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「低収入でも暮らしやすい町」とは?
いま都市から地方へ移住する人が増加しているそうです。内閣府の世論調査(2014年)では、「自分の住んでいる地域が都市と答えた人の中で、20歳代では52.3%、30歳代では57.6%、40歳代では51.2%が、地方に移住してもよいと思うと回答」しています。
このコラムでは、移住に興味・関心を持つみなさんのために、「低収入でも暮らしやすい町」を独自に3つ厳選して、その情報をお届けしたいと思います。
その3つとは、高知県本山町、福岡県糸島市、東京都奥多摩町です。いずれも、移住先として人気の高い町です。雑誌『プレジデント』(2017.6.12号)の『「低収入でもハッピーに暮らせる町」全国トップ10』という記事でも、高知県本山町は1位、福岡県糸島市は3位、東京都奥多摩町は6位を獲得しました。
本コラムでは、『プレジデント』の記事ではあまり触れられていない、移住先としてのデメリットにもなるべく触れながら、それぞれ紹介したいと思います。
移住メリットについて、イケダ氏は6つ挙げています。「1. アクセスがいい」「2. 移住しやすいウェルカムな文化がある」「3. 子どもの教育をするならここ!」「4. 自然がすばらしい!」「5. 住民の意識が高い!」「6. メシがうまい!」。
また、移住のデメリット、というより、地域の課題についても言及しています。「課題先進県」と言われる高知県の中でも、本山町のある嶺北エリアは、さらに「課題先進地域」とされているそうです。
イケダ氏は、「山がちで限界集落も多いので、むしろ日本の課題が凝縮している場所、といっても過言ではない」と述べています。とはいえ、何をデメリットと感じるかは本人次第なところもあります。常識に縛られていたら移住の決断はなかなかできないでしょう。
ここがイケダ氏のスゴいところでもありますが、地域の課題をデメリットとは捉えず、はじめからむしろメリットと感じているそうです。「課題が多い。だからこそ、「これから」が超面白い」。
ところで、気になるのはお金事情ですね。いったい、どれくらい「低収入でも暮らしやすい」のか。イケダ氏はブログでおおまかな生活費を公表しています。それによると、家賃や交際費など含めた生活費の総額は、家族4人暮らしで1ヶ月12万円ほどだそうです。
糸島市は豊かな自然とおいしい食に恵まれ、福岡市と隣接し、繁華街の天神まで電車で約30分と都心へのアクセスも抜群です。若いクリエーターや職人の移住も多く、自由でオープンなコミュニティが形成されているようです。毎年、アート&クラフトの作家たちが集まる「糸島クラフトフェス」が開催されています。
移住のメリットについて、糸島の移住情報を発信するブログ「愛しの糸島ライフ」を運営する本橋へいすけ氏は、「住宅コストが下がる」を筆頭に挙げています。本橋氏は、東京・糸島以外にも、愛知県、京都市、大阪市、福岡市に暮らした経験があるそうです。
本橋氏が移住して最初に暮らした住居は「10階建てマンションの最上階」「4LDK」で75,000円。HOME`Sで検索してみると、家賃相場は1LDKだと4.43万円、3LDKは6.36万円でした(2017年6月25日時点)。都内に比べるとかなり安いですね。本橋氏は、その他メリットとして「都市部とのアクセスが良い 」、それゆえに「会社員のままでも田舎暮らしができる」などを挙げています。
お金に関するデメリットとしては、水道料金がすこし高いことです。福岡市の水道料金(口径20ミリメートルで20立方メートルの月額)が3294円なのに対して、糸島市は4275円。ただし、家賃の価格を踏まえると考え方も変わるかもしれません。
本橋氏は糸島移住の注意点として以下の7項目を挙げています。「1.クサい!!」「2.虫対策」「3. ゼロから地域を盛り上げたいなら他の場所へ」「4.糸島は超田舎ではない」「5.電車がすぐ止まる」「6.週末はそれなりに混む」「7 お店がありすぎて迷う」。詳細はブログ「愛しの糸島ライフ」をご参照ください。
「子育て世帯」にメリットが大きい理由は、奥多摩町の一番の魅力が、まさに子育て支援策にあるからです。ライブドアニュースの記事によると、「保育園の待機児童ゼロ、1子目から保育料、医療費は全額助成」されます。さらに、「4歳の子を筆頭に2歳間隔で3人の子どもがいて、町単独の支援策すべてを活用すると、支援金額は合計で702万9600円にもなる」そうです。
