●宗教はすべて「魂のために命を捨てろ」という教え
次に第3項目、「反生命論が、真の生命論である」ということをご理解いただきたいと思います。
「反生命論」で「反生命が、真の生命」というのは矛盾に聞こえるかもしれません。でも反生命論こそが、真の生命論であることを解説したいと思います。
まず第1番の「真の人生論はすべて、生命を捨てることと生命のはかなさを説いている」です。世界の大宗教を見ると、すごくわかりやすい。大宗教は「人間の救い」を言っています。キリスト教も仏教もイスラム教もヒンズー教も、全部そうです。ところが内容を研究していくと、全部「魂のために命を捨てろ」という教えなのです。だから「反生命論」は、今、私が発明してしゃべっているのではありません。人間の歴史なのです。
「人間を助けるために生まれた」「本当に人間を救うために生まれた」といわれるキリスト教や仏教などの大宗教が、「魂のためには自分の生命すら捨てなさい」と説いている。これがすべての教えであり、歴史上すべての本に書かれている事柄なのです。
『源氏物語』を読んでいると、「大和魂」(やまとだましい)という言葉が出てきます。「大和魂とは何なのだろうか」を読みながら考えました。子どもの頃です。わかったのは、なにも「勇ましい」というようなものではないのです。いざとなったときに、自分の命を国のため、あの当時のことですから皇室や天皇陛下のために捨てられるかどうか。命を捨てるだけの覚悟を持っている人を「大和魂のある人」と言っていたのです。それが平安時代に書かれた『源氏物語』の中に、もうあるのです。
人間というのは、大和魂さえあれば(いい)。普段――今の人は怒りますが――当時の貴族はみんな女遊びばかりしています。贅沢三昧している。酒ばかりくらっている。これらを当時の人はあまり問題にしていません。あのような身分のいい公卿の、家柄のいい人たちは、いざとなったら自分の命を国のために捨てられる人と思われていたからです。そのような大和魂を持った家柄の系譜だと思っているから、尊敬されているのです。
大和魂で一番重要なのは、普段は飲んだくれでもいいのです。いざとなったときに国のために命を捨てられる。簡単に言えば、こういうことです。
『源氏物語』によると大和魂は、勉強...