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なぜ会社の「嫌なこと」は自己成長にとって「良いこと」なのか

毒を食らえ(4)不合理との戦いに勝ち抜く

概要・テキスト
 逆境や不遇のときにどう生きたかが、その人の真価になっていく。目の前の不合理を食うことで、偉大さが身につくのである。たとえば本を1冊書き上げ、出版していく作業は不合理との戦いであり、それに勝ち抜く1つの方法である。一方、ただブログに好きなことを書くだけでは、自己成長は望めない。われわれは妥協せずに戦い、自己の信念を貫いて、愛を全うすべきなのである(全8話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10:22
収録日:2020/10/13
追加日:2021/01/08
カテゴリー:
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≪全文≫

●立派な人ほど「嫌な目」にあって成長してきた


執行 もう1つ、「文明の毒」というものがあります。われわれは全員が、文明社会のなかを生きています。そうすると、人類が築き上げた文明というもののなかに、もともと毒素があるわけです。では、文明の毒素とは何だろうか。私が歴史的なことを調べた結果では、文明の毒とは、われわれが精神的には「不合理だ」と思うことなのです。

―― 不合理だと思うことですか。

執行 不合理。われわれが、「道理に合わない」とか「理不尽」「それはおかしい」と思うことがありますよね。それが文明社会の持っている毒です。

 だから、私は「不合理を仰ぎ見なければいけない」と言っています。不合理を食らわなければいけないわけです。

―― ああ、不合理を食らうところまで行くわけですね。

執行 食らう。だから、私なんか不合理は大好きです。

―― 不合理や不条理を食べるところまで行かれるのですね。

執行 食べてしまう。逃げては駄目。食べて、消化して、自己化しなければ駄目なのです。不合理を自己化すると、文明の本質が自己のなかに溶け込んでくるわけです。

 昔はみんな貧乏で、たいてい親も厳しかったではないですか。だから、子供の頃は何も思い通りにならなかった。あれがすべて「文明の不合理」なのです。親がいて、家庭があって、文明社会があるのは、子供にとっての不合理です。そのなかで、昔の子供は皆、苦しんだわけで、それがよかった。

 しかし、今はそれが環境的にないので、自分でつくらなければならない。会社勤めや何か、嫌なことはすべて不合理ということになります。ただ、知っての通り、今では学校が勉強までさせないのですから。学校に行くと、昔は先生が鞭(ムチ)を持っていて、暗記なり何なり嫌なことを毎日させるのが文明の毒でした。あれで皆、伸びたわけですから、文明の毒が不合理だというのは覚えておいたほうがいい。

 われわれが不合理に思うことは全部、文明社会が生み出した毒です。会社で嫌なことがあるとしたら、それは会社が文明の道具だからで、その道具のなかの組織というものが生み出した「個人の情感と抵触するもの」が不合理であるわけです。

―― なるほど。

執行 だから、愛と義ですね。秩序は「義」で、人間が生きるのは「愛」です。そこに抵触してくるものが「不合理」だと言えます。

―― ぶつ...
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