また、15年間以上住み続けた人を対象に土地付き住宅を無償で譲与する「若者定住応援住宅」というしくみもあります。水と緑に恵まれた町の住宅をタダ同然でもらえてしまうというわけです。
デメリットとしては、はじめに述べたことと矛盾するようですが、都内とはいえ、やはり不便さは拭えない点です。「都心まで片道2時間強」はかかります。それから、気候条件の厳しさも慣れていない人にはデメリットと言えるでしょう。とくに冬の寒さは厳しく、大雪が伴うこともあります。
全国町村会のウェブページによれば、奥多摩町は「デメリットもしっかり知った上で、納得してから住んでもらうため、移住希望者にはあえて気候条件が厳しい冬に町を見てもらうなど、町は真摯な姿勢で、できる限りのことをしようとしている」とのこと。メリットだけを強調するのではなく、デメリットもきちんと明かす真摯な姿勢には共感が持てますね。
今回紹介した3つ町以外にも、魅力的な移住先候補はたくさんあります。メリットもデメリットも、一番の調査方法は、自分の目で確かめることだと思います。魅力を感じる町が見つかったら、まずは旅行も兼ねて出掛けてみるのはいかがでしょうか。
このコラムでは、移住に興味・関心を持つみなさんのために、「低収入でも暮らしやすい町」を独自に3つ厳選して、その情報をお届けしたいと思います。
その3つとは、高知県本山町、福岡県糸島市、東京都奥多摩町です。いずれも、移住先として人気の高い町です。雑誌『プレジデント』(2017.6.12号)の『「低収入でもハッピーに暮らせる町」全国トップ10』という記事でも、高知県本山町は1位、福岡県糸島市は3位、東京都奥多摩町は6位を獲得しました。
本コラムでは、『プレジデント』の記事ではあまり触れられていない、移住先としてのデメリットにもなるべく触れながら、それぞれ紹介したいと思います。
年間100世帯くらい増えてる?高知県本山町
高知県本山と言えば、ブログ「まだ東京で消耗してるの?」で有名なプロブロガーのイケダハヤト氏が移住した町。イケダ氏の2015年7月のブログによると、本山町には「年間30組」くらいのペースで移住者が増えていると書かれています。さらに、このブログは2016年8月に追記され、「今年は年間100組くらい増えてる感じ……」とあり、「全体の人口が1万人程度なので、このまま時代が進むと人口の2~3割が移住者になる日も近いかも」と町の将来を予測しています。移住メリットについて、イケダ氏は6つ挙げています。「1. アクセスがいい」「2. 移住しやすいウェルカムな文化がある」「3. 子どもの教育をするならここ!」「4. 自然がすばらしい!」「5. 住民の意識が高い!」「6. メシがうまい!」。
また、移住のデメリット、というより、地域の課題についても言及しています。「課題先進県」と言われる高知県の中でも、本山町のある嶺北エリアは、さらに「課題先進地域」とされているそうです。
イケダ氏は、「山がちで限界集落も多いので、むしろ日本の課題が凝縮している場所、といっても過言ではない」と述べています。とはいえ、何をデメリットと感じるかは本人次第なところもあります。常識に縛られていたら移住の決断はなかなかできないでしょう。
ここがイケダ氏のスゴいところでもありますが、地域の課題をデメリットとは捉えず、はじめからむしろメリットと感じているそうです。「課題が多い。だからこそ、「これから」が超面白い」。
ところで、気になるのはお金事情ですね。いったい、どれくらい「低収入でも暮らしやすい」のか。イケダ氏はブログでおおまかな生活費を公表しています。それによると、家賃や交際費など含めた生活費の総額は、家族4人暮らしで1ヶ月12万円ほどだそうです。
4LDK家賃75,000円、都市部へのアクセスも良い福岡県糸島市
福岡県糸島市は市が積極的に移住政策を展開しており、2014年度から人口は転入増となりました。人口は約10万人ほどで、年間3,500人前後の転入者を受け入れているそうです。糸島市は豊かな自然とおいしい食に恵まれ、福岡市と隣接し、繁華街の天神まで電車で約30分と都心へのアクセスも抜群です。若いクリエーターや職人の移住も多く、自由でオープンなコミュニティが形成されているようです。毎年、アート&クラフトの作家たちが集まる「糸島クラフトフェス」が開催されています。
移住のメリットについて、糸島の移住情報を発信するブログ「愛しの糸島ライフ」を運営する本橋へいすけ氏は、「住宅コストが下がる」を筆頭に挙げています。本橋氏は、東京・糸島以外にも、愛知県、京都市、大阪市、福岡市に暮らした経験があるそうです。
