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DATE/ 2017.03.28

鳩時計から出てくる鳥は「鳩」ではなかった?

 朝起きて小鳥のさえずりが聞こえると、さわやかな朝を迎えることができますね。今回はそんな鳥にまつわるお話をいくつか紹介しましょう。

鳩時計の意外な事実

 まずは鳩時計の鳩についてです。鳩時計といえば、決まった時間になると鳥が飛び出してきて、鳴いて時間を教えてくれるのですが、みなさん、当然出てくるのは鳩だと思っていますよね。実は鳩ではないのです。鳴き声から想像がつくかと思いますが、そう、あの鳥はカッコウです。

 鳩時計は、18世紀前半、ドイツでフランツ・アントン・ケトラー氏により作られたものがそのはじまりなのだそうです。ヨーロッパでは、カッコウが春を告げ幸運をもたらす鳥とされていることもあり、時間を知らせてくれる鳥のイメージにぴったりということで、「カッコウ時計」が作られたのですね。

 一方、日本では、寂れた、不景気なという意味で「閑古鳥(かんこどり)が鳴く」といわれるように、カッコウはあまり良い意味でとらえられていないため、平和の象徴とされている鳩を採用したそうです。

春だけ聞ける「ホーホケキョ」~うぐいすの秘密~

 続いて、「うぐいす」に関する話です。うぐいすというと、高くてかわいらしい声で鳴くので、春を感じます。それもそのはず、うぐいすの「ホーホケキョ」という鳴き声が聞けるのは、春だけだからです。

 うぐいすにとって、春は恋の季節。オスはお目当てのメスに、求愛行動を始めます。そのときに発するのが、聞き覚えのある「ホーホケキョ」。この声の良さでうまくいくかどうかが決まるそうです。なかなかうまくいかないオスは、うまいオスの声を聞いて練習するのだとか。あの鳴き声に聞き惚れるのは、人間だけではなかったのですね。

 では春以外はどんな鳴き声をするのでしょうか。うぐいすは、基本的に一年中出される声を地鳴きといい、「チャッチャッ」と鳴きます。これはオス・メス共通です。

空を飛べた鶏

 鶏(ニワトリ)というと、あまり飛ぶイメージがありませんね。でも実はその祖先ともいうべき赤色野鶏(セキショクヤケイ)という鳥は、飛ぶことができたといいます。積極的には飛ばないにしろ、木の上まで行くほどの飛翔能力があったそうです。

現代の鶏は、人に飼われているものばかり。人の手により品種改良されていき、さらに太らせていった結果、飛ぶ必要がなくなってしまい、今のようになったといわれています。特に外敵もいないので、空を飛んで逃げなくても良くなったということもあるようです。
 

出会った動物について見てみよう

 ということで、鳥について少し調べるだけでも、興味深いお話をいろいろと知ることができました。このほか、普段よく見かける動物についても、調べてみると、意外と知られていない面白い話を発見できるかもしれません。今度、公園や森の中、あるいは街中で動物を見つけたとき、ネットや本などをチェックして、知識を増やしてみてはいかがでしょうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授