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自分が死んで次の生命を生む自己犠牲的な「星」のシステム

毒を食らえ(2)なぜ宇宙の本質が「愛」なのか

概要・テキスト
 キリスト教にも仏教にも「すべてを捨てよ」と説く厳しさがあった。なぜなら、本当の愛とは、どんな危険にあっても、自らを顧みず、危険を冒して自分のなかの犠牲的精神を発揮することにあるからである。すべての星も、自らの寿命が尽きると、爆発し、死すことによって自分の材料を宇宙空間にばらまき、新しい星の材料を準備する。その自己犠牲こそが宇宙の法則であり、「愛」の本質なのである。そして、その法則を、キリストや釈迦は看破していたのである。(全8話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12:03
収録日:2020/10/13
追加日:2020/12/25
カテゴリー:
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≪全文≫

●キリスト教や仏教は「厳しさ」も「愛」もあるから素晴らしい


―― 今回のテーマの「毒を食らえ」は、まさに今、現代人が一番忘れてしまった話ですね。一番、嫌なものって……。

執行 そうです。「毒を食らう」ことが不足しているのは身体に関してもそうだし、精神に関してはとくに多いですね。

―― すぐ鬱病になる人が増えています。

執行 そうそう。キリスト教がなぜ素晴らしかったかというと、仏教もそうですが、昔の宗教はおいしい部分もありながら毒もあり、両者がちょうど中和しているからです。だから、それを食べていると、毒の部分も受けながら、愛の部分も受ける。私の好きなウナムーノというスペインの哲学者は、キリスト教の中心思想である「愛」は苦悩のなかにしか存在しないと、はっきり言っています。

 苦悩というのは、精神の毒です。その毒を自己消化するために苦しみ抜くと、そこに一緒についている「愛」というものが分かってくる。これは、食べ物で言えば、一緒についている分子構造のようなものです。

 これがキリスト教でも同じことになる。「毒を嫌う文明」はヒューマニズムが行き過ぎた西洋から生まれたわけですが、キリスト教のなかの「楽で、おいしくて、優しい」部分だけがヒューマニズムになったわけです。

 それが発展してしまったため、あの偉大だった欧米があんな状態になり、西洋人たちは今や移民さえ止められなくなってしまっています。それらは全部キリスト教が持っていたもので、どういう部分かというと、キリスト教に含まれていた毒の部分です。毒というのは、食べ過ぎると死んでしまうわけです。

 聖書の記述でいえば、私はよく「マタイ福音書10章34節」以下に書いてあることを取り上げます。今の人はこの記述をほとんど取り上げなくなっているため、キリストは「愛や家族や隣人などの人を愛することが何よりも大切だ」と教えたと信じています。

 ところが、「マタイ福音書10章34節」以下には、わたし(神)の言葉に従いたいなら、女房を追い出し、兄弟は義絶し、親は捨てろと言っている。以下引用します。

「わたしが来たのは地に平和をもたらすためだと思ってはなりません。わたしは、平和をもたらすために来たのではなく、剣をもたらすために来たのです。」

 そして、次の節では、こうなります。

「なぜなら、わたしは人をその父に、娘をその母に、嫁を...
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