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愛情をかけられなければ成長できない動物は、人間だけ

脱人間論(2)「水平社会」の間違い

概要・テキスト
「働かざる者食うべからず」は人類の鉄則なのに、今はヒューマニズムによって、それが通じなくなっている。「肉体が大事」というなら、動物と変わらない。人間が動物と違うのは、愛のために肉体を犠牲にできるところ。親孝行もその一つで、今の自分があるのは育ててくれた人がいるからだから、その「恩」を忘れてはいけない。動物のなかで、人間だけが大人から愛情をかけられなければ成長できない。それは「恩」や「愛」を学ぶためなのだ。ただし「人間中心」で考えるのが当たり前の現代では、こうした考えは通じない。だからまともになろうと思えば、もう人間をやめるしかない。(全11話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12:32
収録日:2021/03/18
追加日:2021/04/30
カテゴリー:
≪全文≫

●「絶対にダメ」ということを、みんな絶対に認めない


執行 もう絶対にダメなので、「さて、では生き残るには、どうすればいいか」というのが、私の考えている話です。

―― 日本の財政と経済を見ていると、ひたすら赤字国債を発行して、撒く。その赤字国債も撒けなくなりはじめたら、異次元金融緩和でまた撒く。

執行 今はコロナが理由です。

―― コロナが理由で、今度は財政を持ってきて、撒く。

執行 今その紙幣の乱発が、素人目に見ると投資の株と不動産に行って、それが紙幣を全部吸い上げているので、ハイパーインフレーションには、まだなっていないというだけです。とんでもない経済状態なのに、株も、(中央の)土地も、もう「ど・バブル」です。よく言えば乱発した紙幣を投資家が吸い上げている状態ですが、こんなものはいつまでも続きません。もうダメに決まっています。

 ただ残念なのは、「絶対にダメ」ということを、みんな絶対に認めない。それが現代人の特徴です。『脱人間論』では、そこをわかりやすく書いています。だってすべての数字が、全部ダメなのですから。

 全国のスーパーコンピュータは、「絶対にダメ」という解答をすでに出しています。でも人類は取り上げない。早いものでは、1972年から出ていています。マサチューセッツ大学にある、当時の世界一のコンピュータが、「今の消費文明は行き詰まって自己崩壊する」と。何度スーパーコンピュータにかけても、計算では、そう出てくる。でもやめない。自分のことになると。

―― 「自分のことになると」というところがポイントですね。

執行 そこです。もう日本人もみんな病気ですから。私は20代の頃からたくさんの人と話し合いましたが、私の意見がわからない人はいません。さすがに「絶対ダメ」と言いませんが、「反省すれば大丈夫」と。とはいえ、自分のこととして受け入れた人はいません。

―― 痛みが自分に来るのだったら……。

執行 わかりやすく言うと、私の言うことは、みんなわかるのです。だったら、まず何を我慢すべきかというと、最初は「社会保障」です。「働かざる者食うべからず」というのは、これは人類が始まったときからの鉄則です。

 人の10倍働けば人より豊かになり、人より働かなければ乞食になる。これが人類の鉄則なのに、ヒューマニズムによって「かわいそう」だとか、「いい」とか「悪い」とか現...
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