本橋氏が移住して最初に暮らした住居は「10階建てマンションの最上階」「4LDK」で75,000円。HOME`Sで検索してみると、家賃相場は1LDKだと4.43万円、3LDKは6.36万円でした(2017年6月25日時点)。都内に比べるとかなり安いですね。本橋氏は、その他メリットとして「都市部とのアクセスが良い 」、それゆえに「会社員のままでも田舎暮らしができる」などを挙げています。
お金に関するデメリットとしては、水道料金がすこし高いことです。福岡市の水道料金(口径20ミリメートルで20立方メートルの月額)が3294円なのに対して、糸島市は4275円。ただし、家賃の価格を踏まえると考え方も変わるかもしれません。
本橋氏は糸島移住の注意点として以下の7項目を挙げています。「1.クサい!!」「2.虫対策」「3. ゼロから地域を盛り上げたいなら他の場所へ」「4.糸島は超田舎ではない」「5.電車がすぐ止まる」「6.週末はそれなりに混む」「7 お店がありすぎて迷う」。詳細はブログ「愛しの糸島ライフ」をご参照ください。
「子育て支援702万円」の東京都奥多摩町
3つ目は東京都奥多摩町。現在、「勤務先が都内」、それから「子育て世帯」という読者は、とくにメリットが大きいかもしれません。なぜなら、「勤務先が都内」の方は、奥多摩町ならたとえ移住したとしても、そのまま都内への通勤が可能だからです。転職のリスクを避けて、すこし気軽に移住を選択することができます。「子育て世帯」にメリットが大きい理由は、奥多摩町の一番の魅力が、まさに子育て支援策にあるからです。ライブドアニュースの記事によると、「保育園の待機児童ゼロ、1子目から保育料、医療費は全額助成」されます。さらに、「4歳の子を筆頭に2歳間隔で3人の子どもがいて、町単独の支援策すべてを活用すると、支援金額は合計で702万9600円にもなる」そうです。
また、15年間以上住み続けた人を対象に土地付き住宅を無償で譲与する「若者定住応援住宅」というしくみもあります。水と緑に恵まれた町の住宅をタダ同然でもらえてしまうというわけです。
デメリットとしては、はじめに述べたことと矛盾するようですが、都内とはいえ、やはり不便さは拭えない点です。「都心まで片道2時間強」はかかります。それから、気候条件の厳しさも慣れていない人にはデメリットと言えるでしょう。とくに冬の寒さは厳しく、大雪が伴うこともあります。
全国町村会のウェブページによれば、奥多摩町は「デメリットもしっかり知った上で、納得してから住んでもらうため、移住希望者にはあえて気候条件が厳しい冬に町を見てもらうなど、町は真摯な姿勢で、できる限りのことをしようとしている」とのこと。メリットだけを強調するのではなく、デメリットもきちんと明かす真摯な姿勢には共感が持てますね。
今回紹介した3つ町以外にも、魅力的な移住先候補はたくさんあります。メリットもデメリットも、一番の調査方法は、自分の目で確かめることだと思います。魅力を感じる町が見つかったら、まずは旅行も兼ねて出掛けてみるのはいかがでしょうか。
<参考文献・参考サイト>
・『プレジデント 2017.6.12号』(プレジデント社)
・イケダハヤト:まだ東京で消耗してるの?/地方移住して3年。メリットとデメリットを語ろう。
http://www.ikedahayato.com/20160601/60489216.html
・愛しの糸島ライフ
http://www.motohashiheisuke.com/entry/itoshimaijyu#福岡県糸島市への移住まとめ
・全国町村会/定住促進と少子化対策で地域の活性化を図る/東京都奥多摩町
http://www.zck.or.jp/forum/forum/2920/2920.htm
・『プレジデント 2017.6.12号』(プレジデント社)
・イケダハヤト:まだ東京で消耗してるの?/地方移住して3年。メリットとデメリットを語ろう。
http://www.ikedahayato.com/20160601/60489216.html
・愛しの糸島ライフ
http://www.motohashiheisuke.com/entry/itoshimaijyu#福岡県糸島市への移住まとめ
・全国町村会/定住促進と少子化対策で地域の活性化を図る/東京都奥多摩町
http://www.zck.or.jp/forum/forum/2920/2920.htm
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