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カストロとゲバラは「生命の本当の真実」を知っていた

毒を食らえ(5)信じるものに殉じる覚悟

概要・テキスト
「そうすれば、結果的に成功するのですね」。このような「成功」や「評価」という結果から逆算する考え方は、間違っている。キリスト教も、本来は「聖書のために死ぬ」というのが基本であった。もちろん、結果として成功することはある。しかし、それは「成功しなくていい」と思っているから起きた結果なのである。「自分が信じるものに殉じる」ことが幸福なのだと考える――これは、かつてカストロやゲバラも持っていた精神だった。だから、あのような生き方には魅力がある。「自分が信じるものに殉じる」という精神を持てばこそ、誰かを恨むような思いも起こらないのだ。(全8話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10:24
収録日:2020/10/13
追加日:2021/01/15
カテゴリー:
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≪全文≫

●成功を求めず、「信じるもののために死ぬ」覚悟はあるか


執行 こういう話をしているときにみんながよく言うのが、「そうすると、結果的にうまくいくのですね」という言葉です。これが間違いです。

 私の本を読んで、私のところにくる人は、全員が必ず「執行先生の本を読んで、私は感動しました」と言います。とくに最初の『生くる』を読んで実践したら、会社で評価を受けたなどと言う。「だから、お前は駄目なのだ」という話です。評価を受けようなどと思ってはいけません。『生くる』が好きになったり、『現代の考察』が好きになったり、今度の『脱人間論』が本当の愛読書になったのなら、その本とともに死のうと思わなければ駄目なのです。成功しようと思ってはいけません。

―― これは生き方の本ですものね。

執行 そうです。だって、「聖書のために死ぬ」というのがキリスト教ではないですか。「聖書を信じれば、必ず成功して豊かになる」などとは誰も言っていません。逆に聖書を信じていたために殺されたり、失敗したりした人はいくらでもいます。だから、同じです。

―― 確かに国教になるまでのキリスト教は、みんなそうですよね。信じたがために……

執行 そう。みんな火あぶりです。

―― みんな火あぶりだし、(捕吏に)追いかけ回されたわけですよね。

執行 要はそういうことです。私の本にも、割と本当のことを書いてあるので、実際上、同じことです。『生くる』や『現代の考察』に書いてあることを本当に実践しようと思ったら、実践して人に嫌われ、会社で左遷されても、それでもいいと思わなければ、「その本の魂」は入ってこないということを言っているのです。

――確かにその通りでしょうね。

 周囲の迫害にめげず、ずっとやっていればいいこともあるかもしれませんが、それは結果論であり、分からない。

―― 結果はともかくとして、この生き方を続けていれば自分の魂はすごく強くなると思います。それは不条理や不合理のすべてを受け入れてしまうからですね。自己肯定化するからこそ、大変な厚みが出てくるのですね。

執行 多分、そうすることで生命として価値が高まり、真の人間成長になるのです。私の言っていることは、具体的な武士道の話をのぞくと、すべてが人間の生命論です。人間生命として、価値のある人生を送ったかどうかが問われますから、幸福も不幸も、成功も失敗も...
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