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DATE/ 2017.05.03

スクープはこうして撮られる!週刊誌の追っかけ術

 社会の問題に鋭く切り込み、ゴシップで芸能人の知られざる一面を伝える週刊誌。近年、不倫や政治問題などを暴き出した週刊文春は「文春砲」とも呼ばれ話題になりました。事件やスクープを記事にするのは、並の精神力ではできません。ときに非情にならなくてはいけない場面もあります。今回は『週刊文春』編集部の著作『文春砲 スクープはいかにして生まれるのか?』をもとに、タレントを追う方々の方法論を見ていきます。

週刊誌の追っかけ術

 芸能人を追いかけるとき、そのネタが良いもののときは取材に対応してもらえることもありますが、相手にとって都合が悪いネタの場合は、たいてい逃げられてしまいます。そのため、記者はいかに彼らのしっぽをつかむかに全力を尽くします。

 では、どのようにそのしっぽをつかむのか?まずは「足」を使います。刑事のように張り込みが基本です。日刊SPA! のコラム『現役の週刊誌記者が暴露「スクープはこうして撮る」――張り込み、尾行、事務所にスパイを送り込み…etc.』では、芸能人の行きつけの店や打ち上げ会場を狙って張り込む、芸能人の車は送迎用、個人関わらず、その多くが記者に把握されていると書かれています。

 また、一般人を巧みに使うこともあります。ときには大学生アルバイトを張り込ませて、スクープをゲットするということも…。

週刊文春編集部の本では、芸能人のSNS、ツイッターやインスタグラムも追いかけるための重要なツールだといいます。なぜなら、ターゲットの好きな人や物について知ることができ、今どこにいるのかといった情報も手に入れられる可能性があるからです。

「逃げ慣れ」してくる人たち

 またその本では、のちに大きな反響を呼んだ有名女性タレントとミュージシャンの不倫について記事を書くため、確実に現場をおさえていき、二人で現れたときを見逃さず、取材するというプロセスを明かしています。関係者に話を聞くときも「ここはおさえる」という部分だけ、ピンポイントに情報をさらい、わずかな情報から重要なポイントを見出すとのことです。

 一方、上述の日刊SPA! のコラムによると、某アイドルグループは、グループ内で連絡を取り合い、どの車が怪しい、どの人には注意という情報をシェアしているという話も。「撒く」のがうまいことで有名な俳優もいるなど、スクープを撮られる方も対処法を考えているようです。

何のためのスクープ?

 他人のプライベートを記事にすることに対しては、嫌な顔をする方も多くいると思います。ですが、その裏には「華やかな芸能人の裏の顔が見てみたい」という人々の欲求があるのです。週刊誌はその欲求に応えて、真実を明らかにし、エンターテインメントとして伝えることに心血をそそいでいます。「書かれるには理由がある」ということも忘れてはいけません。

<参考文献>
・『文春砲 スクープはいかにして生まれるのか?』(週刊文春編集部、角川新書/2017)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授