社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
もうすぐ「敷金の返還」が義務化されるって本当?
2017年5月、民法の債権や契約ルールに関する改正案が参議院本会議で可決、成立しました。今回のような抜本的な見直しは、明治時代に制定されて以来、なんと120年ぶりのこと。修正の主な狙いは、消費者保護の重視、インターネット取引の普及など時代変化への対応です。修正項目はおよそ200項目に及びます。
今回の改正では、生活に密着した内容が少なくありません。たとえば、契約の詳細を定めた「約款」について、契約者の利益を一方的に侵害する内容である場合は無効とする新たな規定が設けられました。
「約款」をめぐっては、携帯電話の契約もトラブルの種になっています。実際に裁判にまで発展したケースもあります。今年1月、消費者団体「埼玉消費者被害をなくす会」がNTTドコモに対して、消費者の同意なく携帯電話会社の都合で「約款」を自由に変更できる「約款変更権」の条項は無効だとして、東京地裁に提訴しました。消費者保護を重視する今回の民法改正は、この提訴の追い風になるかもしれません。今後の動向が注目されます。
このほかにも、これまで業種によってまちまちだった未払い金や滞納金を請求できなくなる期限、すなわち時効を原則「請求できると知った時から5年」に統一すること、また、「保証人保護」の規定も明記されました。
これらの修正は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や、東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」に沿った内容なので、実務上の取扱いが大きく変更されることはありません。とはいえ、敷金返還については、国民生活センターへの相談数が毎年1万件超とのことなので、民法にきちんと明記されたことは賃借人にとって大きな安心材料となるのではないでしょうか。
その他、不動産取引に関する修正は、家屋が損傷した場合の「修繕権」や、家賃の減額請求についてなどが明記されました。改正民法が施行されるのは、公布のあった平成29年6月2日から3年以内の予定です。ご自身の身近な生活や仕事と関係する分野については、ぜひとも一度は確認しておくことをおすすめします。
今回の改正では、生活に密着した内容が少なくありません。たとえば、契約の詳細を定めた「約款」について、契約者の利益を一方的に侵害する内容である場合は無効とする新たな規定が設けられました。
インターネット通販によるトラブル解消が大幅に改善?
「約款」のトラブルの例としては、インターネット通販による問題を考えてみると分かりやすいかもしれません。インターネット通販で購入した商品を返品しようとしたら規約を理由に拒否された、とか、違約金を取られたといった話を聞いたことはありませんか。こうした場合、これまでは泣き寝入りせざるえないことが少なくありませんでした。それが、今回の改正によって、契約者の利益を一方的に侵害する内容である場合は無効とすることがはっきりと明記されたことから、大きな改善が期待できます。「約款」をめぐっては、携帯電話の契約もトラブルの種になっています。実際に裁判にまで発展したケースもあります。今年1月、消費者団体「埼玉消費者被害をなくす会」がNTTドコモに対して、消費者の同意なく携帯電話会社の都合で「約款」を自由に変更できる「約款変更権」の条項は無効だとして、東京地裁に提訴しました。消費者保護を重視する今回の民法改正は、この提訴の追い風になるかもしれません。今後の動向が注目されます。
このほかにも、これまで業種によってまちまちだった未払い金や滞納金を請求できなくなる期限、すなわち時効を原則「請求できると知った時から5年」に統一すること、また、「保証人保護」の規定も明記されました。
敷金返還ルールも明記
なにより、みなさんにとって身近で嬉しいニュースは、賃貸住居からの引越しの際の「敷金返還義務」が明記された点かもしれません。賃料の未払い、故意による損傷などがなければ、賃貸借契約終了時に原則として敷金の全額が返還されることになります。通常の使用による損耗や経年劣化に対する修繕費用の負担義務は賃借人にはありません。これらの修正は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や、東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」に沿った内容なので、実務上の取扱いが大きく変更されることはありません。とはいえ、敷金返還については、国民生活センターへの相談数が毎年1万件超とのことなので、民法にきちんと明記されたことは賃借人にとって大きな安心材料となるのではないでしょうか。
その他、不動産取引に関する修正は、家屋が損傷した場合の「修繕権」や、家賃の減額請求についてなどが明記されました。改正民法が施行されるのは、公布のあった平成29年6月2日から3年以内の予定です。ご自身の身近な生活や仕事と関係する分野については、ぜひとも一度は確認しておくことをおすすめします。
<参考サイト>
・民法改正が不動産の賃貸借契約にどう影響するのか?
http://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_00186/
・民法改正が不動産の賃貸借契約にどう影響するのか?
http://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_00186/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントが世界的に普及し始めたのは1990年代。ソフトウェア産業の発展とともに拡大を続け、時代のニーズを受けて多くのシーンに定着してきた。今回は、その基本に立ち返り、国際標準をもとに、プロジェクトと...
収録日:2025/09/10
追加日:2025/12/03
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
歴史上の出来事の本質を知るには、その真贋を見定めなければいけない。そのためにはどうすればいいのか。記述の異なる複数の本がある場合、いかにして真実を見極めるか。また、司馬遼太郎の作品が「歴史事実」として認識されて...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/12/02
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
お酒やコーヒーなど世の中には睡眠に良くないのではないかといわれるものがある。また、現代においては特に、スマホの「ブルーライト」が睡眠には大敵だといわれているが、それらは本当に悪者なのか。一般に良い睡眠を妨げると...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/30


