●「絶対にダメ」ということを、みんな絶対に認めない
執行 もう絶対にダメなので、「さて、では生き残るには、どうすればいいか」というのが、私の考えている話です。
―― 日本の財政と経済を見ていると、ひたすら赤字国債を発行して、撒く。その赤字国債も撒けなくなりはじめたら、異次元金融緩和でまた撒く。
執行 今はコロナが理由です。
―― コロナが理由で、今度は財政を持ってきて、撒く。
執行 今その紙幣の乱発が、素人目に見ると投資の株と不動産に行って、それが紙幣を全部吸い上げているので、ハイパーインフレーションには、まだなっていないというだけです。とんでもない経済状態なのに、株も、(中央の)土地も、もう「ど・バブル」です。よく言えば乱発した紙幣を投資家が吸い上げている状態ですが、こんなものはいつまでも続きません。もうダメに決まっています。
ただ残念なのは、「絶対にダメ」ということを、みんな絶対に認めない。それが現代人の特徴です。『脱人間論』では、そこをわかりやすく書いています。だってすべての数字が、全部ダメなのですから。
全国のスーパーコンピュータは、「絶対にダメ」という解答をすでに出しています。でも人類は取り上げない。早いものでは、1972年から出ていています。マサチューセッツ大学にある、当時の世界一のコンピュータが、「今の消費文明は行き詰まって自己崩壊する」と。何度スーパーコンピュータにかけても、計算では、そう出てくる。でもやめない。自分のことになると。
―― 「自分のことになると」というところがポイントですね。
執行 そこです。もう日本人もみんな病気ですから。私は20代の頃からたくさんの人と話し合いましたが、私の意見がわからない人はいません。さすがに「絶対ダメ」と言いませんが、「反省すれば大丈夫」と。とはいえ、自分のこととして受け入れた人はいません。
―― 痛みが自分に来るのだったら……。
執行 わかりやすく言うと、私の言うことは、みんなわかるのです。だったら、まず何を我慢すべきかというと、最初は「社会保障」です。「働かざる者食うべからず」というのは、これは人類が始まったときからの鉄則です。
人の10倍働けば人より豊かになり、人より働かなければ乞食になる。これが人類の鉄則なのに、ヒューマニズムによって「かわいそう」だとか、「いい」とか「悪い」とか現...