望の中からしか、人類は立ち直れない
今は乱世ですらない。これまでの文明史において、乱世とは、贅沢になり驕った民族を、質実剛健で精悍な民族が打ち負かし、取って替わる時代のことであった。だが、今の人類には取って替わるものがなく、これは人類が滅びること...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/04/23
「一匹と九十九匹と」…政治と文学の関係を問うた福田恆存
福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福(4)福田恆存とは誰か?
福田恆存とはいったい誰なのか。消費社会化した日本の「大衆化」の問題を指摘し、また大きな業績の1つとして『シェイクスピア全集』を全て翻訳した福田恆存の思想に迫る前段として、彼の生涯、その人物像を確認しておきたい。下...
収録日:2024/05/10
追加日:2024/07/07
航海をすることが必要なのだ。生きることは必要ではない
反生命論(2)人類の「初心」とは?
人間とは、魂の生き物であり、魂のために肉体を犠牲にする歴史を積み重ねてきた。スペインの哲学者ミゲール・デ・ウナムーノの『ドン・キホーテとサンチョの生涯』には人間を定義した言葉がある。「人間以上のものたらんと欲す...
収録日:2024/05/16
追加日:2024/08/02
生を殺すものは死せず、生を生かす者は生きず
反生命論(3)殺生者不死、生生者不生
世界の大宗教は「人間の救い」を唱えているが、その内容を研究していくとすべて「魂のために命を捨てなさい」という教えである。だから、「反生命論」は人間の歴史を意味する。武士道や騎士道も、自分の名誉や「義」を貫けない...
収録日:2024/05/16
追加日:2024/08/09
「反生命論」とは「生命=人間ではない」という思想である
反生命論(1)「反生命論」とは何か
反生命論とは「真の人間とは何か」「真の人間の未来とは何か」を問うものである。まず根本的な思想として大事なのは「生命=人間ではない」ということだ。生命よりも、もっと上位の概念にあるのが人間だからだ。たとえば人間は...
収録日:2024/05/16
追加日:2024/07/26
カストロとゲバラは「生命の本当の真実」を知っていた
毒を食らえ(5)信じるものに殉じる覚悟
「そうすれば、結果的に成功するのですね」。このような「成功」や「評価」という結果から逆算する考え方は、間違っている。キリスト教も、本来は「聖書のために死ぬ」というのが基本であった。もちろん、結果として成功するこ...
収録日:2020/10/13
追加日:2021/01/15
なぜ「無垢だった人たち」と一生涯対決するしかないのか
『ベラスケスのキリスト』を読み解く(6)偉大な宗教家のエキス
昔の仏教者の生き方は武士道そのままであった。日本への渡海に失敗して失明しても挫けず、ついに日本にやってきた鑑真も、その一人である。大事なのは「脱ヒューマニズム」だが、今の西洋文明はキリスト教のいいとこ取りにしか...
収録日:2022/08/02
追加日:2022/10/14
なぜ戦争が始まるのか――ポリスをめぐる壮大な思考実験
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(6)言論でのポリス建設
一人ひとりの正義を知るには、より大きな国の正義を見るのがいい。類比の方法に基づいて第2巻の後半から「言論によるポリス建設」がなされる。そこで一種の壮大な思考実験が行われる。「なぜ私たちは共同体で生きるのか」に始ま...
収録日:2022/07/08
追加日:2022/12/22
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
『源氏物語』の本質は「もののあはれ」の一点に集約できると論じた18世紀の思想家・本居宣長。また、宣長はその「もののあはれ」こそが、日本人の道徳・倫理を基礎づけているとも指摘している。それはいったいどういうことなの...
収録日:2023/08/04
追加日:2024/01/18
人間だけが鉄砲の弾に向かって命懸けで突っ込んでいける
反生命論(4)人間文化の頂点にあるもの
「人間」として生きるには、肉体を拒絶しなければならない。フランスの哲学者アランは「魂とは、肉体を拒絶する何ものかである」と言ったが、宗教も含めたあらゆる文化は、全部「反生命」なのである。一方、ヒューマニズムは、...
収録日:2024/05/16
追加日:2024/08/16
我々の生命を害するものが、我々の生命を強くする
反生命論(6)生命は、敗北によって輝きを増す
「私を殺すものが、私を強化しているのだ」と、フランスの哲学者ミッシェル・セールは著書『人類再生』で説いている。これは人間生命の本質で、敗れることによって生命は輝きを増すということである。この方程式の在り方を、文...
収録日:2024/05/16
追加日:2024/08/30
歴史に残る「愛や忠義の名作」はすべて身を犠牲にする物語
反生命論(8)反生命だけが真の歴史を創った
『日本書紀』にはヤマトタケルの命を救うために海に身を投げた弟橘姫の話が出てくる。楠木正成は忠義のために敗北がわかっていて戦いに出ていった。愛や忠義のために肉体を投げ出しているのである。これが魂の本質である。ロー...
収録日:2024/05/16
追加日:2024/09/13