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DATE/ 2017.07.13

デジカメ全盛期に流行るインスタント写真とは?

 オーディオの世界において、アナログレコードやカセットテープが流行っているように、デジタルカメラ全盛の時代において、インスタント写真がブームとなっていることをご存じでしょうか。

チェキブームは世界レベル

 かつて、ポラロイド社が大きなシェアを誇っていたインスタント写真ですが、今は富士フイルムの「チェキ」シリーズが、中国、韓国、インドネシアといったアジアから欧米まで、ちょっとしたブームが持続しています。

 ここ数年、デジタルカメラが頭打ちであるのに対し、インスタントフィルム関連商品は、米国amazonでも記録的なセールスを記録していることから、さまざまなサイズのフィルムから、新機種カメラ、プリンターなどのリリースが続いています。

 その背景は、独特のフィルターで日常をスクエアに記録し、SNSでシェアする写真アプリ「Instagram」の影響も少なくないでしょう。もともとがポラロイドカメラによる写真の風合いをデジタルに再現しただけに、原点回帰とも言える現象なのです。

 アナログのインスタント写真は、フィルムやデータを媒介とせずにダイレクトに1点もの写真として仕上がるところに特徴があります。また、独特の色合いであることも魅力的で、ディスプレイにも使えるオシャレアイテムとしても認知されています。

ヴィジュアル系音楽シーンでのチェキしのぎ

 このブームの裏側で、一点ものである写真性をめぐってちょっとした問題も起きています。NHKクローズアップ現代でも報道されたヴィジュアル系音楽バンドのプロマイドとしての販売をめぐる問題です。世界でたった1枚のチェキプロマイドを買いまくり、チェキ廃人ともいわれるくらいにのめり込むファンが急増しているとのこと。

 ライブ会場で、箱の中にランダムに入っているチェキ写真。価格はアーティストにもよりますが、一枚250円から1000円。ゲームアプリのガチャよろしく、大好きなメンバーのチェキを手にするまで、何度も大枚をはたいて購入するケースも、けっして珍しくはないとのことです。当たりをひくと、メンバーと写真が撮れたり、メンバーからコメントを書いてもらえたり、私物が貰えるなどの特典がつくこともあるといいます。ファン意識を煽る、こうしたチェキの販売は、バンドにとって重要な収益源になっているのです。

デジタル時代の最新チェキ

 インスタント写真は複製ができないところに希少価値がありましたが、2017年5月に発売された「instax SQUARE SQ10」はデジタルとアナログのハイブリッドカメラで、これまで一発勝負だったチェキの撮影スタイルが大きく変わることになりました。デジタルカメラのように撮影し、写真を選び、画像加工フィルターでの編集加工して、複数のコピープリントも可能となりました。

 ヴィジュアル系音楽シーンでのチェキの販売がどうなっていくか気になるところですが、ハイブリッドチェキ時代においては、手元にのこるInstagram風写真が日常を彩ることになりそうです。

<参考サイト>
・欧米にも飛び火。なぜ今、日本の「チェキ」が再ブレイクしたか?
http://www.mag2.com/p/news/210567/4
・闇が深い…V系界のチェキ事情とは…?
https://matome.naver.jp/odai/2146529273737320501/2148328019644881803
・インスタントカメラ【instax<チェキ>】公式サイト
http://instax.jp
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