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肉体よりも魂…厳しい修行がなければ文化は継承できない

反生命論(7)生命は、生命讃歌によって滅びる

執行草舟
実業家/著述家/歌人
概要・テキスト
文化は全部、魂の価値である。ところが、ルネッサンスの頃から神を失い、文化を支える価値も失ってしまった。よって魂の文化の継承はできなくなってしまった。いみじくも、この神の喪失をロシアの哲学者ニコライ・ベルジャーエフは「人間は翼を失ったのだ」と言った。神がいた時代、魂が翼を持っていたため人間は飛ぶことができたが、神がいなくなったので、我々はただの肉体になったということである。人間にとって最も大切なものは、肉体ではない。肉体を乗り越えた魂に、最大の価値があるということである。(全10話中第7話)
時間:13:12
収録日:2024/05/16
追加日:2024/09/06
カテゴリー:
キーワード:
≪全文≫

●文化は全部、魂の価値


 7番です。これは6番とも近いのですが、「生命は、生命讃歌によって滅びる」。先ほどから聞いている方はわかると思います。

 第1番目は、神と呼ばれる宇宙の中枢エネルギーが人間を創ったという話です。そして神の意思を尊重して、人間は独自の文化を創り上げてきた。これは、神話や歴史、世界の民族史を見れば誰でもわかることです。まず、我々人間は、そうやって創られたことを認めないとダメです。

 ところが、文化によってはそうではない。ヨーロッパの例がわかりやすく、歴史的にいうとルネッサンスから神を失い、人間は「自分を裁くもの」をだんだん失ってきたのです。「自分を裁く」とは、人間としての所業を裁かれるわけです。つまり裁かれるのは魂です。だから肉体は裁かれない。

 肉体だけが裁かれずに残ったのが、今のヒューマニズムの形です。神を失い、裁く者を失ったことから、今の「肉体大事」と「ヒューマニズム絶対」が生まれたことを確信してください。

 実は、裁く者のない「なんでもあり」の結果論が「肉体大事」であり、人権第一主義の我々が今「民主主義」と呼んでいる欧米の民主主義の形です。この形は先ほどから何度も話しているように、人間の中から急速に魂を抜いて、どんどんその形が出来上がっているということです。

 人間のいろいろなものがなくなっていく。なくなり方が時代とともに少しずつ激しくなる。人間は神を失い、文化を支える価値も失ってしまった。

 だから、文化の継承は今後できません。文化を継承しようと思っている人は、嫌なことを言いますが、諦めたほうがいい。なぜなら、文化の継承は「修行」によってなされてきたからです。

 修行とは教えです。師匠から弟子へ、先生から弟子へと受け継がれてきたのが人類文化です。でも、今はご存じだと思いますが、厳しいものはすべて、「パワハラ」「ハラスメント」じゃないですが、何にもできません。

 ハラスメントでひどいものも、もちろんあります。それでも基本的な思想として、人間が継承してきた魂の文化はもう終わったのだと捉えています。だって、継承させようとしたら、人が嫌がることを押し付けなければならないですから。

 人間は、自分が会得するまでは、「教え」は嫌なのです。一番簡単な例でいえば、バイオリンやピアノの...
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