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DATE/ 2017.06.20

もうすぐ「敷金の返還」が義務化されるって本当?

 2017年5月、民法の債権や契約ルールに関する改正案が参議院本会議で可決、成立しました。今回のような抜本的な見直しは、明治時代に制定されて以来、なんと120年ぶりのこと。修正の主な狙いは、消費者保護の重視、インターネット取引の普及など時代変化への対応です。修正項目はおよそ200項目に及びます。

 今回の改正では、生活に密着した内容が少なくありません。たとえば、契約の詳細を定めた「約款」について、契約者の利益を一方的に侵害する内容である場合は無効とする新たな規定が設けられました。

インターネット通販によるトラブル解消が大幅に改善?

 「約款」のトラブルの例としては、インターネット通販による問題を考えてみると分かりやすいかもしれません。インターネット通販で購入した商品を返品しようとしたら規約を理由に拒否された、とか、違約金を取られたといった話を聞いたことはありませんか。こうした場合、これまでは泣き寝入りせざるえないことが少なくありませんでした。それが、今回の改正によって、契約者の利益を一方的に侵害する内容である場合は無効とすることがはっきりと明記されたことから、大きな改善が期待できます。

 「約款」をめぐっては、携帯電話の契約もトラブルの種になっています。実際に裁判にまで発展したケースもあります。今年1月、消費者団体「埼玉消費者被害をなくす会」がNTTドコモに対して、消費者の同意なく携帯電話会社の都合で「約款」を自由に変更できる「約款変更権」の条項は無効だとして、東京地裁に提訴しました。消費者保護を重視する今回の民法改正は、この提訴の追い風になるかもしれません。今後の動向が注目されます。

 このほかにも、これまで業種によってまちまちだった未払い金や滞納金を請求できなくなる期限、すなわち時効を原則「請求できると知った時から5年」に統一すること、また、「保証人保護」の規定も明記されました。

敷金返還ルールも明記

 なにより、みなさんにとって身近で嬉しいニュースは、賃貸住居からの引越しの際の「敷金返還義務」が明記された点かもしれません。賃料の未払い、故意による損傷などがなければ、賃貸借契約終了時に原則として敷金の全額が返還されることになります。通常の使用による損耗や経年劣化に対する修繕費用の負担義務は賃借人にはありません。

 これらの修正は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や、東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」に沿った内容なので、実務上の取扱いが大きく変更されることはありません。とはいえ、敷金返還については、国民生活センターへの相談数が毎年1万件超とのことなので、民法にきちんと明記されたことは賃借人にとって大きな安心材料となるのではないでしょうか。

 その他、不動産取引に関する修正は、家屋が損傷した場合の「修繕権」や、家賃の減額請求についてなどが明記されました。改正民法が施行されるのは、公布のあった平成29年6月2日から3年以内の予定です。ご自身の身近な生活や仕事と関係する分野については、ぜひとも一度は確認しておくことをおすすめします。

<参考サイト>
・民法改正が不動産の賃貸借契約にどう影響するのか?
http://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_00186/
(10MTV編集部)