テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
テンミニッツTVは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
すでにご登録済みの方は
Facebookでシェア Xでポスト このエントリーをはてなブックマークに追加

航海をすることが必要なのだ。生きることは必要ではない

反生命論(2)人類の「初心」とは?

執行草舟
実業家/著述家/歌人
概要・テキスト
人間とは、魂の生き物であり、魂のために肉体を犠牲にする歴史を積み重ねてきた。スペインの哲学者ミゲール・デ・ウナムーノの『ドン・キホーテとサンチョの生涯』には人間を定義した言葉がある。「人間以上のものたらんと欲するときだけ、人間は本来的な人間となる」である。「愛のため」「義のため」などに自分の命を投げ出したとき、人間的に生きたことになるのである。今回は、大航海時代のポルトガルのエンリケ王子の「航海をすることが必要なのだ。生きることは必要ではない」という言葉も参照しながら、人間燃焼の哲学的根拠について解説する。(全10話中第2話)
時間:16:34
収録日:2024/05/16
追加日:2024/08/02
カテゴリー:
キーワード:
≪全文≫

●人間は、魂のために肉体を犠牲にする歴史を積み重ねてきた


 レジュメの2番目に行きます。「反生命論は、真の人間燃焼論である」。我々は今、「人間の未来」「人間とは何か」など、いろいろなことを語っていますが、実は生命のことを人間だと思っています。人間論が「人間=生命」と混同されているので、どんどん間違えてしまうのです。本当は「生命とは何か」という話と「人間とは何か」という話は、実は別々です。

 私はたまたま武士道が大好きで、『葉隠』だけが好きで、研究してきたのでわかります。武士道と騎士道だけが、「人間の文化」としては一番わかりやすい文化として確立しています。武士道や騎士道が「忠義のため」「愛のため」に命を捨てなければならないのは、「生命」と「人間としての生き方」を別途に考えているからです。人間として、「こうやらなければダメ」という話です。

 人間として何かを全うするときには、極端に言えば、生命を捨てなければならない。切腹までしなければいけない。これが武士道です。切腹は極端ですが、そういうことを言っています。

 ここで「反生命論」という題をつけていますけれど、実は「生命=人間ではない」と先ほど言いました。だから、人間論と生命論を別途にきちんとわけて考える習慣をつけていただきたい。

 第2項目の1番目に「人間とは、魂の生き物。魂のために肉体を犠牲にする歴史を積み重ねた」とあります。この肉体とは、我々が今、生命も兼用しているので「肉体」と言っただけです。これは肉体ではなくて、我々「人間」と呼ばれる魂が、何か違うもの(物質の中)に入れば、その物質が「人間」となるのです。

 これについては、いろいろな意見がありますが、長くなるのでここでは出しません。生命の問題でいえば、(魂の違うものが)物の中に入れば、それが人間になると認識してください。

 私は昔、「生命燃焼」という言葉をずっと唱えていました。これを実は人間論として言っていましたが、誤解されやすいので最近、言い方を変えました。「生命燃焼」から「人間燃焼」という言い方に変えています。

 なぜ変えたかというと、私は昔、「生命=人間」だと思っていました。ところが、いろいろな科学が発達して、いろいろなことが証明され、「生命=人間ではない」と10年、20年前からわかってきた。「...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。