危機の状況下で物事を解決するには、必ず痛みが伴う。どこを我慢するかが大事なのに、それが決められないから適切な対応ができない。戦争も、西側諸国では、1人でも死ぬ可能性があれば、できなくなっている。そんなことでは、今後世界の軍事は、北朝鮮と中国が制するだろう。危険が伴うのは天然資源の確保も同じで、昔から命知らずの人間がその仕事を担っていた。マグロも昔の日本人は命懸けで漁に出て捕っていたが、今はお金で買うだけになっている。しかも命懸けで捕ってきた人への感謝を忘れているのが、現在の日本である。(全11話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
≪全文≫
●肉体大事の西側諸国は、もう中国や北朝鮮に勝てない
執行 私なんて、何の権利も認められていません。私は子供のときから、喧嘩が強かったのですが、喧嘩が強い人間は、誰も味方してくれませんし、何も褒められることもない。私は2600回も喧嘩して勝ってきた、どうしようもない男でしたが、でも、勝ったほうが怒られるのが喧嘩です。
―― なるほど。
執行 でも鎌倉時代や室町時代なら、男の子は喧嘩に勝ったら褒められました。
―― 負けたら、死んでしまいますからね。
執行 負けた奴なんて、親から「おまえみたいなクズは生きる資格がない」と室町時代あたりの武士道では言われていました。でも今や、勝った人間が悪い。これは私が子どものときからそうです。
コロナ問題への対応を見ていると、ヒューマニズムが、私が思っているよりもっと進んでいます。どうしてコロナに対応できないかというと、ちょっとした痛みがダメだからです。
物事を解決するには、必ず痛みが要ります。どこを我慢するかが大事なのに、今の人は、たとえば犠牲者が1人出てもダメだと言う。これは無理です。こう言うと「誰かが死んでいいのか」という話になりますが、「死んでいい」と言っているのではありません。「仕方ないものは、仕方ない」という話なのに、それができない。
―― でもそれは、本来は、宇宙の原理ですよね。
執行 そうです。そもそもコロナ問題について、国家ができることはありません。水際対策を間違えて大衆に入ってしまえば、伝染病を止めることなど、どこの国家もできない。だから医療を整え、ひどくなった人を助ける。医療体制に人材とお金を投入することしか、もう国家はできません。しかし、それをやっていないのです。そして国民を動かして、どうにかしようとする。これではアメリカも日本もヨーロッパも、社会が崩れてしまいます。
伝染病は、いったん入ったら止めることは誰にもできません。神にもできません。伝染病には周期があって、必ず3年なり4年なり、行くところまで行かないと収まらないと決まっています。「そうに決まっている」ということを、言える人がいないように思います。
ここで「そうに決まっている」ということは、犠牲者を切り捨てるということになります。「切り捨てる」という言葉はおかしいのですが、仕方がないのです。医療を整えるというのは、助ける設備を整...