福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
自由とは奴隷の思想ではないか…福田恆存の人間論とは
福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福(6)福田恆存の人間論――演戯と自然
浜崎洋介(文芸批評家/ 京都大学経営管理大学院特定准教授)
ロレンスの『黙示録論』を通じて、日本人の依拠すべき自然観を模索した福田恆存。その思考は、演戯と自然が日本人の宿命感をもたらすという独自の人間論に結実する。「醒めつつ踊り、踊りつつ醒める」という演戯とは何か、また、そこで要請される死への信頼とはいかなるものなのだろうか。(全8話中第6話)
時間:16分25秒
収録日:2024年5月10日
追加日:2024年7月21日
≪全文≫

●自然をどのように見つけ出すのか


 では、また続きをやっていきましょう。先ほど(第5話)は、D・H・ロレンスの『黙示録論』の中にある、日輪、コスモス、大地の結合ということを申し上げました。それはまさに、自然と結合することによって、私とあなたをつなげている自然を見いだすという話でもありました。この自然をどうやって私たちは見つけ出すのかということが、次の問題になるというのも申し上げましたが、まさにそれを福田恆存の人間論によって、今回は皆さんと一緒に確認しておきたいと思います。

 題して〈福田恆存の人間論―「演戯」と「自然」〉と名付けました。演戯というと、芝居がかったとか、あるいは人工的な感じがありますが、福田の場合、面白いのは、この人工的に見いだされた演戯こそが自然を見いだすのだという話になることです。これが福田恆存の議論の中で非常に面白いところで、非常に近代的なニュアンスも持っているかと思いますので、皆さんにも分かっていただけるのではないかと思います。


●自然をつかむための芸術論への転回


 改めて、福田恆存の人生から少し見ておきます。こういう流れで福田は思考をつなげていきました。

 まず、昭和20年から24年あたりですが、これも先ほど(第5話)少し申し上げましたが、99匹、つまり集団的自我には還元できないような1匹、政治からこぼれ落ちるような個人的自我へと目を向けていったわけです。しかし、1匹は1匹で、あるいは、個人は個人だけで支えられるのかという問いが生まれてくる。その生まれてきた問いをずっとぐるぐる書いていたのが、初期の彼の文学論や作家論、近代論、政治と文学論争だったといっていいかと思います。

 そして、まさに太宰治の死をきっかけとして、彼は転換していくわけです。そうすると、その転換の先にあったのが芸術論だったわけですが、昭和25年から28年、つまりは、1匹であるところの個人的自我の限界、それだけでは支えられないということを見定めた上で、1匹を支えているものとしての全体性、1匹を支えているものとしての自然へと転回していくのです。そして、その転回の中でその自然観、自然をつかむための芸術、そして、自然をつかむための演劇へと向かっていくことにもなります。

 そして向かっていった先で、ロックフェラー財団の奨学金を得て、本当...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(25)《老子の神髄》を学ぶ
【10min解説】田口佳史先生×堀江重郎先生《老子の神髄》
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(4)決断のかげにあった深い葛藤
情報を基にいかに決断するか…その深い葛藤と「南泉猫を斬る」
門田隆将
日本の財政の真実を検証する(6)「経済成長3つの源泉」の具体策
現代日本で「経済成長3つの源泉」の具体的プランを考えると?
宮本弘曉
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(7)始皇帝を支えた家臣たち
始皇帝を支えた家臣たち…史実からいかに実像を描いていくか
鶴間和幸
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(6)陰謀論とユダヤ人
ユダヤ人を巡る「陰謀論」の裏を読む…ロシア革命とユダヤ人
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二