テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
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乃木希典は、ニンジンが嫌いな息子をどのように鍛錬したか

毒を食らえ(1)コロナ時代の無毒化を憂う

概要・テキスト
「毒を食らえ」とは何か。それは、自分にとって「嫌なもの」「つらいもの」「厳しいもの」を、自らのなかに取り入れて、成長していくことである。ミケランジェロは「私は普通の人間が死ぬであろうほどの毒物を食べることによって、それを自分の糧としてきた人間である」と語ったという。また、乃木希典は息子がニンジン嫌いだとわかると、ニンジンだけを食べさせて克服させたという。むしろ「毒抜き」をすると、身体も精神も弱ってしまうのである。(全8話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11:22
収録日:2020/10/13
追加日:2020/12/18
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≪全文≫

●人が「駄目だ」と言うことだけが、いい結果をもたらす


―― 今日は、先生の思想の非常な中核をなす理論の一つで…。

執行 うん、「毒を食らえ」。

―― 「毒を食らえ」。私はこれについて、ぜひお聞かせいただきたく思っています。

執行 うん。これが私の中心思想で、「毒を食らう」というのが人生観の中心になっています。これは多分、分からなければ現代文明が滅亡しかねないほどの大きな問題です。こういう思想を確立してきた自分の人生は何かということですが、人生そのものもそうだし、身体も精神もそうなのですが、私の周りの人々、親や先生のような人たちが「いい」というものが、私の人生にとってはすべて悪かったのです。

―― なるほど。

執行 私はこのことを克明に分析しています。親や先生、同級生など、いろいろな人たちから「おまえは最低だ。執行はこういうところが悪い。あそこが駄目だ」「これをしては駄目、あれをしては駄目」とさんざん言われてきました。少なくとも20代までみんなからそう言われ通したことだけが、30歳を超えてからの人生において「自分でもよかった」と思うことでした。30歳以降のあらゆるもの、たとえば本を書くにしても事業をするにしても、あるいはいろいろな人の相談に乗って、人の人生の多少は助けになるアドバイスができるようになったのも、すべては怒られ通してきたことが内容になっています。

―― でも先生の、怒られ通しても自分を貫き通す、その反骨精神がすごいですよね。

執行 反骨というものを本当に小学校の頃から貫き通してくると、世の中の真実が自分なりに見えてきます。それが最初に言った、「人々のいいと言うものが全部、一人の人間の人生にとっては悪いものである」ということです。人々が全部、「おまえはこうだから駄目だ」「ああだから駄目だ」と言ったことが全部、少なくとも大人になってからの執行草舟という人間を築き上げるエキスになってきたわけです。全部そうで、例外はありません。この後、話していきますが、肉体に関してもそうですし、精神に関してもそうです。

―― 精神も、そうなのですね。

執行 それから自分が生きてきた運命について、本当に良くないこと、例えば極端ですが「執行は本当に運が悪いやつだ」と言われたこと、人が駄目だと言うことだけが、いい結果をもたらすのです。私の本に割と人気があるのは、そういう経...
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